8.デート?
ブーブー。
雅は、ベッドに横たわりながら、スマホに手を伸ばした。
「池下か。」
今日はお疲れ様。
明日からまた練習?
1週間だけ充電期間だとさ。
1週間後、気持ちを切り替えて元気な顔を見せろ。
キャプテンにそう言われた。
そう。
この前の秘密、知りたい?
うん。でも、負けたけど?
特別サービス。
春休みにどこかに一緒に行きたい。
そう言おうとしてたの。
デート?
・・・。
いや、メッセージのやり取りでそれいらんだろ!
ふふっ。どこ行く?
まだ行くって言ってないぞ?
ダメ、なの?
いや、行く。
じゃあ、断りそうな事言わないでよ。
すまん。
どこか行きたい所あるのか?
う〜ん。
う〜ん。はメッセージ打たずに言えよ。
はい、はい。
じゃぁ、雪がみたい。
いや、いや、春だし。
北海道くらいまで行かないとないだろ?
泊まりか〜。
いや、そこは悩む所じゃないだろ!
そう?私は色々考えて、悩んでみた。
で?
やめとく。
はいはい。
他には?
人が少ない所がいい。
人混み苦手だから。
登山とか?
運動苦手。
ピクニック?
まだ寒い。
おい。
何?
池下も考えろ。
う〜ん。
映画。
人多い。
じゃぁ、うちで映画鑑賞。
あり。
俺、一人暮らしだけど。
はぁ!?初耳なんですけど。
誰にも言ってないからな。
私を辱めようとする計画ね?
やめる。
ごめん!じゃあ、明日行く。
急だな。
だって。
だって?
何でもない。
じゃぁ、11時にレンタルビデオショップ集合でいいか?
うん。
その後、昼ごはんどっかで食べて、コンビニでお菓子買って、うちで映画鑑賞でいいか。
うん。
じゃあ、後で地図送るなー!
はぁーい。
雅は、スマホを枕元に置くと体を起こして辺りを見回した。
・・・片付けねば。
雅は試合の疲れで軋む体に喝を入れ、片付けを始めた。
池下は、俺の事をどう思ってるのだろうか?
デート・・・好きでもない男と出かけたいとか思わんよな?
しかも池下だし。
・・・神様!これは脈ありでしょうか!?
恋って楽しいな。
雅は、初めての気持ちに戸惑いながらも、花蓮が好意的に接してくれる事が幸せでたまらない。
明日が待ち遠しい、そう思うと、部屋の片付けもはかどった。




