第18話 戦闘空域です!
空賊組織「ムシュフ」の長、ゲドは焦っていた。先ほどから仲間の通信魔法がこどごとく消えていたからだ。
「お、おい! なんで通信切れてんだよ!? ムシュフシュが奴らを引き付ける作戦だったろ!」
ゲドが従えていた僚機に怒りをぶつける。僚機に乗っていた男は、困ったように状況を伝えた。
『そ、それがムシュフシュのヤツ、完全に暴走してまして……ヨルムンガンドしか攻撃していません』
「クソが……所詮老竜って事かよ! バカな真似しやがって!!」
ゲドが歯噛みする。せっかくここまでのし上がったのに、と。
半年前。彼らは空に浮かぶ島でムシュフシュを発見した。老いた竜は長年に渡り、自らを倒した弩級戦艦竜達への恨みを募らせながら力を蓄えていた。
しかし、知能や肉体が劣化した彼にはもはや叶わぬ夢。それを知ったゲドは彼を利用する事にした。戦艦竜として改造する事で全盛期の力を取り戻させようとしたのだ。
彼らはプライドの高いムシュフシュに「仕える」という建前で古の竜を戦艦竜へと改造していた。
そして空賊行為を行う時、ムシュフシュが恨みを持つ「弩級戦艦竜」達がいると嘘を付き、客船竜を襲わせては空賊としての仕事を行っていた。長い年月を経て、知能が著しく劣化したムシュフシュは、他の竜と自分の復讐相手を区別することすらできず扱いやすかったのだ。
しかし、今回は違った。ムシュフシュが弩級戦艦竜ヨルムンガンドを捕捉した時、ヤツは一瞬にして自分の敵だと認識した。なぜそこまで恨むのかは分からない。以前ムシュフシュがうわごとのように言っていた言葉から推察するに、ムシュフシュは過去にヨルムンガンドと戦い、よほど無様な負け方をしたらしい。
「クソ……せっかくたけぇ金払ってヤツらの機体数を掴んだのに」
ゲドはアシュタリアに潜む情報屋から今回の他国訪問の情報を掴んでいた。アシュタル王女が護衛をギリギリまで絞った事も。本来であれば、雲の中からムシュフシュが奇襲をかけ。ヨルムンガンドの護衛機を引き離す。その間にヨルムンガンドからアシュタルを攫う手はずであった。
王女さえ攫えば弩級戦艦竜と言えども手だしはできない。艦内に侵入してしまえばコチラのもの……そう考えていたのに。
しかし、作戦直前でムシュフシュが暴走。単独で突撃をかけたために、ゲド達は自分達で囮役をしなければならなくなった。
結果、彼らはアシュタル王国の誇る弩級戦艦竜に正面から突っ込まなければならないという無謀な行動を取る羽目となってしまったのだ。
「クソ……撤退するか? だけどこれだけ被害出して何の成果も無しだぞ。そうなりゃもう縄張りすら維持できねぇ……」
ゲドは撤退を躊躇した。その判断が、明らかな誤りであるにも関わらず、損切りするほどの度量が彼には無かった。
だが、ゲドが接触した情報屋も掴んでいなかった事がある。彼の判断を致命的なミスにするほどの情報が。
『ぎゃああああああああああ!!?』
「な、なんだ!?」
通信魔法から聞こえる叫び声。先程からずっとこれだ。もう3機目。この叫び声が聞こえてから部下の連絡が付かなくなる。
そう、彼らは知らなかったのだ。自分達が襲った戦艦竜の中に……。
「竜機兵」がいる事を。
ゲドの瞳にエメラルド色の機体が映る。ショウゴの乗る竜機兵、ティアマトの姿が。それは空の上を碧の閃光のように駆け巡り、一瞬に視界の外へと消えていく。しかしゲドはハッキリとそれを見た。この世界で機体に乗る者にとって決して見逃してはいけない物を。
「左胸に装甲……!? ま、マジかよ……」
左胸を守る装甲。それは竜機兵である事を示す竜核を持つ証。その証は、彼らにとって、ワイヴァルスとは比較にならない脅威に映った。
特別なのだ。この世界において竜闘の儀で闘うという事は強者の証。ティアマト達の事情を知らない彼らにとって、それは圧倒的な脅威の出現に他ならなかった。
「全機!! 竜機兵を狙え!!! 俺に近付けるんじゃねぇ!!!」
ゲドの周囲に青い機体……複数のメンダー達が戻って来る。彼らはエメラルド色をした竜機兵へ射撃を開始した。
が。
『あ、当たりません……!?』
『速すぎ……うわああああああああ!!!?』
竜機兵が高速で空中を飛び回り、前方のメンダーの銃撃を飛翔して回避。スラスターを点火し、翼を収納する。
メンダーの頭上を竜機兵が通り過ぎ、すれ違いざまにバルランチャーを発射する。銃口から放たれるワイヤー。それに捕縛された仲間が、絶叫と共に地面へと落下する。再び翼を展開した竜騎兵は、次の機体へと向かった。
何だよあの動き……並の機体ができる動きじゃねぇ……!
