表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
消しゴムを貸しただけで。  作者: 蓮太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/13

11.ホラー映画は禁止。

「いやー!久しぶりに手づくりの料理を食べたよ。ありがとう。」


「どういたしまして。」


二人は、後片付けを終え、ソファーでくつろいでいる。


「風呂入る?」


「えっ?一緒にってこと?」


「はぁー!違うわ!」

雅は焦っている。


「ふふっ。冗談だけど?」


「過激な冗談はよせ。

罰として、本当に一緒に入るぞ。」

雅は真面目な顔をして、花蓮の腕を掴んだ。

「えっ?ちょっと!」

花蓮は焦った表情をしている。

「ははっ。あはははっ!焦ったか?

やられたら、倍返ししないとな。」


「む〜。」

花蓮は膨れている。

「あっ・・・服が。」


「あぁ、俺ので良ければ貸すけど?」


「服は借りたとして、下着が。」


「・・・そ、そうか。やっぱり今から送ろうか?」


「無理!しばらく一人で寝れないよ!」

花蓮の脳裏にあの旋律の映像が繰り返し蘇る。


「じゃあ。」

雅は立ち上がると、クローゼットを物色し始める。

「この色なら透けないだろ。」


「薄いね。」

花蓮は、雅の差し出した服を不満そうに見ている。

「ここ、割と高級マンションだから、夜暑いんだよ。俺なんて、年中半袖と短パンで寝てるからな〜。」


「まぁ、いいわ。じゃあ、入ってくるね。」


「あ、あぁ。」


花蓮は、脱衣場ドアを閉めた後、再びドアを開ける。

「のぞくなよ。」


「お、おぅ。」


花蓮は、服を脱ぎ浴室に入り、ドアを閉めた。

「・・・。」

脳裏にまた、ホラー映画の映像が流れ出す。

「無理だ。」


ガチャ。

花蓮は、浴室のドアを少し開けた。

「佐藤く〜ん。」


花蓮が呼ぶと、雅が近づいて来る足音がする。

「どうした?」

脱衣場のドアの前で雅が呼びかける。

「そ、その。入ってきて。」


「はい?」


「冗談じゃくて、本当に。」

ガチャ。

雅は恐る恐る脱衣場のドアを開けた。

浴室のドアの少し開いた隙間から花蓮の目が覗いている。

隠れているつもりの花蓮だったが、雅からは、スリガラス越しに花蓮の体がうっすら見えていた。


「おっ、おい!」

雅は、目をそらした。


「えっ?・・・キャッ。

・・・見えてた?」


「い、いや。薄っすらと。」


「バカ。エッチ。」


「不可抗力だ。で、何だよ。」


ドアの隙間から花蓮の白い腕が出てくる。

「そこ、そこにいて。」


「・・・もしかして、怖いのか?」


「・・・はい。」


「はぁ。分かった。」


「ありがとう。」

ガチャ。

雅がドアの横に座ると、花蓮は安心してシャワーを出し、体を洗い始めた。


・・・下半身さんが、反応しそうです。

池下さん、これは拷問ですか?

