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婚約者に捨てられ、親友に裏切られた私ですが――どん底からのストーリー  作者: ワスレナ
第四章

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第46.5話 天界での憂鬱②

 天界のとある神の神殿。


 美しい女神、アフロディーテは日向ぼっこをしている。


『ああ、未春は幸せそうね。何だか()けちゃうわ』


 ニヤニヤしながらワインを飲んでいると、突然ふわりと何かが出現する。


「アフロディーテ様ぁ」


 キューピッドである。


『何、どうしたの?』


 彼は息を切らしている。


 少し落ち着いてから、話し始めた。


「も、申し訳ございません、アフロディーテ様。色々と手を尽くして頑張ってはみたのですが、邪魔が入ってしまいまして……」


『邪魔ですって?』


「はい。途中まではうまく行っていたんですよ。二人の噂を流し、周りから横槍を入れるよう、仕向けるところまではできたのです」


『ふむふむ。なるほど』


 傾聴するアフロディーテに、キューピッドは両手を広げ、続けた。


「ですが、肝心なところで邪魔が入ってしまい、噂がしぼんで収束しちゃったんですよぉ~」


 キューピッドはそう言って、がっくり肩をうなだれる。


『あらあら、それは残念でしたね。それで、二人は今どうなってるの?』


 アフロディーテは興味津々(しんしん)な眼差しで彼に尋ねた。


「はい。……それがですね、彼らの仲は前より深まったようで……」


 キューピッドは彼女の怒りを覚悟つつ、恐る恐る話した。


 だが、アフロディーテの両眼はさらに輝きを増した。


『おお! それは素晴らしいことではないの! あなた、いい仕事をしたわね!』


「えっ?」


『さすがはキューピッドね。未春のことを思ってそうしたのでしょう。お手柄じゃないの』


「えええええっ!」


 キューピッドは目を丸くする。


『何驚いてるのよ。あなた、その能力通りの仕事をきちんとしたんじゃないの? もっと誇らしくしてよくてよ』


「は、はぁ……」


 何だか話が噛み合わず、キューピッドは困惑した。


「そ、そうですか。いやぁ、アフロディーテ様のご機嫌が良ければ、私はそれで満足でございます」


『そうでしょうそうでしょう。見て、お陰でお肌もまた艶々(つやつや)になっちゃったわよ』


「そ、それはようございました。ハハハ……」


 取り(つくろ)うキューピッドをよそに、妄想を(ふく)らませるるアフロディーテ。


『あなた、これからもいいアイデアがあれば、どんどんおやりなさい。そして私を楽しませてちょうだいね』


 退屈から解放され、アフロディーテは満面の笑みでキューピッドに感謝した。


「は、はいっ! このキューピッド、あなたのためなら何だってやりますよ!」


 キューピッドは胸を張り、得意げに答えた。


『期待しているわ。次もまた、取りかかってちょうだい』


「はいっ! このキューピッドにお任せあれ!」


 そう言って、キューピッドはアフロディーテの前から姿を消した。



 一人になり、静寂が流れる。


 傍にあるグラスを取り、ワインを一口飲んだ。


『はぁ……。また退屈にはなったけれど、この先もまた楽しませてね、未春』


 そう言ってアフロディーテは、晴天の空に吹く一陣のそよ風を堪能(たんのう)するのだった。


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