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数学弱者の最終定理 ~異能力バトルに数学って厄介すぎるんだが~  作者: 二毛作


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18/27

17一応2度目なんです

 はぁぁぁ緊張してきた。デートって思うだけでこうも気持ちが切り替わるなんて思いもしなかった。これはだめだ、この一回で全部成功する必要はない、最低限明華との距離が縮められたり、少しでも明華の事を知れたらそれでよしとする、贅沢なことは考えるな。


 そう、今日はデートの日一路との相談の後に、今回は初めてだし、軽くご飯を一緒に食べようということを文面にしたためて送ってみたわけだが、明華から帰ってきたのは短い返事だけ。またそこも明華らしいといえば明華らしけれども。


 そう思って気合を入れて待ち合わせ場所まで来たわけなのだか、なんだろうかあの見覚えのある金髪と謎の男3人組、まさか明華の訳ないよな、すごい背丈とか不機嫌そうな顔とかを見るとめっちゃ明華に見えてくるけどまさかそんなことないよな。


 そう思い近づいていくと、残念ながら明華でした。早くね?僕余裕をもって30分前には来たのに?それにあの男どもは何なんだ、チャラそうな二人組となんかいやにペコペコしてる男、まったくもって意味が分からない。


 というか僕はあの中に入っていかねばならないという事なのか?初デートってこんなに難易度高いんだなぁ、モカさんとのデートは確か死にそうな目にあったわけだし、総じて初デートは難易度が高いと見た。さすが難易度フロムゲー。


「あ、おまたせしました……」


「おっそい」


 その男たちの間を縫って僕の方に来てくれた明華、別にいつもより不機嫌そうな事はないが、こういうことになれているのだろうか?男たちからは「え?あいつが?」とか「男持ちってガチだったのかよ」とか聞こえてきた、なんだったら最後のペコペコしていた男はなんか僕に名刺を渡してきた。


「げ、芸能プロダクション!??明華スカウトされてんじゃん!!」


「あぁ、久しぶりに見たよああいう感じの男、芸能のやつだったのか」


 すっご!!さも当たり前かのように受け流してるじゃん、今まで何度も断ってきましたみたいな言い方するじゃん!明華自信もって芸能界に飛び込め、きっと華々しい人生が待っているはず。あ、でも明華演技とか向いてなさそうだなぁ。


「いや、にしても早いね明華、何か用事あった?」


「月が替わったことだしついでに通帳の残高確認しようとしただけ」


「今時スマホでも見れるよ?」


「スマホの履歴だけ見せて確定申告とかが済むならそれに越したことは無いが、なんでもお役所様は記帳された通帳とかを求めてくるんだよ」


 これ本当に明華個人事業主としてやってないか?絶対簿記の知識で損益計算書とか貸借対照表とか作って提出してるまであるぞ。節税とか言ってなんかいらない交通費とかを計上してるまである。


「やっぱり明華屋号とってない?」


「もちろんとってる。節税で私への給料は年間103万に抑えている」


「やっべぇ個人事業主じゃなくて法人化してるやつだ」


「お前もこれからのこと考えるなら屋号取るといい、それか私の従業員にしてもいいかもな、ただし給料は固定で年間103万だ」


 まさかのアドバイス、明華からそんな提案があるとは驚きだこれは一種の距離が縮まったとみていいのでは?


「明華のところに入ったとしてどんな契約になるの?」


「もちろんブラック企業大賞を取りに行くくらいには奴隷のように働かせる」


「えっぐ、現代社会だとSNSにさらされて終わりだ」


 なんだろう、今日の明華は結構話してくれる、意外と明華も楽しみにしていてくれてるのかもしれない、なんて都合のいい解釈をしそうになる。いかんいかん、そんな楽観的な考え方ではこの先失敗してしまうぞ阿智良湊!!


 ちょっと予定よりも早くなってしまったので、僕は万が一に備えて考えておいたカードを切る。


「ちょっと昼には早いしどっか見に行かない?明華って この辺りだとどこに行くの?」


 これが僕の考えた最強カード、実はお昼食べた後に腹ごなしで~みたいな感じで使おうと思ったのだがまさかこんな早くに使うとは思わなかった。Alchemy?こんな序盤で?