『くっ……!? 捉えられな……うわあああああああ!!?』
上下反転した姿勢でバルランチャーを発射する竜機兵。ワイヤーの直撃を受けたもう1機も落下してしまう。
近くにいた機体が竜機兵へ銃口を向けた時、遅れてやって来た赤いラインの入ったワイヴァルス……ハインズ機にバルランチャーを撃ち込まれ、それも無力化されてしまう。
「く、クソ……」
他の仲間へ目を向ける。竜機兵が舞う度に仲間達がやられていく。それを見る度にゲドの奥では怒りが渦巻いた。
ふざけるな……いくら機体性能が高いからって、こんな……舐められるような負け方してたまるかよ!!
「お前らはワイヴァルスをやれ!!! 俺があの竜機兵をやってやる!!」
残った仲間に指示を出し、ゲドが背面に装備していた実体剣を引き抜く。スラスターを点火し、真っ直ぐ竜機兵へと飛ぶ。
『ショウゴ! あの機体だけ見た目が違います……恐らく隊長機です!』
『マジか、じゃあアイツ落とせば終わるかもな!!』
ゲドの耳に竜機兵から反響した声が響く。若い男女の声。それが余計にゲドを苛立たせた。あんなガキ共にやられていたのか、と。
最大出力のゲド機が竜機兵へと飛び込む。
「死ねええええええ!!!」
実体剣を袈裟斬りに叩き付ける。竜機兵が後ろへ仰け反った事で回避。機体へダメージを与える事はできなかったが、厄介なバルランチャーの銃身を切り裂いた。
「よし、近接戦なら飛び回れねぇだろ!! ぶっ殺してやる!!!」
『させるかよ!!!』
ゲドが追撃を放った瞬間、竜機兵がゲド機の顔面に蹴りを放った。ゲド機が体勢を立て直す間に竜機兵が実体剣を抜き、斬撃が放たれる。なんとか自身の剣で攻撃をいなす事に成功するが……ゲドは、竜機兵の迎撃能力に戦慄した。
「う、おおおおおおおおお!!!!」
咄嗟に両腰からワイヤークローを放つ。2つのクローが左右から竜機兵を襲った。
『ショウゴ!! ワイヤークローが!?』
『心配すんな!』
クローを放った直後、竜機兵は再び翼を収納、全てのスラスターを切って地面へ落下する。天を仰ぐように機体が仰け反り、ワイヤークローが竜機兵の頭上を通りすぎる。次の瞬間、竜機兵は姿勢制御用スラスターを吹かせて機体を真横に回転させた。
『オラァ!!!』
その手の実体剣で2本のワイヤーを叩き切る竜機兵。一瞬のうちにワイヤークローを失い混乱するゲド。圧倒されている状況に、彼の頭には血が上った。
「ふざ、ふざけんじゃねぇ……っ!!!」
ゲドが剣を放とうとした次の瞬間──。
目の前に竜機兵が飛び込んで来た。剣を上段に構え、両腕の姿勢制御用スラスターを噴射させ、威力を上げる。その一撃が、ゲド機の右肩を奪っていた。
「は? え?」
ゲドの目の前を舞う右腕。アシュタリアの刀工によって研ぎ澄まされた実戦用の剣と、ショウゴ・ハガの操縦技術によって繰り出された斬撃は、メンダーの腕部を一刀の元に切り捨てていた。
『え、ちょ、ま、待て……!!』
混乱したゲドが彼らを止めようと声をかけるが、時すでに遅し。目の前の竜機兵は実体剣の連撃を放っていた。
『うおおおおお!!!』
『んく……っ♡ すごっ……♡』
妙に艶やかな声が聞こえてゲドの頭がさらに混乱する。事態を飲み込む前にさらに一閃。左腕が飛ぶ。
「ちょっ!? おい!!?」
