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消しゴムを貸しただけで。  作者: 蓮太郎


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16/28

16.すぐにバレました。

部活のリフレッシュ期間の終了と共に新学期が始まった。


雅は、朝練を終え、階段を走っていた。

「ハァハァハァ。」

ガラガラ。


「どうしたの?そんなに息を切らして。」


「相変わらず早いな。」


「うん。事情があってね。

さっきまで一緒にいたのに、もう会いたくなったの?」


「悪いかよ。」


「嬉しいよ。毎日、いつでも、ずっと、一緒にいたい。」


「俺も。バスケは楽しいけど、ふとした時に花蓮の事考えてしまう。」


「バスケの時は集中しないと、また怪我しますよ?」


「そうだな。気をつける。」


二人は、お互いの席に座り、見つめ合って話している。


「やっぱり、そう言う事かよ〜。」

涼が教室の外から覗いている。

「入ってよろしいでしょうか?」

涼は、敬礼ポーズを決める。


「・・・好きにすれば?」

少し照れた様に、雅は言う。

涼は、雅の前の自分の席にカバンを置いた。

「特進は、クラス替えないのは寂しいと思ってたが、お二人さんは楽しそうで。」

ブツブツいいながら、涼は席に座る。

「なぁ。」

涼は、黒板を見たまま呟く。

「何だよ?」


「余計な詮索はしないでおこうと、こうして俺は黒板と睨みあってる訳だか。」


「・・・で?」


「俺達って何でも話す仲の、いわば親友だよな?」

涼は、雅に背を向けているが、不満オーラをまとっている。


「分かったよ。」

了解を取るように、雅が花蓮を見ると、少し笑いながら、花蓮は頷いた。

「休みの間に付き合う事になった。」


「・・・羨ましい。」


「ま、まぁ。幸せだ。」


「ふざけんな。ふざけんなー!」

涼は、叫びながら振り向いた。

「俺は去年、3度告白して3度振られた!なんで、恋なんて分かりませ〜ん、って言ってたお前に彼女ができてんだよー!」

涼は、涙交じりに訴える。


「色々あったんだよ。」

雅は、一緒に住んでいる事や、泊まり旅行の事は伏せて、経緯を説明する。

「そう。そうかよ。消しゴムって・・・恋愛小説かよ!

池下はこいつのどこがいいんだよ?」


「う〜ん。一生懸命な所?

後は、以外と真面目とか?」


「俺だって同じ様なものだ。

なのに、なのに。

結局、顔だろ?」

涼は不満気に問いただしてくる。


「まぁ、顔は確かにいいね〜。

でもそこは変態と言う部分がかき消してしまうな〜。」

ガラッ。

「なっ!まさかお前ら、もうそんな事を?」

涼は、驚きの余り、椅子ごと一歩下がる。


「違う、違う。

なんか、枕の匂い嗅がれたりとか?」


「う、羨ましい!」


「あぁ、同じ種族の方でしたか。」

花蓮は、呆れた様に涼を見る。


「あんまり変な事言うなよ。」

雅は、頭を抱える。


「まぁ、それはそうとだ、池下って普通に話せたんだな。」


「わざと話してなかっただけなので。」


「なんで?」

不思議そうに涼は顎に手を当てる。


「色々あるのよ。」


「・・・色々ねー。

まあ、それはいいや。

なんでじゃあ、俺と話してくれてんの?」


「雅くんの親友だから?」


「み!雅くん!・・・雅くん・・・。」

涼は、二人が名前で呼びあっている事に気づき、さらに落ち込んだ。

「なぁー、池下、俺にも彼女作ってくれよ〜。」


「残念ながら、ご存知の通り、私にはお友達がいませんので。」


「だよな〜。」

涼は、椅子から尻を浮かし、花蓮に近づくと、まじまじと花蓮の顔をみる。


「な、何?」


「これは・・・掘り出し物だったのか!」


「おぃ、近すぎだ。」

雅は、少し不機嫌そうに涼の首根っこを掴み、席に戻した。

「雅!お前はこの美貌にいち早く気づき、求愛したのだな!」

涼は興奮した様子で雅の両肩に手を当てている。

「何がだよ。」


「池下、そのメガネ取ってくれよ!」


「無理。」


「涼、花蓮は、メガネを取りたくない理由があって、俺も花蓮の顔をちゃんと見た事ないんだよ。」


「な、なんだそれ。じゃぁ無理強いはできんな・・・だが、メガネと、地味な髪型で気づかなくなったが、肌は透き通る様に白く、メガネで隠れた部分以外は、整った顔立ち、そして、長く美しい黒髪・・・間違いない!池下は美人だ!

