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数学弱者の最終定理 ~異能力バトルに数学って厄介すぎるんだが~  作者: 二毛作


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16僕は数学が苦手だった

 翌日、なんて言って明華を誘うかの文面を考えていた。その間にもエンコンの退治には顔を出したものの、あの顔面モザイクリーマンやトカゲくらいで、僕が一番初に倒したようなでかさのやつは出てこない、それに雑魚過ぎて売ったところで全部合わせてもお札に足らないくらいのお金にしかならなかった。


 あれを毎回のように買い取ってるマリアさん大丈夫なのだろうか?もしかすると時折キッチンの奥から聞こえる音はあの石を加工したりしているのかもしれない。そうなるとリアルモンスターハンターだね。それを教団とかに売ってるのかな?それはそれでありえそうだ、だってすぐ近くにユリスさんがいるわけだし、なんか情報屋ってどこにも肩入れしない中立ってイメージあるし。


 その辺を散歩でもしてお小遣い稼ぎがてら文面を考えているものの、中々どうしていい文面が思い浮かばない。別に格好つけたいわけでもないけれど、なんかしっくりこない。これだといつまでたっても明華を誘えないじゃないか。やっぱり強制的に一路を引き込むか?いやいやそれはナシだって昨日結論に至ったわけで。


 いったん別の事でも考えよう。そうだ僕の能力をいったん整理するというのはどうだろうか、いまだに感覚でやっている分失敗することもあるから、ここらできちんと理解してしまった方がいいのかもしれない。なんかいわゆる公式みたいなイメージで作ってしまえばすぐに作れて便利、あとは問題の値を入れるだけの簡単な算数に変わるわけだ。


 現状、僕の使えるものと言えば主に爆破と引き寄せ、斬撃にちょっとした体の強化。共通しているとすれば、攻撃系の物がFであらわされるのに対して、身体強化や、引き寄せなんかはgであらわされていること。いったい何の違いがあるのかわからないけど、きっと僕の能力が勝手に分別しているだけなんだと思うことにした。


 関数といわれても、一体何をどうすれば能力を使いこなせるのか、現状の僕の感覚としては勝手に式が組みあがって、そこに僕のMP、マリアさんたちが言うには演算容量と言っていたか、それをただ注ぎ込んでいるので関数というよりも「代入」の方がしっくりくる。


 しかし、僕の能力が関数という事なら、立式の部分も僕が行える、と言うか行う必要があるのでは?なのに、いつも出てくる式と言えば僕の想像していない式、やはり理論的に構築している様なものは無かったように思える。


 何が必要なのだろうか、式を構築すると言うのが感覚としては掴めない、やはり意図的にしていることといえば代入にしかならない、何がきっかけで式を立てることができるのか、必要な条件が皆目検討がつかない。明華やモカさんはどうやって式を構築してるんだろう、マリアさんが言うには僕はモカさんよりの能力と言うことだが、迂闊に協力をお願いして、変に勧誘とかされたり、それこそモカさんのメンバーが僕に対して敵対してくる可能性だってある。


 やはり何かしら教科書を漁って使えそうな関数を見つけるしかないのだろうか、だとしてあの自動的に立式できた爆破と斬撃、それから引き寄せはどこで知った式なのか、それが何に作用しているのかを知る必要がありそうだ。


 そんなことをことを考えていた矢先、嫌な予感がした。この感覚近くにエンコンがいることの証拠だ、もう何度か経験していると独特の違和感に気がつける様になってきた。


 そのまま僕はそこの違和感の元となる方向へと歩み、そこの空間に自らの意識で侵入する。その空間は変に事務用の机が幾重にも重ねられた空間。こう言う場所では顔面モザイクリーマンが主に出現しているが、モカさんとの時みたいに意外な奴が潜んでいたりする事もあり警戒を怠ることはできない。


g(x)=x - α


 最近見つけた明華やモカさんの様に、身体能力が向上する式だ、今の所僕の解釈ではxが自動的にかかっている身体リミッターで、それを僕の演算容量で相殺する。そんなイメージ。もう少しの改良で、もう少しいい動きができそうな気もしているのだけど、まだその立式には至っていない。


 あたりを警戒しながら進むと、壁のように積み上げられた机を吹き飛ばしながら、一体のトカゲ、これも感覚でしかないが、まだまだいるはずだ。僕はすかさず先ほどの術を発動する。限界値近くのgが0になる付近にまで演算容量を注ぐ。


