第15.7話 元カノ有動未春の話②
未春との交際は順調に続いた。
告白の時も、彼女はあどけない笑顔で喜んで、俺を受け入れてくれた。
少しだったキラキラオーラも、あの頃から大きくなった気がする。
俺は未春にできる限り優しく接した。
彼女も俺のことをどんどん好きになってくれた。
俺は会社の化粧品を新商品が出るたびに未春に勧め、メイクのプロを紹介した。
休みの日にはデートに誘い出し、色々な場所へ連れて行った。
定期的にプレゼントを渡し、喜ぶ彼女の笑顔がまぶしく映った。
すると、俺も会社も業績がうなぎ上りになり、俺は営業部長に出世した。
ただ、未春は俺の仕事に関して一切聞いてこなかった。
化粧品業界という女性にとって花形の職業なのに……。
それがなぜかは今でもわからない。
順調に交際は続いていた。
だがある日、デートの途中で入ったカフェで、彼女が突然泣き出した。
「おい……どうしたんだ?」
「……ごめん……」
俺は泣き止むまで胸を貸し、未春に寄り添った。
泣き止んでから落ち着きを取り戻し、未春は震える声で答えた。
「……両親のことを思い出して……。もう居ないのに、急に……どうしようもなくなって」
その時、俺は言葉を失った。
どうしていいか分からなかったが、咄嗟に肩を抱いてこう言った。
「そうか……無理するなよ」
その後、俺は未春の口から、彼女が高校生の時に、両親を交通事故で亡くしたことを知った。
明るい彼女にそんな暗い過去があったことに、驚きを隠せなかった。
その一件があって、俺は彼女を幸せにしたいと思うようになっていた。
その間、様々な経験をし、仕事でも常務に昇格した。
――俺の周りはいいことばかりで溢れていた。
『未春がいると、なぜか全てがうまくいく』
俺にとってはそれは“偶然の産物”であり、都合のいい“打算”だった。
――彼女を愛していたか?
正直、自分でもよく分からない。
ただ、そばに置いて優しくしておけば人生が楽になる――そう感じていた。
――だが、心のどこかで“もっと”を求めていた。
いつしか、仕事の成功だけでなく、未春の笑顔をずっと見ていたいと思うようになっていた。
俺の中で“未春への愛”が育っていたのかもしれない。
――その後も未春と付き合いを続け、交際から一年半が過ぎた。
俺はこのまま未春と結婚したいと思い、婚約を申し出た。
未春は大喜びで受け入れてくれた。
――俺は幸せの絶頂にいた。
いや、いたんだと思う。
このまま未春と結婚し、親父から社長の座さえ継げるんじゃないかとさえ思っていた。
――それから数日経ったある日、俺たちにとっての転換点が訪れる。




