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ヒロイン矯正!  作者: アールエー
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16/47

その16 武人の息子


「おう!ここが俺達の教室とやらか!」


突然、教室に響き渡る大音声。教室に入ってきたのは明らかに他の男子生徒と比べ、胸板が分厚い3人の男だった。例にも漏れずこの学園にも制服があるのだが、パッツパツである。

こいつらに比べたら、周りの男はモヤシの集団だな。身長も180センチメートルを超え…とにかく迫力が違う。


「おやぁ!?そこの金髪!お前が聖女とやらか!先の戦場では世話になったなぁ!」


こいつらが隣国からの学生受け入れ対象。顔が厳ついし髭生えてる奴もいるし、少女漫画の世界に男だらけの塾生か、いつかの時代の傾奇者が侵入した感じと言えば、理解できるだろうか。絶対、お前ら15歳じゃねーだろ!


顔色を青くしたお嬢様の前に、私はサッと立ち塞がる。


「聖女様に何用ですか?それと聞こえますので、教室では大声は無用です」


3人の大男はこちらを睨むと、後方にいた代表と思われる男が前に出る。身長は目測で約190センチメートル、精悍な顔立ちと引き締まった肉体は、歴戦の猛者を想像させる。私と20センチも身長差があり、結構見上げる形になった。他の女生徒なんか、完全に大人と子供だ。


「草原や戦場では大声が普通だからなぁ、悪かった。俺はアルベルト・マイヤー、俺の父はお前らが悪魔将軍と呼ぶレオンハルト・マイヤーだ。後の2人は俺の従者だ、覚えなくていい」


「いや兄貴、そりゃひでーよ」


「背の高い赤毛の女、お前が親父の言っていた炎の精霊(イフリート )だな!?会いたかったぜ」


また、なんか変な二つ名を!


「そのイフ何とかは知りません。隣国ではどうか分かりませんが、ここで騒ぎは困ります」


「あー、騒ぎを起こすつもりはねえ。ただ、親父に言われてな。お前を嫁に連れて来い、とさ」


「……はあ?私?確かに将軍はそんな事言ってましたが、やっぱり将軍はロリコンだと…」


「いや、違う…でもねえ?俺と余り歳の変わらん妾がいるから…。あ、いや、親父が言っていたのは、俺の嫁として親父の家に来いって事だ。まあ変な女なぞ願い下げだから、安々と従うつもりはねえけどな!」


「なんか、勝手に私が振られた様になってますが、願い下げはこちらもです」


いや、全く、とんだ失礼な奴だ。

と、そこへ教師がやって来たので、終わりとした。大男…アルベルト・マイヤーは何か言いたそうにしていたが、一先ず矛を収めた様だ。




で、どういう訳か、学園の運動施設で練習用の槍を持って、私はアルベルトと相対していた。

親父と殺り合って生き残っている女と、どうしても手合わせしたいと騒ぎまくったからだ。


ちなみに、前哨戦として戦ったアルベルトの侍従…いや舎弟が正しいか、その2人は泡噴いて倒れている。兄貴が出るまでもねえ!とか言っていたが、がら空きの頭を軽く小突いたり、そっと股間を突き上げたらあっさり勝負がついた。


ちなみにお嬢様は「レイナ〜いけ〜殺れ〜!」と外野で同級生と共に応援してる。それは良いけど「頑張れ、お姉様〜」は如何なもんだろうか。同じ歳だよね?

後、男子諸君、股間押さえて震えなくて宜しい。


「おい!その、えげつない槍術は、誰に教わったんだ!?股間を狙い打ちとか、ありえねー!」


「…?貴方のお父様に、戦場で」


「あのクソ親父ぃ〜!!」


そう、私はあの時の悪魔将軍が構えていた、下段の構えを取っていたのだ。

下から突き上げる穂先は、並の反射神経では躱せない。吸い込まれる様に男の子の大事な所に直撃したのは、多分偶然である。いや、本当。

…こちらが槍を構えているのに、真正面を向く奴が悪い。急所を曝すな、正中線(武術において身体の中心にある急所のライン)が丸見えだ!


アルベルトは果敢に打ちかかってくる。私はそれを内に、外に振り払い、時折距離を詰めて突く!


「危ね!見た所基本技のみなのに、なんて強えんだ!」


「基本にして奥義、何事も突き詰める事が大切です!」


流石に簡単に勝てない!既に10分は続いているか…。と言っても、聖霊様の御加護を以てこっそりと治癒しているので、疲労は少ない。ちょっとインチキだけど。

そしてとうとう、螺旋を描く技の外払いがアルベルトの槍を直撃、アルベルトは槍を取り落とした。


「くっそ!得物を落とすとは、俺の負けだ、チクショー!」


肩で息をしながら、大の字に寝転がるアルベルト様。勝った!

…止め刺して良いのかな?


「おい!ナチュラルに止めを刺そうとするな!」


「いえ、皆様と同じ目に遭いたいのかと」


「ヒェッ!おっかねえ女だな、おい!」


アルベルトは素早く立ち上がると、両手を上げ降参のポーズをした。

お嬢様が手早くアルベルトと舎弟の治療を行う。アルベルトは驚いて、すまねえな、と謝意を示した。そしてー


「もう少し強くなって出直す事にするよ。んじゃな!」


と言って去って行った。


ふふん!と鼻高々なお嬢様と、お姉様これどうぞ!とタオルを渡してくれる同級生の女子達。だから同じ歳だってば。

少し離れた場所から、フレデリカ様が「ほんっとうに強いのね〜」と感心していた。


「レイナ、貴女がいると、乙女ゲームが格闘ゲームになるんだけど」


「言わないで下さい、お嬢様…」

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