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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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水の由縁

作者: とわ007

---食べても無くならない物がいい---


私は水の精だと、生まれ直ぐに属性がついた、精霊の王に告げられたのだから、きっとそうなのだろう。

  

ただ、他の精と違うのは異常な程の食欲だ、精は欲がないエレメントに欲などない、欲などあれば別の何かに変貌してしまう。


なら、私の食欲は誰かの欲だったのだ、なら、誰かに返して来なければ、純粋な精になるために。


そう決心すると、とたんに睡魔が襲ってきた、瞼が重くなるのを感じながら、私は夢に落ちて行った。


うぇ、…グスッ……


…誰、誰かいるの?


いつも見る誰か泣いている夢だ。


可哀想で抱き締めてあげたいけど、ここでも私は水の精で両腕は滴る水で、掴めなくて申し訳なくなる


ごめんね、私じゃだめみたい

気休めに呟いたつもりだったのに、その子は突然顔を上げた


「…お兄ちゃん?」


えっ、何で気付いたの


後退りすると、かおを上げた少女はガリガリに痩せた手をこちらへ伸ばした。


「…お兄ちゃん…生きてたんだね、良かったぁ。

みんな、嘘ついてたんだぁ。」


パチン

と何か弾けた、そうだ何で気付かなかった?


俺は口減らしの為に雨乞いの生け贄にされたんだった

この子は俺の妹だ、俺が生け贄になれば、妹にたくさん食べ物をやると言われて生け贄になったのに。


この姿はどうだ、ガリガリに痩せた手足、落ち窪んだ目どうみても食事は与えられていない。


あ、あぁ…ごめん、兄ちゃんが馬鹿だった、大人にまんまと騙されて、お前一人守ってやれなかった。


ごめんなぁ。……そうか、だからずっと腹減って仕方ないんだ


どんなに食べても、空腹で、だからずっと、おかしいんだ。


妹のために--涙が溢れた。


雲が現れ、ポツリポツリと雫が痩せた村に落ちてくる、暫くするとどしゃ降りになり、村人が雨を喜ぶ間もなく、雨は勢いを増して土石流となった


---全て飲み来んでしまえ。


「お兄ちゃん!」


木片に乗って流される妹が空へ手を伸ばすと、透明な腕が現れ少女を空へ引き揚げた。


村人はなす術もなく、一人残らず水の中に引き込まれた。

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