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異世界召喚されし俺、美少女が変身したロボに乗り努力無双してしまう!?─竜の姫に俺は乗る!─  作者: 三丈夕六


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第35話 休息

 アヴェルガを倒し、森林内をしばらく索敵していると、脳内に声が流れた。あの運営の少年、ウルベルトの声が。


 ──まもなく日の入りだ。安全地帯を確保し、竜機兵は人の姿へ戻るように。日の入り後は次の日の出まで一切の戦闘行為を禁止する。竜機兵になる事も禁止だ。


「急いで野営の準備をしよう。ヴィヴル達も来るか? 野営できそうな場所を見つけたんだ」


『野営かぁ』


 ヴィヴルがカズマと相談を始める。まぁそりゃそうか。流石に無防備すぎるよな。お互い信用しているからって俺とティアマトみたいに完全に信頼できる関係性じゃないし。だけど、夜中にモンスターに襲われたら詰みだ。念の為に見張りは多い方がいい。


 考えていると、ティアマトが小さく「任せてください」と言ったので俺は黙っている事にした。


『4人で交代で見張を立てた方が、2人よりも長く休めます。休息も協力して……と考えるのはどうでしょう?』


『う〜ん……』


『私は……祖国アシュタリアの名に恥じぬ戦いをするよう誓っています。どうか──信じて』


 ヴィヴルがウンウンと考え込む。しかし最後はティアマトの一言が後押しになったようで、ヴィヴル達と一緒に野営する事になった。


 ヴィヴル達を連れて、森を進む。木々の隙間を通り抜け、探索してる時に目印を付けた場所へ。10分ほど進むと、太い木々が密集する地帯へ辿り着いた。


 実体剣で目印が付けてあるのは、木々の中でもかなり高い位置にウロ……空洞がある木だ。あのウロの中なら夜の間もモンスターに襲われにくいはず。


「ここだ。ここなら野営に向いてる」


『最適な場所なのは分かるけど、どうやってあのウロに入る訳? 人に戻った後あそこまで登るのなんて無理でしょ』


「任せとけって。俺達はこういうのに慣れてるんだ」


 魔法陣を操作しティアマトの膝をつき、右手を地上に差し出す。


「乗れよ。ウロまで上げてやるから」


『え……先に人に戻れって言うの……?』


 う、警戒してる反応だな……。ヴィヴル達は5800ポイントも持っているし、先に人間に戻れなんて普通に考えたら怪しすぎだろう。だけど、ここは信じて貰わないと何もできない。


 ヴィヴル達は協力を提案してきた時誠意を見せてくれた。なら、今度はこっちが見せる番だ。


「後、頼めるか?」


『はい。真っ直ぐ飛ぶだけですから私1人でも大丈夫です』


 言葉にしなくてもティアマトに伝わる事が嬉しい。コクピットの壁面をポンと叩き、シート下の革袋を持って魔法陣の外へ出る。俺はティアマトの手のひらに乗って両手を開いて見せた。


「ほら、これなら大丈夫だろ?」


 コクピットに俺がいなければ、ティアマト1人で機敏な動きはできない。ヴィヴル達にその姿を晒す事で信用して貰う。これが1番手っ取り早い方法だ。


 ヴィヴルのツインアイを真っ直ぐ見つめる。無機質なロボの姿だけど、彼女が戸惑っているのだけは分かった。


『ヴィヴル、ショウゴがここまでしてくれとるんや。従おう』

『う、うん……カズマが言うなら……』


 ヴィヴルがコクピットに手を添える。魔法陣が光を発し、中から男性が現れた。あの人がカズマ……年齢は30代後半くらいか。鍛え上げられた体に人の良さそうな顔。なんとなくだけど、歴戦の戦士のような風貌に感じられた。


 カズマが地面に降り立ち、ヴィヴルを見上げる。


「ほら、お前も戻れ。ぼやぼやしてたら日が沈んで失格になるで」


『う、分かってるわよ!』


 ヴィヴルの機体が光り輝く。鎧のような体が粒子となって霧散し、人の形へ再構築されていく。光が収まると、中から女の子が現れた。


「ふぅ。竜機兵の時は分からなかったけど結構冷えるのね、この森」


 黒い竜機服を来た少女。小学校高学年か中学生くらいの年齢。頭から真っ直ぐ伸びた小さな2本のツノに、赤い髪を片側だけ横に縛っていることで、その姿はより幼く見えた。


「なにジロジロ見てるのよショウゴ?」


 ヴィヴルは緑色の瞳でジトリと俺を睨みつける。そしてハッとした顔になると、怒りを含んだ表情になった。


「もしかして……「あ、コイツ以外に子供だな~」とか思ったりしてない? 私はこう見えても12歳よ! 立派な大人なんだから!!」


 んん? アシュタリアは日本と同じ18歳で成人だったよな。ハーモラだと成人は12歳なのか?


