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消しゴムを貸しただけで。  作者: 蓮太郎


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21/28

21.親友の恋。

「おっはよ〜!」

朝の誰もいない教室。

花蓮が一人座って本を読んでいると、教室に妃鞠が入っていた。

「あら、早いのね。おはよ。」

花蓮は、本から目を移し、妃鞠に挨拶する。


「花蓮ー!」

妃鞠は、カバンを置くと、突然花蓮に抱きついた。

「どうした、どうした?」

花蓮は冷静に、妃鞠の背中をトントンとする。

改まった様に妃鞠は体を起こし、雅の席に座った。

「こないだね、涼の事話したじゃない?」


「うん。何かあったの?」


「いや〜、私ともあろう者が、中々言い出せなくて、ようやく日曜日、呼び出した。」


「あら、頑張ったわね。」

花蓮は嬉しそうに微笑む。


「うん。でね、でね!」


「うん。」


「私、友達からって言うのは、断った訳じゃないって言ったよ!」


「よくできました。」

花蓮は、妃鞠の頭に手を伸ばし、ナデナデする。

「うん。そしたら、涼、喜んでくれたよ!」


「良かったね〜!で、その後は?」


「あのさ〜、花蓮じゃないんだから。

それで終わり。」


「えー!なんで?付き合ってって言えば良かったのに!」

花蓮は残念そうに嘆いている。


「ダメ!涼から言わせる。

じゃないと、私の方が立場弱くなるじゃん!」


「立場とかどうでも良くない?

