27.秘密。
雅と花蓮は、晩御飯と入浴を済ませ、ベッドに並んで座っている。
「さぁ、じゃあ話の続きする?」
花蓮は、雅に微笑みかける。
「破壊力バツグンだ。」
雅の目は血走っている。
「あの~、恐いのですが。」
花蓮は、イザとなると、少し恐くなり、緊張した様子だ。
「これが花蓮なのか。」
雅は、ずっと花蓮を見ている。
「いつも以上に我慢が限界だ。
先に、先に!」
「百年の恋も冷めてしまうかもしれませんが、それでも良ければどうぞ?」
花蓮は、勇気を出した今日、全部聞いて欲しい。そう思っている。
「はい。すいません。」
雅は落ち込んだ様子で俯いた。
「しながら?」
雅は、また花蓮を見る。
「絶対いや〜。ふざけてるの?本気なの?」
「ごめん。半々。」
「私、ちゃんと全部話したい。」
「分かった。」
雅は、真面目な顔に戻った。
「じゃ、じゃあ話すね。」
「おぅ。」
「あと、秘密と言うか言ってなかった事は、私の中学生の時の事だけだから、頑張って聞いてね。」
「がんばらないでも聞ける。
花蓮の事知りたいから。」
「あの、そう言う言葉は、私を見て言ってもらえます?」
「仕方無いだろ?我慢してたんだから。
花蓮にはバレない様にしたけど、朝起きたらパンツべちょべちょ事件だって何度かあったんだぞ?」
「あはははっ!」
「笑うなよ。俺がどれだけ。」
「ごめん。じゃあ、今日からはそんな事件は私が起こさせないから。」
「・・・この話、やめよ。」
雅は、拳を握る。
「ごめん。じゃあ続きね。」
「うん。」
「私、可愛いし、スタイルもいいでしょ?」
「うん。自分で言う奴も珍しいよな。」
「それが原因だから。」
花蓮は、不安そうに俯く。
「そうか。大丈夫か?」
心配そうに雅は花蓮を見た。
「うん。今は雅くんが居てくれるから。でね、私はそんなに目立つ様なタイプじゃなかったし、何人か大人しい感じの友達と、平和に楽しんで毎日を過ごしてたんだ。それでも、中学卒業までに、15人くらいには告白された。
みんな断ったんだけどね。」
「すごいな。
まぁ、花蓮ならモテたのも頷ける。」
「でも、嬉しいと思ったこと無いし、ふるのって以外と体力いるし。大変だった。
それで、最後に告白されたのが、3年生の夏だった。
告白してきた男の子は、私のクラスを仕切るくらい権力というかなんというか、とにかくクラスの中心的な子が好きな子だったんだけど、私が告白された事も気に入らなかったみたいだし、ふったことも生意気だと思ったみたい。
次の日から、友達が話てくれなくなった。で、クラス中から無視された。
無理に話したら、友達も巻き込むと思って、私は大人しく読書をして、一人で過ごした。
動じてない様に見えたのが気に入らなかったのかな?それから無視だけじゃ終わらなくなっていくの。
教科書や上履きがズタズタに切り裂かれたり、トイレに入ったら上から水かけられたり。」
「許せない!何なんだ!誰も助けてくれなかったのかよ!」
雅は、さっきよりも強く拳を握っている。
「きっと、雅くんが同じ学校なら助けてくれたよね?」
「当たり前だ!そんなの、花蓮じゃなくても助ける!」
「うん。そう思う。
どんどんエスカレートする嫌がらせに、私は恐くなって、先生に相談したの。
そしたら、何て言われたと思う?」
「・・・何て?」
「少し容姿がいいからって、ある事ない事言って、先生に色目を使うな。って言われた。後で知ったんだけど、私を目の敵にしてた子は、政治家の子だったんだって。だから先生も、関わりたくなかったみたい。」
「はぁーーー!!!ムカつく!今すぐその教師をブチのめしたい!」
雅は怒り狂っている。
「ダメ。もう二度と関わらないから。」
「うん。そうだな。こうして話てくれるまで頑張ったんだもんな。俺が余計な事をするのは間違いだな。」
「ありがとう。私のために怒ってくれて、嬉しいよ。」
花蓮は、雅を見つめて笑う。
「でね、それから、私は、学校に行けなくなった。コンタクトも、メガネに変えて地味なカッコして、下着も小さく見せる下着を見つけたらすぐ買ってもらったりして。
なるべく目立たない様に考えて色々した。
幸い、学校側は、事が事だけに公にしたくないと、私に出席日数をくれた。
期末試験は、家で受けた。
だから、遠くの、誰も私の事を知らない高校に行きたくて、この高校を受験したの。
そんな中学生活だったからかな?
