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数学弱者の最終定理 ~異能力バトルに数学って厄介すぎるんだが~  作者: 二毛作


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1とりあえずは出会い方な訳だが

 世界が崩壊するとか、魔王が復活するとか、なんか僕が勇者に選ばれるとか、学校の集会中にテロリストに占拠されたらどうしようとか、そんなあり得もしない状況を想像して、どのように対策するかのシミュレーションは世の中の男子の大半がしたことがあると思う。


 かくいう僕もその1人だ。


 というか僕の場合はそう言ったバトルファンタジーよりも、もっとラブコメの世界の妄想ばかりしていた。いや妄想じゃないイメージトレーニングだ。


 華の高校生だよ?青い春がみんなに平等に訪れて然るべきだと思わないか?というか向こうから来いよ、何様だ。


 こんな文句をつらつらと並べても日常は変わらない、「幸せは歩いてこない、だから歩いていくんだね」なんて歌詞があるくらいだ、だから僕は新学期の始まる今のタイミングで自らフラグというものを建設しに行くのさ。


 新学期、出会いの季節、そしてそこに必要なのは食パンと急いでいる状況。曲がり角でぶつかればあら不思議、ラブコメフラグ工事完了です。


 そう、だからこそ今僕は曲がり角で食パンを片手に遅刻しそうな女子を今か今かと待ち望んでいる訳なのだ。


 天才すぎる「高校2年てギャルげにありがちだから角で待ち伏せ大作戦」の発案者である、僕こと阿智良(アチラ)(ミナト)。これは一級フラグ建築士と名乗っても良いのではないだろうか。若干違法だとかマッチポンプとか言われるのは気にしないけれど。何で朝の6時から待ってるんですか?とか、そんな時間に遅刻するやつ聞いたことねぇよとか言う声も無視する。


 もしかしたらいるかもしれないだろうが!!可能性を信じろ!!


 とまぁ、そんなこんなでしばらく待っていたものの、道行く人からはただ片手に食パンを持って角をチラチラいかがってる完全にヤバい人な訳なのだが。


 こんなこともあろうかと、食パンは何枚も持ってきていてそれを食べながらスマホで時間を確認する。これで僕は端から見ればただ誰かと待ち合わせしている高校生にしか見えないという寸法なのだよ、僕賢いね!!


 ついでにゴミ箱をカラスが荒らしているからそのあたりを掃除してやってもいいが、あいにくこの近辺の町内会に入ってないから僕には関係ない話だった。なんならカラスと一緒に荒らしてしまうまである。町内会費ってなんだよ、何に使ってんだ。


 そんなこんなで長いこと待ってみたものの、パンを加えて「遅刻遅刻〜」なんて叫びながら走ってくる人もいなければ、制服来た人すら見えなくなってきた、道行くのは、杖をついた老人か、なんか忙しなく電話しながらはや歩きしているスーツ姿の社畜のみになってしまった。


 あれ?これ僕の作戦失敗してね?


 そもそも始業式の日に遅刻するような間抜けってアニメや漫画の世界だけで現実世界には存在しない?


 これはもうトラック突っ込んでもらって異世界転生するしかねぇなおい。


 しゃあない、このままここで待っていたら僕のほうが遅刻する間抜けなってしまう。余ったパンでもモシャモシャ食べながらゆったり学校に向かうとしますか。


 さよなら僕のラブコメ、今日はフラグが立たなかったけど、学校生活の中でいくらでもその状況を作り出してやるから覚悟しておくんだな。


「ゴッフぁッ!??」


 僕がその交差点を通過しようとしたときの事だった。


何かとてつもない衝撃が僕の背中に襲いかかり、そのまま前のめりに倒れ込んでしまう。幸いにも両手をつくことはできたが、鼻を強打してしまいこれは鼻血が確定する。


「邪魔クセェよ!!」


 スッと通りの良いアルトボイス。声からして女性なんだろうけど言葉遣いがレディースとかのそれ、しかもそっちからぶつかって来ておいてこの言い草である。近年稀に見るヤンキーの方と見受けられる。


「いや、僕は何もグヘェア!!」


 言い訳をしようとしたした瞬間、今度は首根っこを掴まれて横に吹き飛ばされ、道の脇にあった民家の塀に激突する。


 なんで新学期初日でこんな目に?普通不良に絡まれてる女の子を助ける男の子っていうのが相場なのに、不良女子にボッコボコにされてる男の子になってるんだが?


 これは夢かなにか?


