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消しゴムを貸しただけで。  作者: 蓮太郎


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18/28

18.恋バナと修羅場。

「お疲れ様。」

雅が練習を終え、体育館から出ると、花蓮が待っていた。

「おぅ。花蓮も保健委員お疲れ。

保健室行ったのにいなかったな。」


「え?うん、今日は色々するとこがあったのよ。」


「そっか、花蓮さんと話した。

相談してたんだってな〜?偶然にも俺も花蓮さんに少し相談してたんだよ?」


「そ、そうなんだ。ハハッ。」

これは、気付いてない?

それとも、気づいていての当てつけの様なもの?

雅くんの場合は・・・気づいてないか。


「着替えてきて。一緒に帰ろ?」


「うん。急ぐわ!」

「おーぃ、雅、俺と帰るんじゃなかったのかよ。」

不満気に涼は呟く。

「あっ。」

「冗談だよ。早く着替えてやれ。」


「す、すまん。」

雅と涼は、部室へと歩いて行った。


「やぁ、花蓮!」


「ひ、妃鞠?どうしたの?」


「今日、私、花蓮の家に泊まる。」

花蓮が妃鞠の手元に目を移すと、大きな荷物を抱えている。

「えっ?急すぎよ?」


「だって、明日休みだし。

いいでしょ?」


「いや、その。」


「あ〜、雅とデート?」


「そ、そう言う訳では無いけど。」


「じゃあ、いいよね?お母さんにももう晩御飯いらないって言ってきたし、私を見捨てるつもり?」


「はぁ。わかりました。雅くんに言わないとだし、ちょっと待ってね。」

花蓮は、雅に詫びのメッセージを送り、妃鞠と歩き出す。


「今日は取り調べよ?」


「え〜?色々言えない様な事があるのでお手柔らかに。」

花蓮は、妃鞠の事は何故か信頼できる様な気がして、嫌な気分ではなかった。



「・・・突然すぎる。

ひどいじゃないか!コンビニの弁当じゃもう満たされない。」

雅は、花蓮からの突然の連絡に、とりあえず家に帰ってきたものの、一人項垂れていた。

「よしっ、晩御飯だけでも。」

雅は、立ち上がると、花蓮の家に押しかける事にした様だ。



「と、言う感じかしら。」

花蓮の家では、妃鞠の取り調べが続いていた。

「すごっ。花蓮って結構積極的なのね。」

自分にはできそうもないと、妃鞠はあっけにとられている。


「だって、入学前から良いなって思いながら、一年間、口もきかずにきたところで、突然の急接近だったんだもん。

自分でも少し驚きながらだったけど、ホラー映画の後のところ辺りから、止まらなくなっちゃった。」


「勝てない訳だ。でも、何で話してくれたの?今の、ほぼ全部だよね?まさかお泊まりデート済みだとは思わなかったわ〜。」

花蓮は、半同棲の事だけは伏せて話した。


「何でだろ?同じ人を好きになったから、ちゃんと言わないととは思ったけど、妃鞠の事は何故か信頼できると言うか〜。まぁ、話したのは、全部じゃないけどね。」


「まだ爆弾抱えてんの?十分驚いたけど。でも、嬉しいよ!まぁぶっちゃけ、雅の事はもう諦めてたし、ちょっと良いなって思ってる人がいるから、私の事は気にしないで、ラブラブして。」