「あ~……ヴィヴルのは子供の戯言やから気にせんでくれ」


 カズマが苦笑してヴィヴルの頭をポンポンと撫でる。ヴィヴルは、そんな扱いが気に食わなかったようで烈火の如く怒り出した。


「何よカズマ! 竜闘の儀に出る前は一人前だって言ったじゃない!」


「あれは戦闘スキルの話や! 世間一般で言ったらお前なんかお子様やっつーの!」


「はぁ!? もう1回言ってみなさいよ!!」


「お・子・さ・ま・や」


 変顔をして煽るカズマ。ヴィヴルは顔を真っ赤にしてカズマに飛びついた。


「キィ〜!!! そのムカつく顔ぶん殴ってやるわ!!」


 ヴィヴルがカズマに飛びつき、器用に脚を絡めてカズマの両腕を拘束する。そしてその頭をボカボカと殴り出した。カズマは先程の挑発的な態度から一変、顔を守ることもできず悲鳴を上げた。


「あだだだだ!? 冗談やんけ! やめろや!」


「もう遅いわ!!」


 カズマが降参しても殴り続けるヴィヴル。やがてカズマが予選の後でスイーツを奢るという条件を出して喧嘩は決着した。


「約束守りなさいよねっ♪」


 さっきまでの怒りからコロッと機嫌が良くなるヴィヴル。戦闘の時とは違うにぎやかさに思わず笑ってしまう。そりゃこんな2人なら俺達を裏切ることは無いよな。


『2人とも、喧嘩していないで私の手に乗って下さい』


「え? えっとぉ〜……悪かったわよ……」

「すまんなぁ姫さん」


 バツが悪そうに2人がティアマトの手のひらに乗る。ティアマトは、スラスターを吹かせてゆっくりと上昇し、巨木の幹にワイヤークローを打ち込む。機体を固定した彼女は、木のウロへ手を添えた。


「すごい……搭乗者無しでこんなに動けるの?」


『ふふっ、沢山訓練しましたから。でも、戦闘中では焦って上手く動けないと思います』


「それでもすごいわ。姫様って努力家なのね」


 ヴィヴルが感心したようにティアマトを見上げる。そっか。同じ竜機兵だから分かってくれるんだな。


 竜機兵は全身を動かすための電気信号が上手く行き渡らない。巨大化した事に脳のキャパシティが追いつかないからだ。だから、俺達搭乗者が第二の脳としてコクピットから補助をしてやる必要がある。ティアマト一人でここまで動けるのは、ひとえに彼女の努力の成果だ。


 ワイヴァルスに乗ったり、俺の操縦と交互に体を動かしたり……おそらく、こんな訓練は他の竜機兵はしないだろう。無駄な事をやっているようなものだから。


 でも、俺はティアマトにもっと自由に動けるようになって欲しかった。初めて彼女と出会った時、俺が操縦したことで彼女は竜機兵として初めて体の自由を感じて……涙を流していた。きっとすごく嬉しかったんだと思う。


 だから俺は彼女をもっと自由にしてあげたい。そう思ってトレーニングのメニューを考えたんだ。それがたとえ他の人から無駄だと言われても。


 ティアマトの手のひらから降り、彼女の指先に手を当てる。ティアマトが光を発し粒子になり、俺の前で人の姿へと戻った。俺の手を握った状態で。


「え……!? 今、人に戻る前にショウゴに引き寄せられた気がしたんだけど!?」


 人に戻ったティアマトは微笑みを浮かべる。その金色の瞳が、いつもより輝いているように見えた。


「人に戻る時、竜機兵は触れているもののそばで戻ることができるのです。ショウゴと2人で発見しました」


「そ、そう……なんだか私の知らない事ばかり見せられてビックリだわ……同じ竜機兵には思えないんだけど……」


 ヴィヴルが呆気にとられたような顔をする。それからヴィヴルが色々と質問をして、ティアマトは嬉しそうに答えて……なんだか2人は打ち解けたようだった。




◇◇◇


 ウロの内部はそれなりの広さがあり、ちょっとした部屋みたいだ。真っ暗なのは流石に困るので、皮袋の中からランタンを取り出して中央に置く。ランタンの光に照らされて、ヴィヴル達の顔をハッキリ見る事ができた。向かい合うように座っている中で目が合うと、なんだか気恥ずかしい。