まぁ、私も告白されるように誘導はしたから、言えないか。」


「そうだよ〜。」


「でも、妃鞠は一度ふった様な物だから、妃鞠から言うべきだと思うけどな〜?」


「た、確かに。でも、私も付き合ったことないから恐いんだよね。」


「そんなの誰でも一緒だよ。

でも、好きが勝っちゃうんだよ。」 


「そうね。私も、好きに負けそうです。」


「ふふっ。まぁ、頑張って!」

花蓮は小さく拳を握った。


「うん。頑張る!」


「おっ!お二人さん仲良いいな〜。」

二人の会話がキリのいいタイミングで、雅と涼が教室に入ってきた。

「よっ!」

妃鞠は、少し照れながら、涼に挨拶する。

「お、おぅ。」

涼も恥ずかしそうだ。


「何だ、何だ?」

雅はニヤニヤしながら二人を交互に見る。

「二人は、友達以上、恋人未満になったそうよ。」

花蓮は小さく笑う。

「おー!良かったなー!」

雅も嬉しそうにする。


「ねぇ、涼。」

「な、何?」

「今日、一緒に帰ろ?」

「お、おぅ。」

妃鞠の急な誘いに、涼は嬉しそうにしている。

「あっ、でも、俺部活だぞ?何時間も待ってもらわないといけなくなるし。」


「い、嫌なのかよ?」

不満気に妃鞠は膨れる。

「いや、嬉しい。」


「じゃあ、決まりね!暇になったらあんたが頑張ってる姿でも見に行ってあげるから、早くスタメン取りなさい。」


「見に来るのか?・・・頑張るよ。」



「こっちがバズい。」

「えぇ、人前でイチャイチャするのやめてもらいたいわ。」

雅と花蓮は、顔を見合わせる。


「あんた達にだけは、言われたくない!」

妃鞠は、抵抗する様に叫ぶ。

「あはははっ!」

4人は、楽しくて笑った。



「花蓮〜!」

そして部活終わり。

保健委員の仕事を終えた花蓮が、体育館に来ると、妃鞠が座っていた。

「妃鞠、ずっと見てたの?」


「ずっとじゃないけど、結構長いこと見てた。」


「いいな〜。」


「私、バスケ分からないから、これ読みながらね。まぁ、涼は試合出てなかったけど。」


「そっか。その本、読み終わったら貸して欲しいな。」


「うん、いいよ〜。

花蓮もバスケの勉強?」


「うん。一度雅くんの試合、見に行ったんだけど、ルール分からなくてさ。

感動はしたんだけど。」


「いいな〜。私も次の試合は見に行こっと。花蓮、一緒に行こうよ?」


「うん、行こ、行こ!」


「あ〜楽しみ。あっ!でも、それまでに涼にスタメンになってもらわないとな!」


「ふふっ、妃鞠か応援したら、本当にスタメンになりそう。」


「そうよ!この私が応援するんだから!」


二人は楽しそうに笑った。


「お待たせ。」

練習を終えた涼と雅が体育館から出てきた。

「着替えてくるわ〜。」

二人は早足で部室に向かった。


「あぁ。ドキドキしてきた。」

妃鞠は、急に緊張した様子で俯く。

「あら、可愛い。」


「茶化すなよ〜。」

妃鞠は膨れている。


「ドキドキも、楽しいと私は思ったよ?」


「花蓮はもうドキドキしない?」


「するよ。居心地が良くて落ち着く時もあれば、ドキドキする事もある。」


「そっか。まぁ、頑張りますよ。」


「うん。頑張って下さい。」

二人はまた笑い合った。


「お二人さん、帰ろうか。」

雅と涼は、着替えを済ませた様だ。

「うん!」

花蓮と妃鞠は嬉しそうに答えた。


「じゃぁ、妃鞠、また明日〜。」


「えっ?4人で帰らないの?」


「えっ?邪魔しないでよ〜。」

花蓮は、雅の腕にしがみつくと、引っ張る様に、早足で帰って行った。

「花蓮のやつ。」

妃鞠は小さく呟く。

「妃鞠、帰ろうか。」


「う、うん。」

二人きりになると、二人は照れながら、少し離れて歩いた。


「ねぇ、涼。」


「何だ?」


「せっかく二人で帰ってるのに、距離遠い。」


「す、すまん。手。」


「ん?」


「手でもつなぐ?」

「はぁーー!!!」

涼が照れくさそうに言うと、妃鞠は驚いて叫んだ。

「ごめん。調子にのった。」

涼は少し落ち込んでいる。

「つなぐ。」

妃鞠は小さな声で呟いた。

「えっ?なんて?」


「だから!つなぐの!」


「な、なんで怒るんだよ?」


「べ、別に怒ってない。その、恥ずかしかったから・・・キャッ。」

妃鞠が照れて俯くと、涼は妃鞠の手を握った。

「驚かせた?ごめん。」


「大丈夫。」


二人はしばらく黙って歩いた。


「ねぇ。」

妃鞠は、涼の顔を見て立ち止まった。


「ん?」


「私達、なんで手を繋いでるの?」


「嫌か?」


「違うくて。」


「何でって。」


「あー!!!無理!私にはできないわ!」


「な、何?情緒不安定かよ?」


「そうよ!頭がおかしくなるくらい、涼の事好きになったの!」


「・・・俺も、好きだ。妃鞠の事、初めて本当の好きを知ったんだ。

もう一度、言ってもいいか?」


「・・・結果オーライ。」

ニヤリと妃鞠は笑う。


「何?」


「何でもないよ。言ってよ早く。」


「妃鞠、俺の彼女になってくれ!」


「うん!」

妃鞠は、嬉しそうに涼に飛びついた。

「ひ、妃鞠!」

「いいじゃ〜ん!付き合ったんだし〜。」


「う、嬉しいけと、人が見てるって。」


「あっ。」

妃鞠はふと我に帰り、涼から離れた。


「妃鞠、俺さ、妃鞠が雅に一生懸命なのを見て、最初は応援してたんだけど、雅に見せる笑顔とか、一生懸命さとか、俺に向けてくれたらって思う様になってさ、気づいたら妃鞠の事ばっか考える様になってた。」


「そうなんだ。私は、雅にふられてから、涼が優しくしてくれて、嬉しかった。

気づいたら、雅に絡むフリして、涼と話したいって思う様になってたの。

ふられた女に優しくするなんて、ズルぞ?」


「そうだな。そんなつもりは無かったんだけど、結果そうなったからな。」


「まぁ、四天王と呼ばれるこの私を惚れさせたんだ、責任をとりたまえよ?」

楽しそうに笑う妃鞠を、涼は嬉しそうに見つめた。

「そうだな。ひんしゅくをかいそうだが、がんばるよ。」


「自信もて〜!」

「えっ?」

妃鞠は、涼の頬にキスをした。

「だ、だから、人がいるから!」

涼は焦っている。

「しないほうが良かった?」


「いや、してくれて良かった。」


「でしょ〜!これからよろしくね!」


「うん、こちらこそ!」

二人は仲良く手を繋ぎ、夕暮れの道を帰った。


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