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婚約者に捨てられ、親友に裏切られた私ですが――どん底からのストーリー  作者: ワスレナ
第四章

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第59.5話 届かぬ過去の絆

 私、倫道(りんどう)伽耶(かや)の足はルミナリエ化粧品本社へと向かっていた。


 地下鉄から駅を出て、バスに乗り継いだ。


 まだ間に合う……はずだという思いを持って。


 髪を振り乱し、脇目もふらずにまっすぐと。


 目指す先は、あの子――未春。


 会ってから、何を言うかはもう全て決めている。


 本社ビルが見えてきた。


 もうすぐだ。


 信号が青に変わり、バスが発車する。


 しばらく進むと、バスは減速して停留所に止まった。


 バスから降りると、すぐそこに本社ビルが見える。


 はやる心を抑えながら、ようやく門の前に立った。


 ここで未春が働いているのか。


 今までの記憶が蘇る。


 意を決して、玄関ドアをくぐった。


 正面にフロント受付が見えた。


 私は息を整え、未春に会いに来た旨を伝えた。


「申し訳ございません。有動はあいにく出張のため不在にしております」


「えっ?」


 まさかの不在。


 再会は空振りに終わる。


「いつなら、会えますか?」


「申し訳ございません。それはお答えしかねます。訪問いただいたことを伝えますので、こちらの情報シートに記入願います」


 よくある会社へ訪問時の記入物のようだ。


「わかりました」


 私はペンを取り、自分の情報を書き留めていった。


 必要事項をすべて書き終え、受付に提出する。


「ありがとうございます。有動から連絡した方がよろしいでしょうか?」


「はい、お願いします」


「かしこまりました。伝えておきます」


 受付嬢の言葉に、私は一分程度で、正確に意図を伝えた。


「かしこまりました。本日承った事、有動へお伝えします。本日はお越しいただき、ありがとうございます」


「よろしくお願いいたします」


 私は一礼し、本社ビルのエントランスを出た。


 会えなかったのは残念だったが、きっと会える時は来る。


 私は本社ビルの方を振り返った。


「その時を楽しみにしているわ、未春。また話ししましょう」


 そう言い残し、私は未春の職場を後にした。


 今はまだ、先に自分のことをしっかりやらなきゃならない。


 でも、私はその時、未春に起きていることを全く知らなかった。


――それを知ることになるのは、もう少し後だった……。



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