表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者に捨てられ、親友に裏切られた私ですが――どん底からのストーリー  作者: ワスレナ
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/90

第37話 先輩の目、気になる気配

 昼下がりのオフィス。


 桐生さんとは別行動で、私は秘書課室のデスクでお弁当を開けていた。


 数日前に桐生さんへ心を開いてから、少しずつだけど、順調に関係を続けられている。


 SNSでも互いの気持ちの交流を続けている。


 “順調”といっていいくらい、楽しい時間を過ごせている。


 時間はかかったけれど、きちんと言葉にして伝えられて、良かったと思う。


 あれからの桐生さん、どこか表情が柔らかくなった気がする。



 そんなことを思っていた矢先だった。


 急に思い出し、オフィスの隅にあるコピー機でコピーを取りに行った帰り。


 ふと背後から声をかけられた。


「有動さん。最近、なんだか楽しそうね」


 振り返ると、大原奈津子先輩が立っていた。


「大原先輩、どうかされましたか?」


「ええ、何だか最近、あなたの雰囲気が変わった気がしていてね」


――す、鋭い指摘。


 柔らかな笑顔を浮かべているけれど、その目はどこか私を見透かしているようだった。


「えっ……そうですか? 別にいつも通りですよ」


「私の勘だけど……桐生常務と、お互い意識してないかしら。そう見えるのよ」


 冗談めかして言われたのに、核心を突かれる。


 心臓が跳ねた。


「そ、そんなことないですよ! 私はただ、一所懸命に秘書としてサポートをしているだけです」


 そう言って何とか表情を変えずに答えた。


「そう、ならいいわ。でも、もしそうなら気をつけなさいね」


「……」


 淡々と、でもどこか含みを持った言葉を言い残し、立ち去っていった。


 けれど、背中に感じる視線はしばらく残っていた。



◆◆◆



 午後。


 桐生さんと共に、得意先の方と商談に同席をする。


 お茶を出し、相手の方は終始笑顔で話が弾んだ。


 商談は無事終わった。


 桐生さんと共に、玄関まで得意先の方をお見送りする。


 帰ろうとした際、私を見つめる気配を感じる――。


(……大原先輩?)


 上の階の窓から、女性の影がこちらを見下ろしていた。


 けれど、人影はすぐに消えていった。


 偶然にしては、出来すぎている。


 意識して、目をつけられてたのかもしれない。


 気をつけないと、周囲の人にバレたらいけない。


――業務以外に、注意すべき重要事項が一つ、増えてしまった。



◆◆◆



 夕方。


 いつも通りの仕事をしていても、大原先輩の言葉が頭を離れない。


 ……桐生さんに迷惑をかけるわけにはいかない。


 桐生さんの横顔を見るたび、心が波立つ。


「どうした、有動?」


 桐生さんから声を掛けられる。


「い、いえ。別に……」


 桐生さんから視線を外す。


 気づかれてはいけない。


 画面に向かって必死に書類データへ集中しようとするけれど……。


 胸のざわめきが止まらないまま、今日一日が過ぎていった。


 やはり大原先輩に目をつけられたのは、大きかったかもしれない。


――私たちの関係、周囲からどう映っているんだろう。


 そんな問いが、ずしんと心にのしかかる。


 せっかく前進したと思ったら、今度はこれか。


 桐生さんに言った方がいいのかな?


 いや、迷惑がかかるのはよくない。



 しばらくは黙って事態を見守ろう――そう心に決めるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