 トカゲが認識する前に僕が顔面を前蹴りで蹴りつけて仰向けになるようにして、そのまま顔面を踏みつけた。ぐちゃっとした感覚にいまだになれることは無いが、僕が編み出した戦法で一番早い倒し方がこれだ。口腔内は弱いのか比較的こんな単純なストンプでも撃破できてしまう。


 すかさす右側から長い爪が襲い掛かる。まだかrだが霧散しきっていないトカゲ事足で持ち上げて、その体が代わりに爪を防いでくれる。そのまま霧散していく中で口から足が外れ、そのままバックステップで距離をとる。その直後後ろからトカゲのかみつき攻撃が襲い掛かった。すぐさま前転して何とか肩のあたりをかすめる程度にとどまった。幸い出血はない。


 だが状況的にはトカゲ二体に挟まれる形、ここで僕は目の前のトカゲに爆発の式を投げつけすぐさま体を反転させて切りつけの式を発動し右手に付与した。そのまま背後での爆風を感じつつ右手をトカゲに向けて振るう。トカゲも僕の手に合わせるよにして爪で切り裂こうとするが、それに対して演算容量を多めに入れると、爪を割くようにして割って入り、トカゲの右腕を落とすことに成功した。


 背後に目をやるとまだトカゲは爆風でふらついているように見えたんで、ここで一気に目の前のトカゲに攻撃を仕掛けることにした。爆破の式をトカゲの背後に投げつける、まるで手榴弾のように式がまとまったものを投げるのだが、位置もいいところに行った。


 そして爆発、そのまま右手に付与したままの右手を構え、爆風で一気に距離が縮まったトカゲの腹を思いっきり貫いた。短い悲鳴の後、体が霧散していく、そのまま右手を引き抜いてトカゲの後ろに体を隠すと予想通り後ろのトカゲが僕に爪を振り下ろしていた。


 そしてそのままトカゲの肩を乗り越えるようにして飛び出し、袈裟切りに右手を振り下ろした。トカゲの体がきれいに裂かれていく。少し無駄に演算容量を入れすぎたかもしれない。たった三体だったというのに、ほのかにアップ後くらいの息の上がり方をしている。


「うーん、なかなか式の扱いが下手だなぁ」


 そんな独り言で文句を漏らして落ちている石を拾う、確かこの石の名前もストレージっていてったかな、確かに情報が載っている式とかならストレージだよね、よくある勘違いでメモリとストレージがあるけど、主にデータ保存に使われるのはストレージって技術の時間に先生が熱弁していた。


 あとはここの根源となっている場所を探し出して異常な値を治せばこの空間は消えるわけなんだけど、これはいったいどういった仕組みなんだろうか?この異常値って自然発生するのかな?それとも誰かがわざとやってるとか?


 まだまだ分からないことだらけ、どうも新入社員、業界未経験の阿智良湊です。え?マニュアルないんですか?終わってますね。退職代行使ってやめます。


 あたりを見渡すと空間がねじ曲がったような場所を見つけた。往々にしてこういう場所が原因となるのだが、この感じきっと前回のモカさんの時と同じだ。


 一つ深呼吸をしてそこに右手をかざしてみる。異常値の場所を探るがなかなか見つからない。感覚的にこれだというものではなく、答えまで書いたはいいけど、何かがおかしくて間違えている。そこで途中式でどこが間違えているのか探るような感覚だ、自分の間違いだったらその間違いに気が付くのも難しいのだが、これは他人どころか人間が書いたものなのかもわからないので、割と自分の間違いを見つけるよりは見つけやすいというのはある。


 ようやく見つけられそうだという手前で、地面が揺れた、やっぱり来たかと思い、すぐさまリミッター緩和の式を展開する。すぐさまその場から飛びのき、地面の揺れの発生源を探す。右側、またもや壁のように積み上げられた机が邪魔だが、その奥に揺れ動く何かを見つけた。おそらくあいつがいわゆるこの空間のボス。


 先手必勝ということで大き目の爆破の式を投げつけた。机をあたりにまき散らす。この机丈夫だな、足の部分がゆがむことはあっても木っ端みじんになったりしないなんて相当作りがいいのかな?なんてことを考えていると耳を劈くような音がした。


