表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者に捨てられ、親友に裏切られた私ですが――どん底からのストーリー  作者: ワスレナ
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/90

第53話 桐生さんの昇進、支える決意

 ルミナリエ化粧品は、再び成長軌道に乗りだしていた。


 新ブランドの売り上げが前年比百二十%を突破し、桐生グループ内での評価が一気に高まった。


 そして――ついに、その日がやってくる。


「桐生常務、正式に専務昇格の内示が出ました」


 広い会議室での報告に、周囲がどよめく。


 やがて拍手喝采(かっさい)が沸きおこる。


 私は少し離れた場所から、その光景を見つめていた。


(……やっと、ここまで来たんだ)


 誰より努力して、誰より社員を守ってきた桐生さんの背中。


 その姿を、ずっと見てきた。


 会議後、控室で二人きりになる。


「おめでとうございます。……桐生専務」


――“専務”――言葉にすると、身が引き締まる思いがする。


「まだ権限は限定的だが、うれしいと思っている」


 淡々と答えるが、その表情は誇らしげに見えた。


「ここまで……君が支えてくれたおかげだ」


「そんな、私なんて……」


「いや。俺一人では、決してここまで来られなかった」


「桐生さん……」


 不意に、私の頬に手を添えてきた。


 ドキッと心臓が跳ねる。


「……ありがとう」


 短い感謝の言葉。


 けれど、その重みに胸の奥が熱くなった。


「桐生さんの頑張りが実を結んだんです。私も、お手伝いできてうれしいです」


 精一杯の笑みを添えて言った。


「だが、まだスタートラインだ。俺ももっと上を目指すぞ」


「はい。その意気です」


 私たちは笑い合い、成果を(たた)えるのだった。



◆◆◆



 夕暮れの街。


 仕事帰り、二人でカフェに寄った。


「最近、やっと社員たちの笑顔が戻ってきたな」


 桐生さんが誇らしげに語りだす。


「はい。桐生さんや常務の方々がいつも現場を見てくれてるからですよ」


「現場を管理する者達の気配りにも感謝している」


「……そうですね。皆さん頑張っていると思います」


「一時は世間の評判も下がってしまったが、ここまで回復するとはな」


「はい、本当にみんなのおかげです」


 そんな仕事の会話でさえ、以前より弾んで話し合える。


 互いに多くを語らなくても、分かり合えると感じられる。


(――きっと、この人となら)


 窓の外には、桐生さんの秘書について間もない頃の、あの日と同じ夕焼けが広がっていた。


 あの頃は、こんな感覚には絶対なれなかった。


 けれど今は、大丈夫だと胸を張って言える。


 桐生さんの眼差しが私に向けられる。


 その瞳の奥に、彼の思いや心臓の鼓動さえ、感じられる気がした。


「有動……これからも、俺を支えてほしい」


 桐生さんはまっすぐ私を見据えて言ってくる。


 色々あったけれど、私の心は決まっている。


「はい。私でよければ、力になります」


 桐生さんの目を見つめ、はっきりとした声で答えた。


 しばらく見つめ合った後、窓の向こうの沈む夕陽に視線を移し、二人で見送った。



 その光景が未来へ続く約束のように、私たちの絆はさらに絡み合うのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