「そう。良かったわ。ちょっと引っかかってたし。」


「あら?全く気にしてないと言うか、戦闘態勢かと思ってたわ〜。」


「教室の時はね〜。」


「で、何で雅の前でもメガネ外さないの?」


「・・・その話は、また今度。」


「あー、そっか。雅に一番に話すべきよね。」


「う、うん。でも、こうして妃鞠とも友達になれそうだし、雅くんの周りは、前とは違うって感じるの。

だから、このメガネ外す日も近い気がするよ。」


「何だか、少し重たい話そうね。

私にできる事があれば言ってね。」


「うん、ありがとう。」

花蓮は嬉しそうに微笑んだ。


「でもあれよね〜、みんな、花蓮がメガネ外したらびっくりするわよきっと。

前に更衣室で花蓮の素顔見た私としては、外してはならない禁断の封印って感じなのよね。」


「そうかな?別に、もう何も変わらないと思う。今は雅くんの彼女だから。」


「まぁ、相手が雅なら、誰も文句無いか〜。まったく、憎いくらいにお似合いよ。」

ちょっと不服そうに妃鞠は言った。


「で?妃鞠が気になる人とは誰だ〜?」


「ちっ、口を滑らせたのをちゃんと聞いてたか。」


「そりゃー、一番気になる一言だったしね〜。」


「涼。」


「あら?割と近い人ね。」


「う、うん。なんかさ、雅に絡むと大体ついてくるじゃない?」


「またオマケみたいな言い方を。」


「まぁ、このオマケ邪魔ー!って思ってたんだけど、雅に振られてから、色々気を使ってくれてんのが分かってさ、心配してくれてんのかな?と思ってたんだけど、まさかの・・・休みの間に、呼び出されて、告られた。」



「えっ?そうなの?!妃鞠だったんだ。」


「えっ?何が?」


「毎回、雅くんには誰が好きだとか、告白するだとかの報告を怠らなかったらしいんだけど、今日の朝、杉下君が一年間で3回振られたって言ってたのよ。

雅くんは、2回しか知らないって言って、少し落ち込んでたみたい。

まぁ、自分も隠してたし、杉下君の事はいえないと言ってたけど。」


「私の事は雅に内緒にしてたって事?

と、と言うか、私ふったつもりない!

友達からとは言ったけど。」


「あらら、今日泊まりに来て良かったね。杉下君、切り替え早そうだし、明日にでもちゃんと気持ち伝えないとね。

友達からってのは、中身ちゃんと伝えないと、フリ文句になると私は思うよ?」


「そ、そうかな。

・・・明日話してみるね。

なんか、癪に障るけど。」


「あははっ。惚れさせたつもりが、気づけば追う側だね〜。」


「全く。難しいね、恋愛は。」

二人は微笑み合った。


「さっ、そろそろ晩御飯つくろうかな。」


「私も手伝うよ。」


二人はキッチンに立つ。

「あ〜、そう言えば。」

花蓮は、小さく呟く。

色々と雅の家に持って行っている事を忘れていた。


鍋無い。フライパンも。小さいのでできるかな?

