表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者に捨てられ、親友に裏切られた私ですが――どん底からのストーリー  作者: ワスレナ
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/90

第39.5話 新人秘書、有動未春の話③

 新人秘書、有動未春と仕事を共にしてから、数日が経過している。


 秘書としての仕事を卒なくこなし、この短期間で前の秘書に近いと言っていいくらい動いている。


 これだけでも十分驚きだが、それだけではない。


 俺のスケジュールを常に先回りし、終わった業務のアフターフォローも丁寧にしてくれている。


 何より、来客や訪問先の取引相手との印象が全然よくなった。


 これは俺にとっても、一番大きいメリットだった。


 前の秘書ではなかったことだ。


 しかも時には自ら意見を発し、的確にリードして相手に好印象を与える。


 商談が終わる頃には、相手の顔は柔らかくなり、感謝の言葉を述べて出て行く。


 これは俺ですらできない領域にも達している。



 不思議な魅力を持った子だとつくづく思う。


 それでいて、性格は率直で素直だ。


 もちろん、意見や価値観が異なることもある。


 そして、俺に対しても率直に意見をぶつけ、物おじしない。


 しっかりと自分の芯と軸を持っている。


 俺はそういうところにも惹かれた。


 今後、彼女が何を思い、考え、行動するのか。


 楽しみで仕方がないんだ。


 彼女の話す言葉の一つ一つ。


 きちんと聞いて、理解したい。


 彼女に投げかける言葉に、どう答えが返ってくるのか。


 その一つ一つをじっくりと知りたい。


 仕草や眼差し、表情や反応。


 すべてを見聞きし、吸収したい。



 有動を連れてクレーム対応に当たった。


 クレーム相手はヤサカ商会の篠田洋子社長。


 敵には回したくない人物だ。


 取り付く島の無い挙動に翻弄(ほんろう)される。


 だが、有動が動いた。


 彼女は篠田社長の言葉に丁寧に耳を傾け、対応した。


 一時は相手を説得するかと思うところまで行った。


 だが、その後がすごかった。


 彼女はそれまでの成果をすべて捨て、謝罪に転じたのだ。


 これにはさすがの俺も驚いた。


 すかさず助け舟も出したが、まさか相手の要求をすべて呑むことになるとは……。


 しかし、この判断は結果的に正しかった。


 消費者を思いやる心が、篠田社長の心を動かしたのだ。


 そして俺たちは会社として全国の消費者に対し、謝罪した。


 最初こそ批判が殺到したが、すぐに鎮火し、信頼を勝ち得ていった。


 【損して得取れ】を地で行くような対応だった。


 そして彼女は、篠田社長の心を掴み、クレーマーからファンに変貌(へんぼう)させたのだった。


 今でもルミナリエ化粧品とヤサカ商会との関係は良好だ。


 この時に勝ちえた信頼と絆は、今でも大きく会社の発展に貢献している。



 また、幼馴染の九条麗華嬢にも、色々と協力してもらうことになった。


 ひょんなことから新人秘書の話題をしたことで、興味を持たれたのだ。


 実際に会社にやって来て、有動と対面してくれた。


 少しハラハラしながら様子を見ていたが、気に入ってくれたようだった。


 有動と連絡手段を交換し、交流してくれた。


 そして彼女の情報を俺に伝えてくれることとなった。


 さらに、様々なアドバイスもくれて、本当に助かった。


 お陰で俺は、有動のことをより深く知ることができた。



 そしてある日、俺の営業に同行してもらうことにした。


 有動は俺が考えている以上のことを、どんどんやってのけた。


 彼女の直感や感覚も冴えわたっていた。


 本当に二十三歳の女子かと見紛(みまが)うほどだった。


 あの日は、もし俺一人で行っていたら、間違いなくトラブルに見舞われていたことだろう。


――そんなことが続き、俺は仕事の面でも、さらに彼女に惹かれていったのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