叫んだ瞬間左脚が。続いて右脚。四肢を失ったゲドの機体。ゲド機のモニターに竜機兵の顔が映り込む。太陽を背にした無機質な頭部。そこから響く気持ちの悪い女の声。その大きなツインアイが金色に輝くと、ゲドの怒りは瞬時に鎮火し、彼は恐怖に飲まれてしまう。
「ひ、ひ、ひ……」
竜機兵が剣を振りかぶる。もうダメだ。ゲドがそう思った時……機体に衝撃が走った。
「な、なんだ!?」
モニターを確認すると、目の前にワイヤーが巻き付いている。視線を向けると、竜機兵の右後方から赤いラインの入ったワイヴァルスがバルランチャーを構えていた。
その瞬間、ゲドは悟る。竜機兵の攻撃は自分を殺す為ではなく、無力化する為の物だったと。
「た、助かった……」
ゲドが安堵のため息を吐いた瞬間、機体下部に魔法陣が浮かぶ。
あ。
彼がこの後に起こる事に気付いた時にはもう遅かった。魔法陣が怪しく光り、スラスターの浮力を失った機体は、真っ逆さまへ地上へと落下した。
「うわあああああああああああああああ!!?」
戦艦竜の暴走、竜騎兵の存在。その全てがゲドにとって不運に働いた。
広大な平原に、哀れな男の叫び声が響き渡った──。
◇◇◇
ショウゴとティアマトがゲド達と戦っている頃。
「戦艦竜ムシュフシュ! なおも攻撃を継続しています!!」
ヨルムンガンドの機体制御員が不安気な声を漏らす。それを聞いたアシュタルは彼らを鼓舞するように声を上げた。
「こちらはヨルムンガンドです。怯える前に砲撃をなさい!! 攻撃をするのが我々の役目なのですよ!!」
"さすがアシュタル王女じゃ。よく分かっておるの!!"
ヨルムンガンドがムシュフシュの周囲を旋回する。弩級戦艦竜の背中にある一際大きな砲塔。その先端が開きバチバチと電撃を帯びていく。周囲のマナ粒子が引き寄せられ、砲口へ眩い球体を作り出した。
「マナ粒子砲! 発射なさい!!!」
アシュタルの声に合わせて背中の砲門からマナ粒子の砲弾が放たれる。それがムシュフシュに直撃。猛烈な威力にムシュフシュは吹き飛ばされ、苦しみの声を上げた。
『ギィアアアアアアアアアァァァァ!!?』
咆哮。もがき苦しむ老竜。しかし、怒りに飲まれたムシュフシュは止まらない。彼の背中から反撃の砲弾が放たれる。ヨルムンガンドが急旋回し、砲撃を回避。ヨルムンガンドの脇を掠める砲弾。彼女の急旋回は、保護術式を多重展開してなお艦橋を揺らした。
「うわああああああ!!?」
乗員達の悲鳴が上がる。アシュタルは一切怯みもせずヨルムンガンドに尋ねた。
「ムシュフシュにも乗組員はおりますか?」
"うむ。砲撃を放っておるのはこちらと同じ人じゃ"
「……ならば、ムシュフシュの攻撃手段を奪うまで。ヨルムンガンド、あの戦艦竜に取り付けて?」
ヨルムンガンドは、彼女の指示を即座に理解した。
"なるほど、面白い事を考える女子じゃな"
「あ、アシュタル様……? 何をなさるおつもりなのですか?」
兵士の1人が怯えた表情で彼女へ尋ねる。アシュタルは、普段では見せないほどの朗らかな笑みを浮かべた。
「私達を襲った不届者に死刑宣告をするだけですよ?」
アシュタルの言葉に、その場にいた全員が凍り付く。全員が「本気か?」という顔をしていた。
"ははは!! そう怯えるでない! お主達の姫様は聡明なお方じゃぞ!!!"