 互いに携帯食で食事を済ませてから、ティアマトが口を開いた。


「そういえば、2人はどのようにして竜闘の儀へ参加する事になったのですか? 他国がどのように代表を決めるのか気になります」


「私達はリベンジ戦よ。竜闘の儀に出る事は4年前から決まっていたの」


「リベンジ戦?」


 ティアマトが不思議そうに首を傾げる。アシュタリアで前回の竜闘の儀の話を聞いた時、本戦にハーモラの名前は無かった。ということは……。


「ショウゴが考えている通り。俺達は前回予選落ちや」


「前回は後一歩で本戦出場って所で、私が動けなくなったの」


「動けなくなった? なぜですか?」


ヴィヴルは、ウロの外へと顔を向ける。


「マナ粒子が尽きたの。無理したせいでそれまでの努力が全部無駄になったのよ」


「ヴィヴルはちょっと事情があってな。普通の竜機兵より燃費が悪いんや。普通に補給はさせていたつもりやったが……当時の俺は甘かった」


 燃費が悪い、か。


 どういう事か考えていると、ヴィヴルは溜息を吐いて膝を抱える。その顔は切なそうで、ランタンの光に照らされた彼女は、年齢よりずっと大人びて見えた。


「あの竜機兵の姿は私にとって大きすぎ(・・・・)──」


「ヴィヴル」


「はーい」


 ヴィヴルが何かを言いかけた時、カズマが話を遮った。彼女はそれ以上何も言わず、あぐらをかくカズマの脚の上に頭を乗せた。


「流石に今日は疲れたわ……次の見張りは私がやるから、ふわぁ〜……起こして……」


 ものの数秒もしないうちにヴィヴルが眠りについてしまう。


「らしいで。って事で俺が最初に見張りをする。2人も先に休んでくれや」


 ヴィヴルが見張りを終える時は俺を起こすように伝えて、俺達も寝ることになった。ティアマトが俺の肩に頭を乗せてくる。しばらくして聞こえる寝息。ティアマトも疲れてたんだな。


 ふと気になって顔を上げると、カズマと目があった。


「ははっ、仲の良いカップルやな。羨ましいで」


「そ、そんなんじゃないから!」


 慌てて反論すると、カズマが肩をすくめる。


「そうか? でも、その子が大事なんやろ? だから優勝させたい……俺にはそんな風に見えるで」


「ま、まぁ……そこは間違っちゃいないけど……」


「思った事は素直に伝えておいた方がええ。後悔せんようにな」


「え?」


「……すまん。戯言や。おっさんはつい余計な事を言ってしまうなぁ」


 苦笑して、カズマは眠るヴィヴルへと視線を移した。彼女の頭を撫でるカズマ。その表情はどことなく、俺達の王様に似ているような気がした。あの玉座の間で王様がティアマトに向けていたような表情に。


「ワガママばっかりの娘やが……優勝させてやりたいんや」


 誰ともなく呟くカズマ。彼に「そろそろ寝た方がいい」と言われ、目を閉じる。座った状態で目を瞑ると、先ほどのヴィヴルの顔が浮かぶ。悔しそうな顔が。


 あと一歩でリタイアか。それで4年間無駄にした……悔しかっただろうな。なんとしても今回は予選をクリアしたいと思っているはずだ。


 俺は、なぜヴィヴルとカズマが協力を提案したのか、分かった気がした。



 ……。



 翌日、日の出と共に狩りを行って、1時間ほどで残りのモンスターは全て狩り尽くしてしまった。


 話し合った結果、俺達はそれぞれ別エリアに向かう事にした。


『じゃ、私達は渓谷エリアに向かうから』

『協力してくれて感謝するで』


 クルリと振り返るヴィヴル。朝日が差し込む森の中は幻想的で、その光を反射する竜機兵のヴィヴルの姿は、とても昨日見た少女とは思えない。ヴィヴルは、キョロキョロと森の中を見渡すと、俺達に手を差し出した。


『2人とも本戦でね。ショウゴや姫と戦えるの、楽しみにしてるわ』


 胸がジンワリと熱くなる。ティアマトの嬉しい気持ちが俺にも伝わってるみたいだ。ツィルニトラの時もそうだったけど、ティアマトはライバルからこう言って貰えるのが嬉しいんだな。


『はい! 私もヴィヴルさん達と本気で闘うのを楽しみにしてます!』


 ティアマトとヴィヴルが握手を交わす。ヴィヴルは、軽く手を振るとスラスターを吹かせて飛んで行った。


 森の中に残された俺達。先程まで騒がしかったせいか、風のそよめきが妙に寂しく感じる。


『行っちゃいましたね』


『……俺達も次のエリアに行くか。この順位をキープしないとな』


『はい! 絶対本戦に上がって約束を守らないと!』


 ヴィヴル達が渓谷エリアに向かうと言っていたから、俺達は砂漠エリアへ向かうか。俺達のスタート地点からあそこに向かった竜機兵は少ない。今から向かってもまだモンスターは残っているはずだ。


 ペダルを踏み込む。ティアマトが翼を広げ、空中へ舞い上がる。俺達は次なる目的地へと向かった。







 この時の俺達はまだ分かっちゃいなかったんだ。


 1位になるという事がどういう事かを。


〜ティアマト〜



友達ができたみたいで嬉しいです♡絶対に約束をまもってみせますよ!みなさん、応援していてくださいね♡


さて、次回は少し問題が起こります。砂漠エリアを進む私達の前に複数の機体が向かってきます。みなさん、何を考えているのですか?


次回、ランキングの罠


絶対見て下さいね♡

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