 なんて思ったのもつかの間、僕がいたであろう場所にドスの様な刃物が突き刺さっていた。


「は?」


 思わず声に出してしまったけど仕方ないと思う。普通に生きてきて、地面にはモノが突き刺さっている場面なんて見る機会がない。戦国時代とかならあったのかもしれないけど、今令和ですし。なんならコンクリートに突き刺さってるし。切れ味良すぎて怖い。


 その後すぐに僕を蹴り、投げ飛ばした女子の姿をこの目で確認するべく後ろを見る。すると、彼女は今にも獣にでも変身するんじゃないかってくらい厳しい目をしていて、その美しい双眸がちょっともったいないなとか思ったりしたわけだが、威嚇するかのように犬歯がちらりと見えた。きれいな金髪からなんかいい匂いしてきそうだなとか考えていたけど、これ間違いなく不良とかそういった類のあれですね。


 彼女の目線の先が気になったのでそちらに目を向けてみると……


「え?ん?は???」


 なんと形容していいのだろうか、パッと見はサラリーマンのようにスーツを着ている人に見えるんだけど、何かがおかしい、そうか、ひょっとしたら常人よりも量の腕が異常に長いのかもしれない、それ以前に顔だ。まるでモザイクでもかかっているかのように、靄がかかっているかのようになっていて顔がわからない。


 すると僕の後ろから勢いよく彼女が飛び出して、その人型の何かに対して勢い良く膝蹴り、それから流れるように体を捻り後頭部あたりへの裏拳、そして今回の僕が一番驚いたことがある。


 確かにこの目で確認できた、彼女の右腕から何か赤い靄のようなものが発せられていたのだ、それをまるでその人型の首を切り落とすかのように振り払うとその人型まるで霧散していくように、あるいは小さなの光芒として 変化していき数秒後には跡形もなく消え去ってしまったのだ。


 そしてそのすぐあと、何か重たいものが落ちる音が聞こえたのたのだが、それが一体何なのか見ることはかなわず、彼女がそれを拾いあげてしまった。それまでの光景に呆気にとられたというか呆然としたというか、白昼夢でも見ていたのではないかと思うほどで、彼女のこのとずっと目で追っていた。


 するとそんな視線に気が付いたのか、彼女は僕の方を見て少しにらみつけるように言ったのだ。


「見せもんじゃねぇぞ、これ以上痛い目見たくなけりゃさっさとどっか行け」


 僕を守ってくれたのか、それとも本当に邪魔だからぶん投げられたり、蹴とばされたのかわからないが、今はその言葉に従った方がよさそうなものだけど、どうしても確認したいことがあってそれを口にせずにはいられなかった。


「お嬢さんお名前を教えてただけませんか」


「黙れ、潰すぞ」


 できるだけ紳士に聞いたつもりだったんだけど、どうしてか何か僕のこれからの子孫に影響が出そうだったのでそれ以上追及することはできそうになかった。それならばと別の方向からお近づきになろうか。


「じゃ、じゃあ、あのさっきのって」


 僕がその言葉を口にしたとたんすごい勢いでこちらまで来た、胸倉をつかまれてすごいにらみを利かせられた上でこう告げられた。


「余計なことに首を突っ込むなお前には関係ない」


 えぇ、一応僕も巻き込まれたと言っても差し支えないと思うのに何の説明もナシってアリですか?それはちょっと世間は許してくれませんよね。なんて言ったところで次は本当にぼっこぼこにされそうだったのでおとなしく従うことにした。


「……なんでこんなことが」


 すると僕から目をそらしていったいどこを見ているのかわからないけれど彼女がそんなことをつぶやいた。そのあと僕の方を直視してきたんだけど、これはもしやフラグが建ったのでは?


 いやないな、いったい何のフラグだよ、僕この女性に何もしてないし何なら暴力振るわれて邪魔者扱いしかされてない。でもどことなく真剣な、いやどちらかというと……。


「まぁいい、私はもう行く」


 少し乱暴に胸倉をつかまれた後解放された僕はしばらく現状が理解できないままボーっと道に座り込んだままだった。というよりあんな光景を目の当たりにして一体どうしろというのだ。いや待ってくれ、僕が望んでいたのはラブコメフラグでありこれはまるで……。


「なんか別のフラグ立ってない?」


 そんなむなしいつぶやきの後、遠くの方から鐘の音が聞こえてきたが、きっとそれは僕の通う学校の物ではないし、なんだったら遅刻するような時間でもないんだろうな、っていうことを期待してスマホを確認したけど無事遅刻だったし、無事学校から電話が来てた。厄日すぎるだろ。

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作戦があまりにもガバガバで草
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