17.保健室の女神再び。
キュッ、キュッ。
パスッ。
「よっしゃー!取ったー!」
ダムダムダム。
パシュッ。
練習の最後、いつもの様にランダムでチーム分けしての試合形式の練習。
雅は、キャプテンからボールを奪い、
シュートを決めた。
「よっしゃー!」
「雅、お前、朝練の時も思ったけど、なんか動きよくなったな。」
「やっぱりそう思います?
体が軽くて!ただ、使いこなせないと言うか、調子が良すぎると言うか。」
「まぁ、怪我だけは気をつけろよ。」
「はい!」
雅の体は、休息と、バランスの良い食事で絶好調となっていた。
少しの調子の違いが、判断能力をバグらせる。
雅は、いつもならパスに転じるところを、イケる!と判断した。
ダムダムダム。
ドリブルで雅は切り込む。
「しまった!」
無理な動きで足がもつれ、雅は派手に転んだ。
「雅!大丈夫か?」
部員達が駆け寄ると、膝から血が流れている。
「す、すいません。また、保健室ですね。」
「お前、最近怪我多いぞ。
気をつけろよ?」
キャプテンは心配そうにする。
「すいません。」
「まぁ、今日のは、ボーッとしてた訳じゃないから許してやろう。早く保健室行って来い。」
「はい!」
雅は、保健室へと急いだ。
「失礼しまーす。」
「あっ、みや・・・どうしました?」
またまたこのタイミング?
もう誤魔化せないかしら?
「あっ、どうも。」
「きょ、今日はどうされました?」
「また、転んだ。」
「あら、また女の子に見惚れたのかしら?」
今日は、私、体育館前を通っておりませんが?
「いや〜、何だか体の調子が良すぎて、判断能力がバグってると言うか、イケると思ったらイケなくて、足がもつれたんだよ。」
花蓮との事、お礼言わないとな。
「そう、バランスの良い食事の効果が出てきたのかもね。」
「そうだと思う・・・えっ?何で知ってんの?」
「・・・えっ?」
「・・・ん?」
「す、座って、血が床に落ちちゃう。」
「あ、あぁ。」
花蓮は、無言で膝の手当を進める。
「なぁ。花蓮。」
「な、何?
よ、呼び捨てにする程、私たち仲良しじゃなくってよー。ハハッ。ハハッ。」
花蓮は、必死に誤魔化そうとする。
「じゃぁ、花蓮さん。
何で知ってんだ?
まさか!本当は、花蓮と友達なのか?」
はぃ!私の彼氏はバカでした〜!
「ま、まぁ、色々相談されてたわ。
隠していてごめんね。」
「やっぱり。」
雅は、少し膨れた表情だ。
「俺の気持ちは筒抜けだったって訳か。
道理で、自信満々のアプローチが続いた訳だ。」
「あなたの気持ちは伝えてないわ。
あの子がそれだけ必死だったんじゃない?」
「そっ、そうなのか?
なぁ、花蓮さんなら、付き合う前に体を許したりするか?」
「・・・う〜ん。どんな手を使ってでも、その人の事を手に入れたいって思ってたら、その人の人柄とかも考えてだとは思うけど、無い事は無い。かしら?」
「そ、そう。」
「お付き合いできたそうね。」
「うん。お陰様で。」
「今の話の流れだと、もう、そう言う関係なのかしら?」
この機会に、色々探ってみようと、花蓮はイタズラな質問を続ける。
「いや、まだだよ。
花蓮はいいよって言うけど、無理してると言うか。メガネ取ってくれないし、まだ心を完全に許してくれた訳じゃないと言うか。とにかく、俺は、心から花蓮が俺を信頼してくれないと、そう言う事はしたくない。と、思ってる。」
「そう。あなた、人の事を簡単に信用しすぎよ?私達はまだ3回しか会ってないよね?そんな事、仲の良い親友くらいにしかいっちゃダメよ?」
「あ、本当だ。
何でだろ?何故か君には話してしまう。
まぁ、その。花蓮と付き合えたのは君のお陰と言うとこもある。
ありがとう。」
雅は、ニコッと微笑む。
「どういたしまして。さっ、手当終わったわよ。」
「うん。ありがとう!
保健室の先生って、やめたのか?」
「はぁ。あなたがタイミングを見計らっているかの様に現れるだけよ?」
そう、驚く程タイミング良く。
1日に数秒しかないタイミングに3度もね。
「そっか、なら良かった。
もしやめてたら、君が大変だろうなと思って。」
「ご心配無く。」
「じゃ、行くわ!早くしないと試合終わっちまうー!」
雅は足速に保健室を後にした。