「佐藤君、いる?」

「はい!」

「はい!ってどうしたの?」

「バカ、この状況は色々大変何だよ!」

「・・・ごめん。お経でも唱えてて。」


「南無妙法蓮華経〜。」


「ふふっ。本当に唱えた。」


「いいから早く終わらせてくれ。」


「はぁ〜い。」

雅は、拷問に耐え続けた。


「佐藤君、出る。」


「あ、あぁ。」

ガチャ。

雅は、ようやくと言う気持ちで、脱衣場を出て部屋に戻ろうとした。

「佐藤君!」


「今度は何だ?」

雅は、疲労困憊している。


「ドアのとこにいて。」


「はいはい。雅は、諦めてドアの横に座る。」


ガチャ。

しばらくすると、ドアが開いた。


「お待たせ。ごめんね。お風呂どうぞ。」


「うん・・・えっ?」


「どうしたの?」

雅の視線は、下着を付けずに雅の服を着た花蓮の胸元に引き寄せられる。


ポインッ。

「あぁ、これ?」


「風呂で一体何が?」

雅は、真剣な顔で考えている。


「いつもは小さく見せる下着を付けてるの〜。」

花蓮は軽蔑の眼差しを送る。


「そんな技術が・・・と、いう事は、それが池下の本当の姿だという事か。

ん?盛るのはしってるが、あえて小さく見せる必要はあるのか?」

雅は、顎に手を当てながら花蓮のそれを見つめる。


「見すぎ!」

花蓮は胸元を隠した。

「色々あるの。」


「そっか。

それにしても、服、薄かったな・・・透けなければいいと言う物でも無かった。

俺は今日、約束を守れるだろうか?」


「そう言うのは、心の中でこっそり思ってもらえるかしら?

我慢はするけど多分無理宣言に聞こえて危険を感じるのですが?」



「まぁ、頑張るよ。風呂入る。」


「う、うん。」



トントントン。

雅が脱衣場で服を脱いでいると、ドアがノックされる。


「どうした?」


「今日は、一人になるとまずいみたい。

ドアの前に座ってていい?」


「はぁ。ホラー映画はもう禁止だな。

入っていいぞ。」


「う、うん。」

花蓮が脱衣場に入ると、雅はシャワーを浴びていた。


「背中大きいな。」

花蓮は、スリガラス越しに見える雅の背中を見つめ、小さく呟いた。

花蓮は、雅の背中をしばらく見つめていた。


「池下、でるぞ?」


「うん。」


「いや、廊下に出てもらえないでしょうか?」

ガチャ。

浴室のドアが開き、バスタオルを持った花蓮の手が隙間から差し込まれる。


「とりあえず拭いて。

・・・私が一人になる時間をなるべく減らす努力をしなさい。」


「・・・えらく上からおっしゃいますね〜。」


「お願いします〜!」


「はいはい。承知しましたー。」


雅は、体を拭き、花蓮を脱衣場から出すと、すぐに服を着た。下だけ。


「いいぞ。」


「遅い!って!上も着てよ!」

上半身裸でドライヤーを持った雅を見て、花蓮は目を伏せた。

「だって暑いし。我慢しろよ。」


「ゔ〜。着てくれないなら私も脱ぐよ?」


「お、おぅ。」

雅は少し嬉しそうにする。


「おぅじゃなーい!」

花蓮はさけびながら、籠に置かれた雅のTシャツを頭から被せた。

突然視界が暗くなり、バランスを崩した雅が、花蓮にもたれかかる様に倒れそうになる。


ドンッ。

雅はとっさに、壁に手を付き、もう片方の手で花蓮を抱き寄せた。


「おぃ、危ないだろ?」


「ふふっ。ごめん。顔が出てたらドキドキしたかもね〜。カッコが態みたい。」

シャツを顔に被ったまま、上半身裸の雅を見て、花蓮は笑う。

「あのな〜。」

シャッ。

花蓮は、雅のTシャツを引っ張り、顔を出させる。


「・・・。」

二人は見つめ合い、しばらく機能停止した。


「壁ドン、ありだね。」

ドキドキに耐えられなくなった花蓮が冗談めかして言う。

「はぁ。今日はご褒美デーなのか、厄日なのか。」

雅は、壁についた手を引きながら、花蓮を抱き寄せた腕もほどいた。


「きつい?」


「きっーついわ!」


「ごめん。」


「・・・別にいいよ。元はと言えば、俺がホラー映画見せたのが悪いんだし。」


「そうね。見るんじゃなかった。

・・・一人になると、ふとした時にあの映像が蘇るわ。」


「責任とって今日は一緒にいてやるよ。」


「あのさぁ。」


「何?」


「今日だけで許されると思ってたら甘いと思うよ?」


「明日も、あさっても、記憶が薄れるまでいるよ。」


「一生薄れなかったら?」


「・・・一生でもいいよ。」


「・・・。」

花蓮は、何も言わずに、嬉しそうに微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