艦橋の全ての席に着座固定の魔法陣が展開される。全員が席に着いているのを確認した後、アシュタルが声を上げる。
「ヨルムンガンド。拡声魔法を」
ヨルムンガンドの全身に無数の魔法陣が浮かび上がる。そこからアシュタルの声が響く。
『ヨルムンガンドに帯同している各機へ。ヨルムンガンドへ取り付きなさい』
その声を聞いたのは、ヨルムンガンド周辺を飛行していたワイヴァルス達。その中の1機、ダーナの機体が声を上げた。
『は? え、えと……各機ヨルムンガンドへ取り付け!』
困惑したようにダーナが指示を出す。空賊の機体をハインズ達の方へ追い返した事で安心していたダーナ。彼女にとって、アシュタルの指示は寝耳に水の話であった。
ヨルムンガンドに帯同していた4機が戦艦竜の格納庫エリアにある取手を掴み、しっかりと機体を固定する。
「アシュタル様は何するつもりなんだよぉ……」
ダーナは、コクピットの中で誰にも聞こえないように呟く。その時、再び周囲にアシュタルの声が響いた。
『これより戦艦竜ムシュフシュへ突撃します。突撃後、各機はヤツのハッチを破壊なさい』
「えぇ!!?」
"皆の者! しっかり掴まっておるのじゃぞ!!"
ヨルムンガンドが大きく翼をはためかせ、ムシュフシュへと向かう。
「ひゃああああああああ!!?」
強烈な加速。正面からムシュフシュへ向かう軌道。ワイヴァルスのコクピット内にダーナの叫び声がこだました。
ムシュフシュが連続で砲弾を放つ。それを正面から見据えたヨルムンガンド。彼女がクルリと横回転し砲弾を避ける。避ける度に艦内で悲鳴が上がる。しかし、保護術式によって艦内はかろうじて悲惨な事にならずに済んでいた。
『当たらぬ!? 悔しや悔しやぁああああ!!!』
怒りに満ちたムシュフシュの声、その声にヨルムンガンドはククと喉を鳴らした。
"ドレッドノートの配下であったムシュフシュよ。彼奴との戦いの際に見逃してやった恩を忘れたか!!"
砲弾の雨の中をヨルムンガンドが舞う。その巨体からは想像も付かないような俊敏さ。苛立つムシュフシュと、弩級戦艦竜が向かって来る恐怖に飲まれた空賊船員達では、もはや彼女を止める事ができなかった。
"はああああああ!!!"
ヨルムンガンドが体当たりする。悲鳴を上げるムシュフシュ。ヨルムンガンドは、その強靭な四肢で敵の体をしっかりと掴み、逃げられないようにする。
同時に拡声魔法からゾッとするほど冷たい声が響いた。それは、アシュタルからムシュフシュュ艦内にいる空賊達へ向けての言葉だった。
『己の分も弁えず我が戦艦を襲った愚か者どもよ。今すぐ退艦しなければ老いた戦艦竜諸共この場で焼き払います』
"久々にブレスを使うかのぉ!!"
ヨルムンガンドがその大きな口にマナ粒子を集約させる。大量のマナ粒子を消費するブレス攻撃は、ヨルムンガンドの切り札である。当然、絶大な威力を誇る一撃をこの距離で放つ訳もなく、単なる脅しであるのだが……アシュタルの言葉に合わせたヨルムンガンドの演技は、脅しとして最高の威力を発揮した。
『各機ハッチを破壊しろ!!』
ダーナ機他4機がムシュフシュへと取り付き、そのハッチをメキメキと破壊する。逃げ惑っていた空賊船員達はあっという間に彼女達へ捕えられてしまった。
「た、助けてくれぇ……!!」
怯える船員達。ワイヴァルスの4機がそれぞれ空賊達を3人ずつ掴み、ムシュフシュを離れる。彼らがヨルムンガンドの内部へ戻ったのを確認した後、ヨルムンガンドは体を回転させ、ムシュフシュへ尾をしならせた一撃を与えた。
『グアアアアアアァァァァ!!?』
"どこへとも去れ愚か者!! 次に妾の前に現れた時、その体八つ裂きにしてくれようぞ!!!"
