15.心の準備。
ガタン、ゴトン。
二人は電車に揺られながら、コンビニで買ったおにぎりを食べている。
「あ〜、演舞が恋しい。」
「そうだね〜。
ところで、そろそろどこに行くか教えてくれないかな?」
「う〜ん。耐えてくれ。」
「はいはい。」
花蓮は、行き先を告げられないまま、電車を降りた。
「ここ、空港?」
「あぁ、飛行機大丈夫だったか?」
「まぁ、何度か乗ってるから。」
「良かった。」
飛行機に乗り、二人は、北海道へと降り立った。
「なんで北海道?」
「池下、雪が見たいって。」
「覚えててくれたんだ。」
「うん。数日前に寒波が戻ったらしくて、今はこの通り!」
空港の窓から、雅は外の真っ白な景色を花蓮に見せた。
「素敵〜。私、雪ってあんまり見たことがないから、見るとうれしい気持ちになる。」
「俺もだ。じゃぁ、とりあえず行こうか。」
二人は、旅館に付き、チェックインを済ませた。
「わぁー!広い!」
部屋の入り口で、雅は花蓮の腕を掴んだ。
「どうしたの?入ろうよ。」
「ここにはまだ見せられない野望が隠されている。荷物をここに置いて、出かけるぞ?」
「・・・大体、分かった気がする。
私は、覚悟をしないといけないという事ね?」
「・・・察しが良すぎて可愛げがないぞ?」
「普通分かるでしょ?それとも、気付かないフリして、何〜?とか言う子の方が好き?」
「まぁ、池下のそう言う正直な所はいいと思う。」
「そう、良かった。じゃぁ、行こ?」
「お、おぅ。」
二人は観光を楽しんだ。
花蓮は、雪に触れて、嬉しそうだった。
「このお店、素敵。料理もすごく美味しかったよ〜。」
二人は、お高いディナーを堪能した。
「旅館でご飯食べるのだと思ってた。」
「あぁ、旅館の人にはちょっと嫌そうな顔されたな。」
「なんでここなの?」
「ここは、父さんと母さんが結婚を約束した場所なんだ。」
「あら、素敵。」
「池下・・・いや、花蓮。」
「はい。」
花蓮は、少し俯き気味に答えた。
「好きだ。多分、消しゴム貸してくれた時から、引かれ始めた。
付き合って下さい。」
「・・・告白の言葉に、まさか消しゴムが出てくるとはね。
私も、雅くんの事が好き。
これから、よろしくお願いします。」
「ありがとう。
・・・何だか不思議だな。
まだ恋に初めて気付いてから、一ヶ月も経ってないのに、恋人ができるなんて。」
「何だか悔しい気持ちだ〜。私は、ずっと雅くんが好きでしたよ。ずっと、ずっと、諦めて、我慢して、なのに、不公平だわ。」
「そ、そうだったんだ。
いつから?」
「秘密。また今度教えてあげる。」
「なぁ、池下。」
「ん?誰それ?」
「・・・ごほんっ。花蓮。」
「はい?」
「そのメガネ、とってくれよ。」
「・・・。」
「・・・その、まだダメか?」
「その、いざとなると恐い。」
「恐い・・・か。じゃぁ、俺の野望も今日は封印しないとだな。俺は、花蓮が恐いと思う気持ちがなくなった時に、そうなりたい。」
「また意地をはるのね。
・・・ごめんね。ありがとう。」
「うん。大切にしたい。花蓮の事。
話せる様になったら、そのメガネを外して、花蓮が秘密にしてる事を全部教えてくれ。」
「うん。」
花蓮は、俯きながらも嬉しそうにする。
「でも、混浴もったいないね。」
「・・・バレてましたか?」
「バレバレです。」
「ふふっ。」
「ハハッ。」
二人は見つめ合い、笑った。
二人は、旅館に戻ると、別々に部屋の露店風呂に入った。
そして、旅館の浴衣姿で、布団で見つめ合っている。
「今日は、ありがとう。
すごく楽しかった。
雪も見れたし、何より、雅くんが彼氏になってくれた。
人生で一番幸せな日です。」
「俺も。一番幸せな日だ。
彼女になってくれてありがとう。」
花蓮は、顔を雅に近づけて、目をつむる。
雅は、吸い込まれる様に、花蓮にキスをした。
「やったね。念願が叶いました。
キスってなんだか不思議な気持ちになる。」
「そうだな。そして、ここまでで耐える決意が鈍りそうだ。」
「ふふっ。メガネっ子で良ければ、大歓迎ですが?」
「いや、俺は、素顔の花蓮とそうなりたい。」
「ほんとに理想がお高い事。」
「ただ。」
「だた?」
「ちょっとだけ触りたい。」
「・・・どうぞ。」
雅は、花蓮の胸元に手を伸ばし、触れた。
「あっ。」
「すごい。柔らかい。
・・・もう、やめとく。」
「どうでした?」
「花蓮が大きくて良かった。」
「あら、大きいのが好きでしたか。」
「はい。」
「ふふっ。」
二人は抱きしめ合うと、目を閉じて眠った。
のは、花蓮だけだった。
あぁ、無理!
触るんじゃなかったー!!
雅は、耐えながらも、花蓮の香りに包まれ、幸せを感じた