「家」


 まさかの返答。いや確かにね、そりゃ家で過ごす時間のほうが多いだろうよ、けどそういう意味で聞いたわけじゃないってわかってるよね明華さん。それからニヤッと笑ってからきちんと答えてくれた、珍しいやっぱりちょっとテンションは高いのかもしれない。


「この辺だと、私の場合は本屋かな」


「ほえー意外。なんかカラオケとかバッティングセンターとか、なんか体力使うようなことの方が好きそうなイメージあるのに」


「体なんてエンコンがいれば嫌でも動かすだろ、それに本で式の応用考えたりすんだよ」


「なるほど?いまいち想像がつかないけどどういう事?参考として近くの本屋行って教えてくれない?」


「はぁ?いや、お前にも必要か、仕方ないまぁ、参考になるかはわからないぞ」


 やったねこれで僕も少しレベルアップできればいいんだけど、現実には経験値とかレベルとか表示されないの本当に不親切だと思う。数学検定でも受けたらある程度の目安にならないかな?「この数学検定2級合格証が目に入らぬか!」ってやったら「何?こいつには勝てねぇ!」とか「自分数学オリンピック金なんで、自分の勝ちです」みたいなこれなら無駄な争いが減ると思うんだ。


 そんなわけで僕たちは近くの本屋へと移動する、珍しくビルの3フロアも使った大きな本屋。そこの一番上にあるのが専門書の類が集められたエリアで、大体がこのフロアにいるのは大学生とか大学院生とかその道の専門家だとかくらいが大半だ。学術書だけでなく、プログラミングとかもあれば芸術、医学とかもここにまとめられている。


 ちなみに僕がここの本屋に来ると大体は一階の小説コーナーの奥にあるラノベコーナーと漫画のコーナーでしか行かないのでここのエレベーターに乗ったのは今回が初めてだったりする。


 なんだかここに居るだけで緒と僕が賢くなった気がする。決してそんなことは無いんだけど環境が変わると人が変わるというように、周りに頭のよさそうな本に囲まれているということはつまり僕は少なくともそのレベルの本を必要としている人間なわけで、イコール僕は頭がいいQED証明終了。


 明華がまず向かったのは数学書の棚ではなく、物理関係の棚だった。なんでまた物理?とも思ったが確かに明華の能力が「0」だとして数学でそれを見たから何なんだというのもうなずけるし、あるいはすでにその程度の数学書は読み終えてしまった可能性もある。


 力学系の物から細菌怪しいスピリチュアルなものに全然違う意味で使われてる量子力学まで幅広く網羅してあるけれども、明華そこで力学と熱力学のところで立ち止まる、背表紙を見て中身をチラ見しては、棚に戻す。これを何度も繰り返していた。


 僕も明華に習って適当にその辺の本をとってみた。電磁気学の本だった。初めのページには僕も1年生で習ったことや、今の教科書に載ってあるような公式などが載っていたこれがおそらく基礎なんだろうな。でも「やさしい電磁気学」って書いてあるし大丈夫だろ。


 あれぇ?もうわけわからん記号が出てきたんだけど、やさしいとは?それとも高校2年生だとまだそこの段階まで来てないというのか?ということは、僕がここの本のレベルの内容を理解するには、少なくとも大学受験は完了するレベルにいないといけないという事か。


 明華を見ると少し気になる内容があるのか、何ページか読みふけっていた。それほしいのかな?せっかくだし全部出すっていたから買ってもいいか。その分厚さなら余裕で出せちゃう今の僕ならね。


「それ気になるなら僕が買ってくるよ?」


「あ?いや別にそんな」


「いいっていいって、これで明華がこの本を読むときに僕の事を思い出してくれれば僕はそれで満足なんだ」


「そんなキモイ理由なら買うな!」


「ごめん嘘嘘」


 そういって明華の手からその本を受け取る、他にも2冊ほど気になっていたのも知っているのでそれもまとめて手に取った。


「おい、そんなにいいって」


「でもこれで明華が強くなるなら、これも手助けの一部でしょ?僕も直接的じゃないけど助けることはできるって言ったからせめてこれくらいはね」


 そういうと明華は何も言えなくなったのか黙りこくった。少し困ったような眼をしていたが構わない。そしてついでに僕の読んでいた本も買っておこうと思ってそのまま僕の気になる本を手に取って、1階のレジカウンターまで行く。