吹き飛ばされたムシュフシュは、厚い雲の中へと飲み込まれ、そのままどこかへと逃げて行った。
◇◇◇
〜ショウゴ・ハガ〜
空賊達を倒してからハインズが信号弾を打った。その後、1時間ほどでアシュタリアの憲兵が到着。空賊達を憲兵達の小型艦竜に収容した。
ティアマトも人の姿に戻り、ハインズと一緒に戦闘後の被害を確認していた時、アシュタルが格納庫へとやって来た。
アシュタルは、憲兵隊長と何か話をしていた。
「彼らが攻撃を仕掛けたという事は、アシュタリアに間者がいるという事でしょう」
アシュタルの言葉に憲兵隊長の表情が暗くなる。
「では、その間者を捕らえた方が……」
「いいえ、泳がせたままで結構。代わりにこう噂を流しなさい。『空賊組織化ムシュフは壊滅した』と」
"面白い。本当にアシュタル王女は面白いお方じゃ"
ヨルムンガンドがクククと笑う。俺とティアマトは、アシュタルが何を言っているのか分からなくて顔を見合わせてしまった。
"なんじゃ? 分からぬのか2人とも。壊滅の話を流せばの、しばらくは賊共も大人しくなろう"
「あ、そっか」
そんなデカい組織がやられたって聞けば、小規模な空賊もビビっちまうよな。その話があればひとまずトルテリアまでの旅は安心かも。
「では私はこれで。旅のご武運を!」
「よしなに」
憲兵隊長は、敬礼すると格納庫に置いてあった憲兵用ワイヴァルスに乗って飛び立っていった。
彼を見届けたアシュタルは、俺達の方へツカツカと歩み寄って来る。
「お、お姉様……? 何かありましたでしょうか?」
オズオズと話し出すティアマト。機兵服だけの彼女は、呼吸が早くなっているのが一目で分かる。そんな彼女をチラリと見て、アシュタルは視線を逸らした。
「2人とも、よく働きました。この2ヶ月間で見間違えたようでしたよ」
「え?」
「え……」
「手を止めさせて申し訳ありませんでしたね。配置に戻りなさい」
格納庫に訪れる沈黙。ハインズも、慌ただしく整備をしていたライネさんも、ダーナも、みんなアシュタルの言葉に口をあんぐりと開けていた。
アシュタルが俺達を……褒めてる?
ハッと我に帰ったような表情をしたティアマトが、深く頭を下げる。
「あ、ありがとうございますお姉様! このティアマト! トルテリアにおいても決して王家の名に恥じぬ振る舞いをしてみせます!」
ティアマト……ずっとアシュタルに否定されてると思っていたから、認められたのは嬉しいだろうな。
「期待、していますよ」
絞り出すように言うアシュタル。目が泳ぎながら、なんとか威厳を崩さないようにしている所に妙な親近感を覚えた。
……なんだ。いいとこあるじゃん。
「アシュタルのこと、見直したなぁ」
思わず呟いてしまう。アシュタルはこちらを見なかったけど……。
「見直したなどと、また生意気な事を……お、大きな働きをした者を評価するのは……王家の者の務めです、から……」
彼女の耳は夕日みたいに真っ赤になっていた。
〜ティアマト〜
お、お姉様に褒めて頂けるなんて……こんな日が来るなんて夢みたいですぅ〜……! これもショウゴと共に頑張って来たおかげですね!
あ! もう分かってますよ! お願いですよね?
もし私と同じ気持ちになって頂けた方がいらっしゃいましたらぜひブックマーク、★★★★★評価をお願いします♡ 熱い気持ちを綴ったレビューもお待ちしています♡
頂けたら私、きっとこれからもがんばれる気がします!
次回はいよいよトルテリアに到着します。大国の姿に、トルテリアの偽竜兵達。初めて見るものばかりでショウゴは驚いてしまいます。そんな中、私とショウゴを呼んだトルテリア女王がある宣言を……?
次回、「絶対女王ツィルニトラ現る」
絶対見て下さいね♡