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消しゴムを貸しただけで。  作者: 蓮太郎


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20/28

20.顔合わせ。

もしも〜し!雅から電話なんて珍しいわね〜。

雅は、こちらに来て、初めて母に電話をかけた。

「あ、あぁ。」


で?


母は、不安そうに問いかける。


「母さん、俺、同棲したい。」


はぁーーー!!!

母親の大きな声に、雅はスマホを耳から遠ざけた。

この子は!久しぶりに連絡してきたと思ったら厄介事を。


電話の向こうで母親が頭を抱えている光景が目に浮かぶ。


あのね、雅、こっちは男の子なんだから、あなたがちゃんと色々考えてるなら、別に構いやしないけど、相手のご両親が許す訳無いでしょ?


「あ〜、半分オッケーもらった。」


半分?


「さっきお母さんと会った。」


雅、厄介なのは、女の子の父親の方よ?


「なんか、ご両親も高校のとき同棲してるのバレて、別れさせられそうになったらしくて、俺達の気持ちが分かるんだと思うって彼女が。多分許してくれる。

それに、彼女も一人暮らしで、同棲と言うか、半同棲?みたいな感じなんだよ。」


はぁ〜。向こうのご両親がいいって言うならお父さんにも話してみるけど。


「ありがとう。でさ、お母さんが、母さんと父さんに会いたいらしい。」


げっ。怖っ。


「大丈夫だと思うけど?」


そんなの分からないじゃない!


「日曜日、来週の日曜日、こっち来れないかな?」


はぃはぃ。お父さんにも聞いとく〜。


「ありがとう。じゃぁ、また。」


はいはい。

プープープー。




「はじめまして。花蓮の母です。」


「こちらこそ、息子が粗相を犯しまして、面目もございません。」

こうして日曜日、両家顔合わせが始まった。

「あはははっ!そんな〜、頭上げて下さいよ!」

花蓮の母は、雅の母に両手を差し伸べる。

「私達、嬉しいんですよ。」


「は、はぁ。」


「花蓮は、色々合って、あっ、色々って言うのは、まだ雅くんが知らないみたいなんで、追々と言う事で。

まあ、それで実家から離れた所で一人暮らししてる訳なんですけど、一年間、友達どころかほとんど口もきかずにひとりぼっちで過ごしてたんですよ。」


「それは、よっぽどの事が。」


「まぁ、私なら全部吹き飛ばしてたと思うのだけど、何せこの子は大人しい性格なもので。

そんな花蓮に、突然彼氏と親友ができた物だから、素直に喜んでます。

まぁ、半同棲状態と言うのは驚きましたが。」


「そ、そうですね。本当にいいのでしょうか?」


「どうしたものかしら。

と、言っても、半同棲は継続中みたいですし。ダメと言っても私達が離れて暮らしている以上、止められないでしょうしね〜。

雅くんが覚悟を持ってくれてるなら、私達は何も言いません。

聞いて頂いてるかと思いますが、私達も同犯みたいなものですし。」


「覚悟ね〜。」


「それは、結婚と言う事ですか?」

黙っていた雅は、緊張した表情で口を開く。


「まぁ、そうなるかしら?

雅くんが花蓮ちゃんをボロ布の様に捨てた時は、怖いわよ〜?」


「俺、初めて人を好きになりました。

この先もきっと花蓮だけしか俺の心には映りません。

・・・花蓮がいいなら、婚約しないか?」

雅は、花蓮を真剣な顔で見つめる。


「あ〜ぁ。お母さんのせいで。」

花蓮は不服そうにする。


「・・・ダメか。俺、気が早すぎたな。」


「ち、違うよ?婚約はしたい。」


「本当か?じゃあなんでそんな不服そうなんだ?」


「だって、付き合う時もロマンチックに告白してくれたから、プロポーズも期待してたのよ。まさか、両親の前でプロポーズされてしまうなんて。」


「あはははっ!まぁ、婚約は婚約。

プロポーズは、結婚するときに、ちゃんとしてもらいなさい?」

花蓮の母は、笑っている。


「そ、その。お父さんは許してくれますか?」

雅は不安な表情で問いかける。


「母さんには逆らえない。」

不服そうに花蓮の父は答える。

「花蓮を取られた様で癪に障るが、まぁ、雅くんは真面目な男の様だ。

花蓮をよろしく頼む。」


「あ、ありがとうございます!」


「雅くんのお父さんも、大丈夫かしら?」

花蓮の母は、終始黙っている雅の父を気にかけた。

「はい。池下さんが良いのでしたら、私達に文句を言う権利などありません。

大事な娘さんなのですから。」


「あはははっ、息子さんでも同じだと思いますが?」


「ま、まぁ。一緒にいさせて心配になる様な子でしたら、口出ししたかもしれませんが、花蓮ちゃんは、しっかりしていて、真面目だと思いますし、それに、息子の世話までしてもらっている。

有難い限りです。」


「だって〜。」

花蓮の母が花蓮を茶化すと、花蓮は嬉しそうに俯く。


「と、まぁ、そう言う訳で、硬いお話はこの辺りにして、今日はお祝いの宴ですわね〜!あっ!ちょっとすいませ〜ん!」

花蓮の母は、嬉しそうに店員を呼ぶ。

「お母さん、まさか呑むつもり?」

花蓮は不安そうだ。

「当たり前じゃな〜い!」


この後、色々な話で場は盛り上がり、

雅の両親と、花蓮の両親の仲は良い関係になった。



「今日は疲れたな。」

「うん。とても疲れた。」

雅と花蓮は、ぐったりと雅の家のソファーに座っている。


「花蓮のお母さん、酒を呑むと甘えんぼだったな。お父さんも嬉しそうだったし、仲、いいんだな。」


「う、うん。ああなるのが分かってたから呑まないでほしかったんだけど。」


「ははっ。まぁ、楽しかったからいいじゃん。」


「そうね。疲れたけど、楽しかった。」


「あれだな、花蓮の強引な誘いはお母さんのDNAを引き継いだんだな。」


「何それ〜。嬉しいくせに。」


「そうだな。花蓮のお父さんが羨ましいと思った。」


「ふっふっ〜。今してあげようか?」


「勘弁して下さい。お母さんに考えて行動しろって言われたばかりだろ?」


「えっ?あれは・・・。」

花蓮は顔を少し赤くして俯いた。

「あれは?」


「・・・避妊しろってことらしいよ。」


「・・・はぁー!!ひに、ひに、避妊?」

雅は驚きを隠せない様だ。


「う、うん。」


少し落ち着いた雅は何やら考えている。

「・・・そうか。そうなった時のために買っておこう。」


「ふふっ。がんばるね。」


「お、おぅ。」

二人は、俯いて、少し黙った。


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