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ヒロイン矯正!  作者: アールエー
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57/64

その57 戦争直前


夕暮れ時の王都に、4人の人影が動いていた。

言わずと知れた、私レイナとアルベルト達3人だ。

貴族派閥軍は王宮を占領したものの、王都そのものは支配してないので潜入は簡単だった。

そこから王宮に入るのが難しいのだが、今回は道案内がいる。


「と言うわけで、アルベルトは街でお留守番をお願い。明日の戦争開始と共に脱出するから、後詰めをお願い」


「ああ、任せとけ。」


アルベルト達は余りに目立つからね。

私と言えば、染料で軽く髪を染め、化粧は地味めに、素朴なお手伝いメイドに変装した。


ちなみに、公爵家は無事だった。当主様と長男様は領地にいて、次男様は水害復興に駆り出されていた。フレデリカ様は王家の剣探索だったし。

でも、幾つかの家では、当主が連れ去られたりしたらしい。




日が暮れてから道案内の元、王宮の中を歩く私。

周りを見回すが、普段見るメイドさんや侍女さんの姿が極端に減っている。見覚えのない兵士と何度もすれ違い、違う王宮に来たのかと錯覚しそうだ。

道案内のお陰で迷わずお嬢様が閉じ込められている部屋に到着した。


ここまで来て何だけど、これってゲームなら道を逸れてあちこちの部屋に入って、タンスやら壺割ってアイテムを入手する所だったのでは…。

まあ、普通に泥棒だけど。


「失礼します」


部屋に入ると、お嬢様とアリシアは退屈そうに本を読んでいた。こっちを見て驚いている。変装の効果なかった?


「レイナ!」


お嬢様が私に抱き着いてきた!うん、変装して驚かすつもりだったけど、これはこれで。私もそっと抱き返した。


「お姉様〜」


アリシアも私達の邪魔にならない様に、後ろから私の腰に…いや、ちょっとそこ、お尻!顔を突っ込むなフンフンするな、この変態さんめ!


アリシアを後ろ足で蹴りつつ、お嬢様に状況を報告。


「それじゃ、明日の明け方前には脱出するのね!」


「はい、お嬢様の身の安全の為ですが、同時に聖剣復活の為でもあります」


「分かってるわ!いよいよクライマックスね!王子殿下にはこの事を?」


「はい、離反した兵士により連絡が行く手筈になってます。そして国王陛下や王妃殿下はハドルド王子殿下が指揮する、その兵士達により護られます」


「国王陛下達も無事だったし、退屈な強制ひきこもり生活とは明日でオサラバね!今日は早く寝るわよ!」


「キャサリンお嬢様、お姉様、何時でも脱出出来る様に準備は整っております。お姉様、褒めて!」


「ああ、よしよし」


喉をゴロゴロするな、猫かアリシアは!お嬢様も引いた目で見てるし。

………ちょっと待て、今日はこの3人で寝るの?お嬢様はともかく、アリシアも?なんか、貞操の危機っぽくない!?

…お嬢様を真ん中にして寝よっと。




側妃シャーロット視点


眠れない日々が何日も続き、今日漸く眠れたと思えた明け方、妾は叩き起こされた。


「妃殿下、大変です!敵が攻めてきたと!」


敵?シリウスの軍か!妾は飛び起きて、窓からベランダに出た。いつもの王都の街並み、その向こうの門、更に向こうに微かに蠢く人の影。


「侯爵!侯爵はどこ!?」


部屋に戻って簡単に着替えると、筆頭侯爵がいると言う部屋に飛び込んだ。

侯爵は軍装を纏い、テーブルの上の地図を睨んでいた。


「妃殿下、おはようございます」


「挨拶は良いわ。敵は何処にいるの?何人来たの!?」


「落ち着いて下さい、妃殿下。敵は600名程度、王都の門より1キロメートル後方に布陣しております」


「ろ、600…!?多くても100名って言ってたじゃないの!」


「何処からか情報が漏れたようですな。なに、寄せ集めの軍隊で、こちらの総数の五分の一以下です。問題ありませんな」


この男は何を言っているの!?

前に言った事と、全く話が違うじゃない!

言う事がコロコロ変わって、信用できないわ!

こんな、こんな奴に妾の命運を託しても良いの?…いえ、妾だけでない、ハドルドの命運も掛かっているのよ!?

妾が…妾がなんとかしなくては…!


「妾は部屋に戻ります」


「はい、軍事に着いては私めに一任して下さい」


部屋に戻って、着替えよう…。こんなドレスではいざと言う時に動けないわ!




キャサリン視点


「お嬢様、兵士達の動きが慌ただしくなりました。恐らく、王太子殿下が姿を現したのだと思います」


「そう、いよいよね!」


早朝、夜明け前に起きた私達は、簡単に朝食を取って着替えも終わったわ。

私とアリシアはメイド服、それも私は金髪が目立つから鍔付きの帽子を被ってるわ。

レイナは軍服を着ているのよ。背が高いから似合うのよね!


でも2人共、寝相が悪いのよ!3人で大きなベッドに寝た筈なのに、私が一番に目覚めたら(軟禁生活で、今まで散々寝ていたから早起きした)レイナはソファで、アリシアなんて床の上で大の字になって寝てたの!それもパンツ一丁の、あられもない格好で!一体、どんな寝相なのよ!


「お嬢様、ひとまず王宮を出たらアルベルト達と合流します」


「分かったわ。…なんか、ものすごく眠そうね?」


「あー…。まあ、昨日まで馬車の旅でしたので」


「…お姉様のいけず…」


…そうね、疲れているんだろうけど、もう少し頑張って欲しいわ!


私達の戦いはこれからよ!!




レイナ「うー眠いわ。お嬢様はムエタイやってんのかってくらい、抱き着いて膝蹴りしてくるし、アリシアのおバカはパンツ一丁でルパ○ダイブしてくるし。とりあえずアリシアは首トンして沈めて、お嬢様から避難して…。ソファは柔らか過ぎて、腰が痛くて眠れないし。散々ね…」

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