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EP 70

フレディは怒りをあらわにし、横に座るレイラを睨む。口角がぴくぴくと震えている。

「なんだ! なにがおかしいんだ!」

「だって! 母さんのこと、ロボットだなんて! 母さんったら、めっちゃ猫かぶってるんだもの!」

「なんだって!」

フレディが持っていたナイフとフォークを皿の上にガチャンと音を立てて放り投げた。

「伯父さん、母さんのなにを見てるの? 母さんったら、いつも鬼みたいに怒り倒して口うるさいし、父さんにだっていつもたて突いているんだからね」

「はは! そうですよ! うちの父さんは母さんには頭が上がらないんですから」

ジェインも続ける。

驚いた壱花も、目を大きくして舞を見る。

「そ、そうなんですか⁉︎ なんか意外です!」

ほほほと舞も笑う。ハリーも意に介さないのか、にこにこしていて、今にも笑いがこぼれそうだ。

「な、なんだと! そんなはずは……舞は、いつも男の一歩後ろを歩くような、そそとした女性で……たおやかで優しくて白百合のように……清楚で美しくて、」

「白百合! 伯父さん、母さんに夢見すぎですよ」

そのジェインの言葉でみな、笑いを収めた。伯父フレディが、かつて舞を愛していたことをもう、皆が知っている。息子が二人、それまでは知らなかっただけで、大層な横恋慕であったことも、有名な噂なのだという。その空気感を察したのか、フレディが少し大人しくなった。

「そ、そうなのか……」

「うちではぎゃんぎゃんうるさいし、電話でも父さんを叱り倒してますけどね。とにかくうちの母さんは曲がったことは大っ嫌いなんです」

そこでようやく、舞が自分の意見を述べた。

「フレディ、ごめんなさい。私ね、レイラとジェイン、二人の子どもの一番の応援団なの。だから二人を、いえ壱花さんを含めて三人をあなたに貶されてね、今、腹わたが煮えくり返っているのよ。ほほほ。私はね、フレディ。息子と娘、二人ともを愛しているし、二人の幸せをどこまでも願っている。だから、うちの子どもたちにあなたの意見や考えを押し付けないで欲しいの」

「…………」

ジェインが、諭すような口調で言う。

「さっき、伯父さんはマルリッジ商会のお嬢さんが、性格も良く、バイオリン奏者で、人格者だという話をしたね。でもここにいる壱花だって、見知らぬ人を手助けしてあげる心の優しい人だし、まだ仕事としてはこれからだけどイラストレーターとしての才能もあるし、そして何より……伯父さんと少しでも話したいからといって、この1ヶ月間、英語を猛勉強したんだよ」

フレディが壱花を見る。壱花はちょこんと座って、恥ずかしそうに頬を染めている。

「俺は壱花のその人間としての真っ直ぐさを見て欲しいんだよ」

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