良かったな〜雅!

俺も美人な彼女欲しいな〜。」


「分かった、分かった。」


「ふふっ。ごめんね。二人の前では、いつかこのメガネ取れるといいな。」

少し嬉しそうに、花蓮は俯いた。


「おはよ〜!」

「よっ!」

しばらくすると、他のクラスメイト達も続々と登校してくる。

雅の周りは、休み前と同じ様に、クラスメイト達で賑わう。

花蓮は、知らぬフリで読書をしている。


「ね〜雅、そろそろデートしてよ。」

雅にデートの誘いをしているのは、植村妃鞠うえむら ひまり

雅には、去年告白してふられている。


気にしないフリをして、隣りで読書をしていた花蓮は、ビクッと反応した。


「妃鞠、悪いけど、俺、彼女できたから。」


「・・・またまた〜。」

妃鞠は、自分を交わすのに、嘘を言っているのだろうと、疑いの目を向ける。

「・・・。」


「はぁー!ふざけんな!俺っ、好きとか分からん、とか言って振ったのつい2ヶ月前よね?」

妃鞠は怒り狂っている。


妃鞠の容姿は美しい。

学年四天王とか、密かに言われている。

が、雅は、興味がなかった。


「そうだな、つい1ヶ月程前から、俺の恋は始まったからな。」


・・・なんだかこっちが恥ずかしい。

私、隣りにいるのですが〜?

まぁ、でも、ちゃんと言うんだ。

ちょっとうれしい。


花蓮は、本に顔を近づけて、顔を隠す。


「知らんわー!あームカつく!

もういい!」

妃鞠は、雅を睨むと、そっぽを向いた。


「で?」


「何?」


「その、雅を射止めた彼女さんは誰?」

花蓮は焦って雅の方を見た。

「・・・。」

雅が、言って良いものかと、花蓮に視線を送ると、花蓮は小刻みに首を横に振る。

「それは言えません!」

雅は、笑顔で誤魔化そうとする。


「はは〜ん。あんた達、バレバレなんですけど?池下さんね〜。」

妃鞠は、花蓮に顔を近づけて、凝視している。

「い、いや。」

雅は焦って誤魔化そうとするが、妃鞠は無視して、花蓮の方を優しく叩く。

「さぁ、何があったかのか教えてもらいましょうか〜?」

妃鞠は、花蓮を問い詰める様に、顔を見つめる。

「ば、バレたなら仕方ないね。

私が、雅くんの彼女です。」

妃鞠の真っ直ぐな視線に、花蓮は対抗する様に見つめ返す。


「はぁーー!!!」

そんな訳ない、何を言ってる妃鞠。

とばかりに、笑っていた周りのクラスメイトたちは、花蓮の発言で、発狂する。

クラスメイト達は、雅と、花蓮の周りを囲む様に集まる。


「はぁ、流石は雅ね。

池下さんなら仕方ないわ〜。

私、池下さんがメガネ外してるの見た事あるのよ。間違いなく学校一美人だわ。」


「えっ?いや、そんな事は。」

宣戦布告でもされるのかと思っていた花蓮は、あっけにとられながら、焦っている。


「池下さん。」


「何?」


「心配しないで。私、流石に人の幸せを潰そうと思う様な、女じゃないから。」


「・・・ごめん。以外だった。」


「あはははっ!池下さんって以外と素直なのね?話すと面白ろそう!」


「わ、私は・・・。」

花蓮は、雅に助けを求める様に視線を送る。

「だー、めー。私の興味は、もう雅から池下さんに移ったの。とりあえず、花蓮って呼ぶね〜。あと、私は妃鞠。

妃鞠でお願い。」


「う、うん。」

花蓮は仕方なさそうに頷いた。


側付く周りを気にせず、妃鞠は花蓮にグイグイ迫る。


ガラガラ。

「おーぃ!何してる!早く座れー!」

先生が入ってきたのを見て、花蓮は安堵の表情を浮かべる。


「ちっ。花蓮、助かった〜とか思ったでしょ?甘いからね〜。」

仕方無さそうに、妃鞠は自分の席へと、向かった。


この日、一瞬にして、二人の関係は学年中を飛び回った。

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