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ヒロイン矯正!  作者: アールエー
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32/64

その32 乙女ゲーム


落ちた。お嬢様、簡単に落ちた。即落ちだ。


ハドルド王子殿下と、フレデリカ様主催のお茶会で会ったお嬢様は、もうニヨニヨ笑いながら惚気るのだ。ごめん、美形な顔にも関わらず、ちょっとキモい。ヨダレ拭いて!


「でね、でね、ハドルド王子ったらね…」


「はい、お嬢様。良かったですね」


いや、何回目ですか、その話。


しかし、久し振りにお嬢様の笑顔を見た気がするよ。戦場に出てから、ずっと聖女の作り笑いをしてきたから、王子殿下には感謝の念が絶えない。


絶えないから我慢しているのだが、限界というものがある。というわけで、フレデリカ様召喚。

二人で満足いくまで、惚気話と恋バナを楽しんでくれ…。


「レイナさん、貴女もこっちに!アルベルトさんとの進展を聞かなきゃ!」


「いえ、フレデリカ様、買い物に行かなくては…」


「そんなの後よレイナ!主人命令なんだから!買い物は他の人に行かせるわ!」


しまった戦力2倍になってる!ロ、ローザ様助け…。いない!?逃げやがった!!




誰か達のお陰で夜遅くまで起こされていて、異常に眠たい翌日。学校では噂話で大賑わいだった。

我慢出来なかった第二王子が、朝一番に態々第一学年である我がクラスまで来て、お嬢様と話をされたのだ。お嬢様も嬉々として応対して、どう見ても恋する乙女だった。


噂にならない方がおかしい。


しかも、実際問題として昨日お茶会で2時間ほど話をしただけだから、話す事は余りないのだ。昨日の夜も同じ事の繰り返しだし。

それが話をはぐらかしている様に聞こえて、噂話は加速していった。


まして、貴族派閥聖女肯定派からすれば、最高のシチュエーションである。興奮しない方がおかしい。


私はお嬢様が授業に着いていける様、板書を書き写しながら(惚気話は聞かない、一晩でタコができた)ふと周りを見回す。

廊下の向こう。お嬢様を見つめる女生徒達。

その目線には、暗い物が含まれていた。


…後で誰か、調べておくか…。




幾日か経った放課後。

この学園では、生徒の自主性を高める為と称して掃除時間が組み込まれている。

日本では当たり前だが、欧米では生徒の掃除なんて無かった筈、だけど日本の乙女ゲームだから?普通に貴族子女に掃除をさせる。

もっとも、ほとんどの上級貴族子女は侍従や侍女にさせるけどね。お嬢様は元日本人的な感覚で手伝ってくれるだけ、かなりマシな方だ。


ゴミ箱を持って、お嬢様と屋外のゴミ捨て場へ向かっている時。気配探知に反応あり。


「お嬢様、上に光のバリアを」


お嬢様は何事?とした顔をしたが、即座にバリアを張る。私の指示でバリアを張る訓練を、戦場での経験から積んでいたのだ。

その直後、上から大量の水が降ってきた!私達は回避できたが、周囲はびしょびしょになるほどの水量。バケツか何かで水をかけられたな!?

上を見ると開いた窓。人の気配なし。

あそこは特別教室か…。




別の日。

教室に置いてあったお嬢様の教科書がズタズタに切り裂かれていた。鋭利な刃物を使った犯行だ。

移動教室だったので、全員教室外にいた事を確認しているから、犯人はクラスに居ない。

どうしよう…と涙目のお嬢様に私の教科書を差し出そうとしたら、クラス中の生徒が「私の見ますか!?」「私のは兄のお古があるので新しい教科書を…」と集まってきた。良かった…。


休み時間、二学年のクラスに行き、そこに居たグレン様の婚約者ミシェル様に話をして中継ぎして貰い、グレン様に相談した。




更に別の日、お嬢様と廊下を歩いていると、別学年の女生徒の集団が前から来た。こちらは端に避けると、相手の1人がわざとお嬢様に近付いた。

私が咄嗟に間に入ると、ドンッとぶつかってきた。もっとも身長、体重、身体バランス等は私の方が遥かに優位なので、転んだのは相手だ。

「平民の癖に!」と殴りかかってきたが、全て頭を下げながら受ける。相手の身分が上なのだ。

一瞬、呆気に取られていたお嬢様が、慌てて止めに入るが、相手は伯爵家の身分を盾に止めようとしない。


「おう!俺の婚約者に随分な真似をしてくれてるな!!」


そこに現れたのはアルベルト。いや、誰が婚約者だって言う暇もなく、流石に大男にビビったのか令嬢達はそそくさと逃げた。


「なんか、楽しそうな事になってるみたいだな。助けは必要か?」


お嬢様に治療を施されている私に、アルベルトが問いかける。私はニッと笑う。


「必要な時には声をかけるわ。私は、使える物は何でも使うし、やられて黙ってる主義じゃないの」


アルベルトもまた、ニヤリと笑って「必ずだぞ」と言って立ち去った。


「ね、ねぇ…レイナ?何が起きてるの?最近、起きている悪戯の件なの?後で報告するって…」


「何って、乙女ゲームですよ、お嬢様。状況はお分かりだと思いますし都度話はしておりますが、詳細な報告は別にまとめております。証拠も集まってきましたので、そろそろ皆様と一緒に説明しますね」


「そう言えば、レイナはバリアみたいな防御スキルないの?」


「ありますよ。ヒートボディと言う、熱波を使った防御技が。使い物になりませんが」


「え?なんで?」


「耐えれる服がありません」


「あー。それにしても、光でなんでバリアを張れるんだろ?」


「光といえば、光子力バリアでは?」


「え!?」


「え!?」

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