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男装令嬢、婚約破棄したってよ  作者: こんぺいとう
第一章 男装令嬢とお見合い
3/9

お見合いなんて無理ですが!? 〈2〉

第三話です。

お見合い編です。

今のところ盛大なタイトル詐欺。

ですが、楽しんでいただければ何よりです。

「ごきげんよう。まず、本日はお見合いに応じていただき、誠にありがとうございます」

「ハ、ハイィ……」

「ちょっとヘレ……じゃなくてヘルド様!もっと威厳と自信を持って!」

目の前には、世にも美しい銀髪を持った、さながら人形のような異国の令嬢。

緊張と人見知りと焦りでろくな返事ができないわたくしを、横からクラシカルなメイド服に身を包んだメイジーが小声で小突いてきます。

お父様は、わたくしのお見合い(別に婚姻を結ぶつもりはさらさらございませんがね!)というショッキングなシチュエーションに、キノコが生えそうなほど落ち込んでらっしゃいますし。

相手の方の付き添い(若い執事の方です)は、それを眺めながらにこにこと満面の笑みで、何を考えてらっしゃるか分かりません。

あぁ、カオスです。

上手くやり過ごせるでしょうか。

男のふりを始めてもう数ヶ月、そこそこに慣れはいたしましたが、対面で長時間話せるかと言ったら自信ないですし。

そもそも、お見合い自体知らされたのも今日ですし……。

本当に大丈夫でしょうか、このお見合い。

わたくしはヒクッと作り笑いの口を引きつらせました。 


「では、自己紹介から参りましょうか。僕はカイト。本日は我が主人の付き添い役として同行いたしました」

微笑みながら話を切り出した付き添いの方、改めカイトさんが、お相手の方に目線で自己紹介を促しました。

というかカイトさん、イケメンですねぇ。

優しそうです。

糸目で、何考えてらっしゃるか全く読めませんけれども。

こういう方が、意外と腹黒かったりするのでしょうか。


そんな事を考えていると、今度はお相手の方が口を開きました。

「アネッサ・ベルです。立場上、ベル家の次期当主ですが、好きに呼んでいただいてかまいません。本日はよろしくお願いいたしますね」

改めて見ても、お相手の方もといアネッサさん、とても綺麗な方です。

少しのクセもうねりもない、輝くような銀髪。

銀髪は、かなり希少ですので奇異の目で見られることも多いと聞くのですが、それを隠しもせず堂々としているのにも好感を持てますね。

何より、顔かたちが整ってらっしゃいます。

かわいい、というよりは綺麗系統でしょうか。

スッと切れ長な、紫の瞳。

高く通った鼻筋。

どちらかといえば中性的な容姿ですね。

ゆったりとした、想像よりは低いアルトの声も、ストンと通って綺麗です。

表情豊かで、抑揚も気さくですし。

非の打ち所のない方ですね。

なんだか、余計に緊張してきてしまいますよ……!


「では、そちらの方もよろしくお願いいたします」

メイジーが何も言わないところを見ると、これはわたくしが最初に自己紹介すべきでしょうか?

緊張と人見知りによる心臓のバクバクと、いますぐ物陰に隠れあわよくばそのまま帰りたい欲求を抑えながら、わたくしは口を開きました。

「ヘ、ヘルド・エクリアナ、です。こちらもどうぞ、お好きに呼んでいただいて……よっ、よろしくお願いします」

途中何度かつかえつつも、なんとか自己紹介を終えられました。

わたくし、偉いです!

偉すぎます!

心の中で自分の事を絶賛していると、メイジーが横で満足げにうんうんと頷き、こっそりと親指を立ててきました。

たったこれだけで全てが終わった気になっているわたくしも、ピッと親指を立て返します。


メイジーはわたくしに向かってにこやかに微笑んだ後、口を開きました。

「メイジー・パターソンです。本日はヘレ……ヘルド様と当主の付き添いに参りました。どうぞ、よろしくお願いいたします」

そう言って、輝くばかりの笑みを浮かべるメイジー。

付き合いが長いわたくしにはわかりますよっ、メイジー!

貴女、それ余所行き営業スマイルでしょう!

異国の良家とエクリアナ家との間にいい関係を作りたいのはわかりますけれど、そんな表情したらメイジー、あなたモテるじゃありませんか!

また家に幾人もの男性が押し寄せてくるなんて、わたくしはごめんですからね!

メイジーはわたくしの心を読んだかのように、てへ、とこちらを向いて笑ってみせました。

クッ、そんな表情をされていても顔が良いですね。

さてはメイジー、あなた確信犯ですね!?


わたくしが深く深くため息をつくと、メイジーは特に気にした様子もなく、今度はお父様に自己紹介を促しました。

わたくしはなんとはなしにお父様に目を向け、そして眉を潜めます。

それもそのはず、お父様は最早キノコを生やすどころか、部屋の隅に体育座りをしてらしたからです。


「ちょ、ちょっとお父様!」

慌てて声を低くし、呼びかけます。

なんでしょう、お父様の周りだけ、ジメジメとどんより湿った空気が流れている気がいたします。

いくら娘のお見合いがショックだからといって、形式的なものなことは、お父様もわかってらっしゃるはずですのに!

そもそも、女と女で結婚できるわけがないじゃないですか!

第一、わたくしアネッサさんと一対一でしっかり話せる気すらいたしませんのに!

大体、あなた貴族の当主でしょうが!

お見合いとはいえ公の場なのですから、せめて立っていてくださいっ!!

さっきからカイトさんが笑いやまなかったの、もしかしなくてもこのせいですね!?


わたくしとメイジーの視線に気がついたのか、お父様はのろのろと立ち上がり口を開きました。

「ルーン・エクリアナです……本日はむす……こをよろしくお願いします……」

ちょっとお父様、もしや今、「娘」と言いかけましたね!?

危ないじゃないですか!

大体お父様、そんなこと少しも思ってらっしゃらないくせに!

本当に、大丈夫なのでしょうか。

この先を思い、わたくしは再度ため息をつきました。 

閲覧ありがとうございました。

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