14.告白の計画。
「さぁ!召し上がれ!」
晩御飯をテーブルに並べ終わると、花蓮はウキウキした様子で座る。
「・・・魚、漬物、味噌汁。
朝ご飯みたいだな。」
雅は少しがっかりした表情をしている。
「これは、手抜きした訳ではないわよ?
演舞の実力を確かめるための料理。
いえ、今日の主役はこのご飯!」
花蓮は、嬉しそうにお茶碗を持つ。
「成る程。そう言われると、何だかご馳走に見えてきたぞ!」
「そうでしょ、そうでしょ!」
「ところで、漬物なんかスーパーで買ってたか?」
「あぁ、これは、一年間育て続けた私のぬか床ちゃんに漬け込んだ、花蓮スペシャル漬物よ。」
「おー!それは素晴らしい!
この漬物には池下のエキスが・・・。」
雅は箸を持ち、漬物をいやらしい目で見つめる。
「ちょいちょい変態が顔を出すわね。
今のは少し引きました。」
「・・・だよな。」
雅は俯いた。
「だって本当にそう思ってしまったから。この漬物は俺以外に食べさせないで欲しいな。」
「はい、はい。わかりました〜。
早く食べてみてよ?」
複雑ではあるが、一応、嬉しいと思おうと花蓮は自分に言い聞かせた。
「お、おぅ、ポリポリポリ。
うまい!そして、ご飯を。」
雅はすかさず、演舞で炊かれたご飯をほうばる。
「米、うまっ!」
「美味しいね〜。」
「買って良かったな!」
「うん!」
二人は、時折笑顔で見つめ合いながら、満足気に食事を進めた。
「ねぇ、何してるの?」
雅は、珍しく花蓮の前でずっとスマホを見ている。
「いや、今終わった。
なぁ、池下。」
「何?」
「あした、朝から出かけるぞ。」
「え?う、うん。でもどこへ?」
「行き先は秘密だが、一泊できる荷造りを今から頼む。」
「・・・まさか、私をかどわかすつもりね?」
「いや、それはほぼ同棲の状態で言う言葉じゃなくないか?」
「・・・それもそうね。」
「今晩からは、別々で寝れそうか?」
「うん。でも嫌。」
「はい?」
「一度一緒に寝たんだし、もう一緒で良くない?」
「俺の苦労も知らずに。」
「苦労って?」
意地悪な顔で花蓮は雅を見つめる。
「聞くのか?あぁ、教えてやろう。
キスしたい。そして、それに触りたい。」
雅は花蓮の胸元を指さす。
「しかも、直に。
そして、服を脱がせて、池下を色々堪能した後で、大人の階段を登りたい。」
雅は、当てつけの様に、願望を口にする。
「ゔっ。良くそれを口から出せたわね。
聞いているこっちが恥ずかしいわ。」
「穴が合ったら入りたい。」
「それは?」
「お前、珍しく下ネタか?」
「・・・。」
花蓮は、顔を赤くして俯いた。
「べ、別に、私はいつでもいいって言ってるのに、佐藤君が意地をはってるだけじゃん。
なんでもいいから、一緒に寝たいー!」
「駄々っ子かよ。
・・・わかりました。」
「・・・よろしい。」
花蓮は嬉しそうにする。
「でも、くっついたら、ダメだぞ?」
「嫌。」
「この子、ダメだ。」
「はい。私はダメな子です。」
「とりあえず、荷造りしようぜ?」
「うん。」
雅は、夜を恐れながらも荷造りを始める。
「よし!完璧!明日は、7時出発だからな。朝ご飯は、電車で何か食べる。
寝坊すんなよ〜。」
「あら、変態さんが、今日は頼れる男に見えるわ。」
「うるせっ。風呂先に入れば?」
「うん。今日は多分大丈夫だから、ゆっくりしてて。」
「うん。」
雅は、安堵の表情を浮かべる。
花蓮が風呂に入ると、雅はまた、スマホを手に取る。
う〜ん。池下はどんなところに行きたいだろうか。
雪ね〜。
ガチャ。
「お待たせ、佐藤君もお風呂どうぞ。」
「あぁ。はぁー!」
雅がスマホから花蓮に視線を移すと、そこにはバスタオルを巻いた花蓮が立っていた。
「お前、何してる?」
「何って何が?」
花蓮は、とぼけた顔をしている。
「キャッ。」
わざとらしい悲鳴と共に、バスタオルが床に堕ちる。
「バカっ。」
雅は、焦って視線をずらそうと横に向く。
「ん?」
視線をずらし座間、視界の端に人の裸の色ではない色が、映ったきがして、雅は視線を花蓮に戻した。
「期待した?ねー!ねー!」
花蓮は、バスタオルの下は、薄手だが、ちゃんと服を着ていた。
「怒るぞ?」
「恐い顔しないでよ。」
「すまん。」
「ほんのイタズラ心でした。
ごめんなさい。」
「分かればよろしい。」
雅は、父親が娘を諭す様に言った。
雅もこの後風呂に入り、二人は、ベッドに横になった。
「よいしょっ。」
「ゔっ。」
「ゔって何。」
背中にくっついた途端に、変な声を出した雅に、花蓮は不満そうにする。
雅は、花蓮の方を向いた。
「えっ?」
油断していた花蓮は、ドキッとして、俯く。
「無理だ。」
「だから・・・いいよ?」
花蓮は俯いたまま答える。
「いや、池下、下着つけてないだろ?」
「う、うん。」
「下着ないと、当たった時の感触が、桁外れなんだよ。」
「でも、あれ、寝る時苦しいの。
あっ、これは本当ね。」
「そ、そうか。なら仕方ないか。」
雅は、またクルッと回り、花蓮に背中を向ける。
「ちっ、期待したではないか。」
「心の声がもれてますよ〜。」
「あら、失礼。」
「そう遠くない。」
「何が?」
「覚悟しとけよ〜。」
「・・・はい。」
緊張した花蓮の、雅の体に回した手に少し力入った。