「2万5千円です」


「ファ!?」


 高!!え!?マジで?明華の読むような本ってそんなにするの?僕の本2つでも2千円いかないよ!?やっべぇあの時の巨大カメレオンみたいなエンコン倒してなかったら危なかった。油断した。


 何とか僕の持ち金を全部持ってきたおかげで支払い不可なんてことにはならなかったが。これは驚いた。


 会計を済ませて店を出ると、明華がやっちまったというような顔をしていた。


「お前も参考書くらいは買ったことあると思っていたが、まさかそこまで驚くとは、なんかすまん」


「いや、確かに読む人が少なくてそれを書ける人も少ないとなればプレミアがついて当然。これは僕の予測が甘かったせいだ」


 オタクとしてもともと発行部数が少なく、マニアどもが求めるものはプレミア価格となって当然の事それを見落としてレジ前であんなダサい声を上げてしまうとは、これは減点ですね。次回までに改善しておきましょう。


 そうして僕らが本来行く予定だったレストランに着いた、あらかじめ予約してあったのでスムーズに入ることができた。ネットで調べたし一路の彼女である紗季ちゃんもここがおすすめと言っていたので迷うことなく紗季ちゃんを信じて予約した。


 アサイーボウルとかマジでわからんけど、とりあえずスープカレーとか、オムライスとかも置いてあって、デザート類も豊富で女性人気は間違いなしだろう、それにも関わらず男性向けにも大盛とかもできるというのは確実にカップルに狙いを定めている。


 各々料理を注文してさっきの本を明華に渡した。どうやらさっき言った本を読んで式の応用とかを教えてくれるんだろう。ページを捲っていくとあるところで止まる。


「例えばこの式、私がよく使う式だ、これを簡単にしたのがクーロンの法則、これを私の能力でF=0に書き換える、すると相手の硬さにもよるが、分子とのつながりをなかったことにする、無論それに対して相応の演算容量が持ってかれるがな」


「なんで数式なのに数字がないんだろう、これってトリビアになりませんか?」


 すんごい式の導出から書かれているようだけど、結果が絶対に僕らが習うような範囲を逸脱している。これでもまだ完ぺきじゃなくてもっと厳密に詰めていく必要があるのだろうけど、それでもこの式をきちんと理解していたら演算容量の減りが少ないとかなのかな?


「お前の場合はこの式自体をいじるってことになるのか?」


「いや、僕の場合は全部感覚でやっていて、最近分かったことと言えば攻撃系はf(x)、補助系にg(x)、みたいな感じだけど、xは大体が対象となる物に応じて量が変わる感じ、時にはαが僕の演算容量に関係して出力が変わるみたいな感じかな、本当に感覚でしかないけど」


「二変数関数で、相手の情報を先に入れてαをお前の消費量で調整してダメージを与えるといった感じか?式自体はどのように組み立てる?」


「割と自動で式が立ってくれてる感じがある、けどこれがきっと正しいていう数学の問題を解いてる時の感覚に近い」


 そう僕が答えると、明華はしばらく考え込んでしまった。この感覚あまり理解されないんだよな、しいて言えば長枝がお前そっちのタイプか、なんて言ってて感覚は頼りにしていいって言ってくれたけど、その他にきちんと基礎固めと演習量を増やせと言われたっけ。問題解き続けるの嫌なんでやったことないけど。


「おそらくある程度のテンプレートは必要だ、いくつか用意しておく必要はある。簡単でもいいその分曖昧さが多くなるから仕方ないが、基礎的な式を覚えて実践で試してみるしかない」


 そう明華が結論付けた後に頼んだ料理が運ばれてきた。明華も同じか、それならやっぱりテンプレの構築とそのために必要な式の発見だな。面倒くさい、こういう特訓的なのって教科書パラパラめくる事じゃないよね?そんなジャンプ作品あったら束打ち切りだよ。

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