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EP 69

隣に座っているレイラが、くすっと笑った。

「相変わらず、時代錯誤な伯父さんだこと」

「レイ、おまえは自分が女だと主張するなら、男の社会に口出しをするな」

「あら! 私は女だけど、どんな場面においても主義主張はするわよ! 女は黙っていろですって? それこそ本当に時代錯誤ね」

「レイ、おまえはそんな格好をして、いったい何をしたいんだ。男として生まれたというのに、女になりたいだと? 恥ずかしいにもほどがある! そんな格好をしおって、家名に泥を塗るつもりか」

さすがに父ハリーが反論しようと腰を浮かせた時。

壱花が、持っていたナイフとフォークを皿に置いた。

「伯父さま。口を挟んで申し訳ありません。ですが、レイラさんがどんな洋服を着ようがレイラさんはレイラさんです。そんな優しくて素敵なレイラさんが、泥を……壁に(・・)泥を……塗るはずありま? せんっ!」

壱花渾身の力説だったが、その間違いに、ふすっとレイラが吹き出した。ジェインはくくくと笑いを噛み殺して堪えている。

「なんだ、おまえは。下手くそな英語で、しかも私に向かって、なんという口の聞き方だ」

「下手くそで申し訳ありません。あれから、英語を頑張って勉強しています。ジェインさんのご家族さまともお話できるように、もっともっと頑張ります。粗相がありましたら、どうぞお許しください」

英語だ。緊張の面持ちは変わらない。

ただ、壱花はレイラが貶されたのには、我慢がならなかったのだろう。

「すまないね、壱花さん。私が言うべきことを、壱花さんに言わせてしまったようだ。兄さん、私はここにいる息子二人のことを、とても尊敬しているし誇りに思っている。だから、二人を悪く言わないで欲しい」

「私はただ、」

フレディが反論しようとした。

けれど、言い掛けたところで、他に声が上がった。

舞だ。

「フレディ、私もハリーと同じ意見ですよ」

そう冷静に伝えた。

けれど、その冷静さが癪に触ったのだろう。その言葉に対し、ふふんと鼻で笑い、勢いよくまくし立てた。

「同じ意見ねえ。やはり日本人は自分の意見も持っていないようだ。舞、かつて君はいつも、ハリーと同じ意見だと言っていたね。だが、夫婦だとしても意見は違う。私とマーガレットはいつも意見を戦わせていた。その全てが良いとは言えないが、ただただ夫に従うのが良いというわけでもないだろう」

「あら伯父さん、さっき女は黙ってろって言ってたじゃない。矛盾したことを言っているわ」

こちらもふふんと嘲笑する。

「夫婦は別の話だ。舞には自分というものが無い、ロボットのようなものだと言っているのだ」

その頃にはもうメインディッシュが運ばれてきていて、魚料理や肉料理の良い香りが、周りに満ち満ちていた。そんな中、美味しそうな空気を破るように、レイラが笑い声を上げた。

「あははは! これは笑えるわ!」

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