顔がいいのは否定しないけど、雅くんと初めて会った日、正義の味方に見えて、この人と一緒に生きていけたらと思ったのは。」
「花蓮、大丈夫?」
雅は、花蓮を抱きしめた。
「ありがとう。」
「花蓮に出会えて、花蓮を抱きしめられて良かった。俺は花蓮と一緒に生きていくよ。」
「うん!」
花蓮は、嬉しそうに雅に微笑みかけた。
「では、最後まで聞いてくれてありがとう。どうぞ!」
花蓮は両手を広げて雅に向けながら、ベッドに横になると、雅を見つめた。
「花蓮。すまん。気持ちは嬉しいが、あの話を聞いた後にそう言う事ができる程、俺はクソ男ではない。」
「いいの〜?明日の朝、パンツ見て後悔するかもよ?」
「それでもいいよ。もう隠さなくてもいいから、花蓮に洗濯してもらう。」
「そ、それはちょっと。」
雅は、花蓮の腕の中に横になると、雅も花蓮を抱きしめた。
「今日はこうして眠りたい気分だ。」
「分かった。」
花蓮は嬉しそうに目を閉じた。
雅も、花蓮を大事そうに抱きしめ、目を閉じる。
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
雅は、このまま眠れる。
そう、本気で思っていたから、こうした。
カチカチカチカチ。
時計の音が耳障りだ。
雅は、腕に当たる柔らかい感触、心を惑わすいい香りに目がさえ渡りだした。
マズイ!無理だ!寝れない!
「か、れ、ん?」
雅は、恐る恐る目を閉じた花蓮に声をかける。
「寝れないんでしょ〜?」
花蓮の目は開き、雅の顔が映っている。
「はい。」
「カッコつけたのに、情けないですよ〜。」
花蓮は笑う。
「本当に寝るつもりだったんだよ。」
「なんか、雅くんらしいね。」
「どういう事?」
考え込む雅に、花蓮は突然キスをする。
「いいよ?」
「ほんとか?」
雅は嬉しそうに花蓮を真っ直ぐ見つめる。
「うん。」
二人は、キスを何度もした。
「すごい。なんか頭がポワ〜ってなる。」
「うん。幸せ。」
花蓮は恥ずかしそうに笑う。
ガチャ。
玄関の鍵を回す音がした後、ドアがあく音がする。
二人は、見つめ合う。
「今の、うちだよな?」
「隣りにしては音が大きかったよね?」
二人が起き上がろうとすると。
「ヤッホ〜!花蓮ちゃーん!」
「おめでとう!雅〜!」
「・・・はぁ。」
雅と花蓮は、同時にため息をついた。
「いや〜?雅が試合勝ったって聞いて、花蓮ちゃんのお母さんとお祝いに呑んでたのよ!で、家行こってなってさ、
来ちゃった!」
「母さん、来ちゃったじゃねーよ。
何時だと思ってんの?」
「えっまだ10時よ?」
「か、か、花蓮ちゃん!
メガネ!メガネ!取れたの?」
花蓮の母は、花蓮がメガネをかけていない事に驚いて興奮している。
「まぁー!すごいわね!と、いう事は、雅はもう大人な訳?」
雅の母は詰め寄る。
雅は、ベッドになんとか教の信者が祈りを捧げる様に、尻を浮かせて、顔をベッドに埋めている。
「大人じゃないー!」
雅は悔しそうにベッドに顔を付けたまま叫んだ。
「あら・・・まさか?今、まさにのタイミングだったの?」
花蓮の母は、申し訳なさそうにする。
「ちょっと、お母さん。」
花蓮は恥ずかしそうに俯く。
「ごめん!雅!子供、1日延長で!」
雅の母は雅に手を合わせて懇願する。
「ちょっと呑みすぎて、今日は帰れそうにないのよ!」
「はいはい。好きにしてください。」
雅は膨れた表情でキッチンに行くと、コップに水を入れ、二人の母親に渡した。
「あら〜、流石!雅くん、できた子ね〜!」
「でしよー!私が育てましたー!」
「はぁ。」
雅は、ため息を付くと、ソファーに座った。
「あはははっ!雅くんは、運がないね〜。」
ベッドを二人の母親に奪われた花蓮も、雅の隣りに座った。
グ〜、グ〜、グ〜。
寝息を立てる二人の母親を見て、雅と花蓮は微笑み合った。
「まぁ、仲良くしてくれて、俺達としては嬉しな。」
「そうだね。」
花蓮は、雅の肩に頭を置いた。
「ねぇ、ここでどこまでできるか挑戦する?」
「ば、バカ!さすがにしないわ!」
「あはははっ!別にいいのに。」
「また次の機会でいいよ。今日は諦める〜。」
「そうだね。」
二人は少し大きめのソファーで、狭いながらもくっついて眠った。