どうしようか。


花蓮は、何でどう調理するか悩んで、停止している。


「ねぇ。まさかと思うけど。」


「な、何?」


「花蓮、雅のうちに住んでる?」


「・・・はぁ。もうバレたか。」

残された小さな鍋を握り、花蓮は俯いた。


「ま、マジ?そ、その?一緒に寝てんの?」


「う、うん。」


「わぁ〜。大人だ〜。」


「し、してないよ?!」


「いや、一緒に寝ててしない男は居ないでしょ?それか、雅が究極のヘタレなの?」


「いや、お泊まりの時の事話したでしょ?それが原因です。毎日苦しみながらも、疲れて眠ってる様です。」


「いやー、無理でしょ?普通無理!一晩ならともかく。」


「それが、現実に起きています。」


「ふ〜ん・・・半分信じないけど、本当だとしたら、私の目にくるいわなかったって事ね。

雅を好きになって良かったよ。」


「う、うん。私の事も、顔とか体じゃないんだって思わせてくれるよ。」


「いや〜、見せつけてくれますなー。」


「茶化さないで。」

花蓮は少し照れた様に俯いた。


ピンポーン。


「誰だろ?」

花蓮は、インターホンを見る。

「あっ、晩御飯難民が助けを求めに来たかも。」


「何、何?もう、胃袋つかんじゃった?」


「その様で。」

花蓮が、少し呆れながら玄関のドアを開けると、項垂れた様子で雅が立っていた。

「花蓮、お腹空いた。」


「はいはい。今から作る所だけど、上がって。」


「よっ!」

妃鞠は陽気に挨拶する。

「よっ!じゃねーよ。俺の花蓮を取りやがって。」

無愛想に雅は文句を言う。

「まぁそう言うなよ!花蓮とはもぅ、恋バナする中だし。」


「それは、それは。

ご飯を恵んでもらったら、邪魔者は退散しますよ〜。」

雅は力無く答えながら、床に座った。

「雅くん、来たとこで悪いんだけど、フライパンと鍋を取ってきてもらえない?調度調理器具がない事に気づいた所だったのよ。」


「うん、分かった〜。」


雅は空腹でフラフラとしながら、家に戻り、鍋とフライパンを持って来た。

「ただいま戻りましたよ〜。

早く、早く何かを!」


「はぃはぃ。ありがとう。

座ってて〜。」

花蓮はご機嫌で料理を始める。


「えっ!花蓮?」


「何?」

雅は、ふと気づいた様にキッチンの花蓮を見た。

「今、普通に鍋取りに行ったけど、妃鞠は全部知ってんのか?」


「うん。バレた。」


「そう。」


「そうだよ〜!雅のちょっと恥ずかしい話もしっかり問いただして、調査済みよ〜。」


「まぁ、いいよ。花蓮が話してもいいと思える友達ができたって事だろ〜?」


「う、うん。」

花蓮は以外だと思いながらも、嬉しそうだ。

「・・・怒られると思ったよ。」


「怒らね〜よ。

まぁ、照れくさいけど。」

「ありがとう。」


「あの〜、私もいるんですけど〜。」


「知ってるけど?」


「何?私を気にもしないで、いちゃつくのやめてもらえます〜?」

少し不機嫌そうに妃鞠は言う。


「別に普通に話してただけだろ?」

雅は少し照れた様に言う。


「普通に話しててイチャイチャなのね?あ〜羨ましぃ〜。」

妃鞠は、照れた雅を茶化す。


「で?お前はどうなんだ?」


「な、何が?」

雅からの、意味深な質問に、妃鞠は身構える。

「いや、今日もそうだけどさ、お前、涼の事好きなのに、俺にデートがどうとか言うなよ。」


「な、何故それを?!」

妃鞠は、焦っている。


「いや、見てたら分かるわ。

前まで俺にしつこかったのに、俺を餌に、涼に近づいてるのバレバレ。」


「ゔっ。あんた鈍感バカだと思ってたら中々やるわね。」


「・・・気持ちに答えられなかった分さ、涼との事は応援してる。

あいつ、面白おかしく誰が可愛いとか、今日告白してくるわ!とか前まで言ってたのに、今回は本気なんだと思う。

お前の事、何も言ってくれないからさ。

多分、本当にダメだった時に、落ち込むと思って、気を遣わせない様に言わないんだと思う。

まぁ、どっちに転んだって、俺は涼の親友なんだから、言って欲しいんだけどな。」


「そ、そう。ありがとう。」


「まぁ、協力できる事があれば協力する。」


「うん・・・頼む!」

妃鞠は照れるのを隠す様に、陽気に答えた。


「作戦会議は終わったみたいね。

さっ、できたよ〜。」


「おぉ!今日はカレーか!」

待ちわびた晩御飯に雅はがっつく。

「うまい!花蓮のご飯はうまいな〜。」

幸せそうに雅はカレーをたいらげた。


「あ〜。満足だ〜。」

雅は幸せそうに、だらける。


「はい、食べたなら帰った!」

妃鞠は、雅を邪魔者の様に扱う。

「ひどいな〜。

まぁ、女同士、話したい事もあるんだよな〜?分かったよ〜。」


「ごめんね。」

花蓮が申し訳無さそうにする。


ピンポーン。


「えっ?誰だろ?もう来客の可能性のある人なんて・・・まさか!?」

花蓮は、焦った様に立ち上がりインターホンを見る。

「お母さん!」


「えっ?」

「わぉ!」

焦る雅を見て、妃鞠は嬉しそうな顔をしている。

「ど、どうしよ雅くん?」


「・・・覚悟を決めた。謝罪する。」

「あはははっ!なんで謝罪?やましい事はしてないんでしょ?」


「い、いや。少しだけ。」


「真面目か!」

突っ込みを入れる花蓮を見て、妃鞠は興奮している。

「何?それ聞いてない!雅!言え!」


「今じゃないから〜!」

花蓮は必死になっている。


「いや、胸を少々。」


「バカなの?」

3人が騒いでいると、気づけば花蓮の母が立っていた。


「もぅ、早く開けてくれないから、入って来ちゃった。」

花蓮の母の手には合鍵が握られている。

「お母さん!」


「はぃ、お母さんよ。じゃぁ、まずはそこの男の子の名前と謝罪から聞かせてもらいましょうか?」


シーン。


花蓮の母が、そう言いながら座ると、場の空気は張りつめた。


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