EP 65
止められなかった。
暴走気味の身体と想い。
もうダメかもしれない、離婚かもしれないと思ったりして落ち込んだし怖くなった。その立場から反転、壱花が自分を求めてくれたのが嬉しくて。感情が高ぶってしまって自分を抑えきれなかった。
何度も抱いた。
「壱花ちゃん、俺、昨日乱暴だったね。身体とか大丈夫? 痛いとこない?」
髪を撫でる。
「はい、大丈夫です」
ぽやんとした顔。まだ眠そうだ。
「あー起きなきゃいけないよ」
「夫婦揃って遅刻とか、シバさんに冷やかされそう」
「あいつ、壱花のこと、ちょう気に入っちゃってるから、これからもちょっかいかけてきそうだなあ。心配だよ。ふらふらっていっちゃダメだよ、俺の壱花なんだから!」
「わかってます。ジェインさんもよそ見しちゃだめですからね」
ちゅっとキスを交わして、「よそ見なんて、100%あり得ないから」
その力強い否定に、はいと小さく頷いた。ジェインは壱花の瞳を覗き込んだ。眠そうにまぶたで半分は覆われているが、相変わらず綺麗な黒色の瞳だ。ジェインを魅了した、宝石。
「ほんと綺麗だな」
その半開きのまぶたにキス。
ぎゅっと抱き締めて、至福をしみじみ感じている。
「あー良かった。壱花ちゃんがどこにも行かなくて」
壱花の頬にぐりぐりと自分の頬を擦り付ける。今度は壱花が、ふわふわなウェーブのかかった金髪を、ゆっくりと撫でた。
「でもこれで、本当の夫婦になりました」
顔を上げると、壱花が笑っている。嬉しそうに。とても、嬉しそうに。その笑顔を見て、ジェインは昨日までは複雑だった感情が、一つにまとまっていくのを感じた。
ただ、大好きだと。ただ、愛している、と。
「壱花ちゃん、幸せにする。もう誰にも邪魔されたくないから……」
「?」
「お願いがあるんだけど良い? 前に俺のこと、イラストで描いてくれたじゃない」
「はい。今はレイラさんを描いてるんですけど、まだ完成してなくって」
「そっち優先で終わったらで良いんだけど、これ。壱花ちゃんに描いて欲しいんだ」
一枚、枕元に置いてあった写真を渡す。
「? 良いですよ」
「ありがとう。それで悪いけど、もう一度イギリスに一緒に来てくれるかな?」
「パーティーかなにかですか?」
壱花が不安そうな表情を浮かべる。前回のホームパーティーでは、辛い思いをし、最悪な思い出しかない。
「うん。でも今度はさ、本当に本当の身内だけのホームパーティーだから、安心して?」
手を伸ばして壱花の頬を撫でる。
「心配しないで。俺に任せて」
「わかりました! ジェインさんのこと、信じてますから!」
「ありがとう!」
いちゃいちゃしていると、スマホの時計がそれを邪魔するように鳴った。
「さあ起きようね」
そう言いつつ、布団をばっとかぶると、たくさんキスを交わした。こんもりな布団の中から、笑い声が響いてきた。
✳︎