 それは悲鳴にも似た音、言葉に表すのが難しいがともかく甲高い声だった。その音の主は机をかき分けるようにしてその姿を現す。頭が二つある大きな蛇、頭だけでも僕をきっと丸飲みにできるほどの大きさがある。これが二股のオロチですか?というか尻尾まで二股なのかよ、これなんかDNAみたいになってるじゃん。生物の授業で見たぞこんなの。


 そんなことを思っていると早速その尻尾が僕の方へと振り下ろされた。よく見るとウロコなのか、所々にある凹凸がある。あれで当たるときっとスパイクのような役割をしているから結構響くだろうな。


 左によけた後、右手に切断の式を付与し、そのたたきつけられた尻尾に対して切るように右腕を振ったものの、何時ぞやのエンコンの時のように少ししびれが襲い掛かる。尻尾の方を見ても表面に傷がつき当たった部分のうろこは割れたようになっており、そこから紫の液体が滴っていた。


 けっこ演算容量は突っ込んだつもりだったけど、まだ足りないのか、これ結構まずいな。先ほどの爆発の方もさほど有効だというわけでは無いようで、陽動位に思った方がいいかもしれない。僕の手持ちの攻撃手段はこの二つだけだが、これは結構まずいかもしれない。


 時間稼ぎの意味も込めて二つの爆破式を顔目掛けて投げつける。コツンと式の塊がちょうど頭に当たると同時に爆発する。二つの首がバラバラに動き回っている。その隙に後ろの方へと回り込み先ほど尻尾に入れた切れ込み目掛けて今度は切断の式を右足に付与、ストンプのようにして何度も踏み付ける。


 すると再び耳をつんざく悲鳴と共に尻尾の切断に成功した。これならいけるかもしれないと思った矢先もう一本の尻尾が僕を横なぎに吹き飛ばした。


 空中で体制を整えて、なんとか足から着地することはできたものの左の脇腹にもろに食らってしまい、少し息がしにくい、幸いあばらにひびが入るほどまでではなさそうだが。まずったな、こういうダメージ受けるとたまに式が失敗みたいになるからなぁ。


 そのまま今度は丸呑みしてやると言わんばかりに左側の頭が僕に襲い掛かるがそこでジャンプしてかわす。リミッター外したら簡単にこんな3メートルほどは余裕で飛ぶことができるんだから人体ってすごいね。


 その空中での身動き取れない状況を待ってましたと言わんばかりに右の頭が僕に狙いを定める。そこをねらって僕は口の中に爆破の式を投げ入れた後、僕の足元にも爆破の式を投げる。


 2つの爆発、一つはエンコンの口腔内で炸裂し、もうひとつは僕をもう一段高く宙へと吹き飛ばす。そのまま空中で体を反転し同じ要領で足元で爆破をさせて、右手に切断の式を再度付与。このまま左の頭を切り落とす。


 と思ったのだが、今度の足元の爆発が不発。赤く光り、そのままガラスが割れるような音を立てて崩れてしまった。


「うっそだろこんな時に!?」


 そのまま自由落下で左の頭に右手を叩き込む、寸前のところで演算容量をさらに増やして切断力を上げた。切り裂くというよりも脳天ぶち抜きって感じになったがこれで頭の一つは落としたとみなしていいだろう。


 右の頭も口腔内のダメージがひどそうだ、下あごが吹き飛んでいる。この状況なら僕に有効打は与えられまい。そのまま再び口腔内に多めの演算容量を詰め込んだ爆破式を投げ込む、閉じることのできない口に入りそのまま体内入っていき、ちょうど二股に分かれるあたりで爆発した。あたりに肉片と紫の体液をまき散らし、そのまま地面に倒れこむと霧散し始めて、割と大きめのアメジストのような石を落とした。うん、これきっと高いぞ。


 無事回収した後にあばらのあたりを確認すると見事に鞭で打たれたみたいなあざが出来上がっていた。これ一路に見られたらなにくそ言われるかわからない、下手したらドエム男子阿智良湊君ってことになりかねない。早く回復してくれ、というか僕が自分で回復の式立てればいいんだ。今全然アイディアないけど。


 だめだ、今回の討伐で課題がいっぱい見つかった。これは早急に式の構築が必要だな。そう思いながら石をポケットにしまった。

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