EP 64
「……本当に良いの?」
「……はい。目を瞑ってまする」
「では……失礼」
ジェインは風呂場に入り、掛け湯をしてから、壱花の背後にそろりと足から入った。
壱花は、ダンゴムシのように膝を抱えて、丸くなっている。大事な部分は見えないスタイルだ。
(壱花ちゃんからのお誘いだったけど、やっぱ恥ずかしそうにしてるの、可愛いな)
とにかく丸い。背中。可愛い、可愛すぎる。入ったばかりだというのに、もうのぼせそうだ。
「半分半分でも、そんな狭くないね」
「はい。大きな湯舟です。前住んでいたところのお風呂の3倍はあります」
ジャグジーも付いている、楕円形の湯舟。さすがにジェインは丸くはならないが、足を曲げて壱花の両脇に置いた。
「壱花ちゃん、おじいちゃんおばあちゃんになっても、こうしてお風呂に入りたい」
こくんと頷いた気がして、ジェインは至福に囚われた。
「ねえ、壱花ちゃん、このお誘いって……壱花ちゃんを抱いても良いってこと?」
うなじが一気に赤く染まっていく。
「うう、うん、はい」
「そっか。うん。じゃあ遠慮なくいただきます」
ジェインは前へとにじり寄っていき、そして壱花の背後から腕を伸ばし、ハグをする。太ももに壱花の肌が密着し、欲情した。
後ろから回した腕で、壱花の手首を捕らえ、そして。
肩にキス、そのままうなじへと進み、耳の後ろにもキスをした。
「壱花ちゃん、」
名前を呼ぶ声色に切羽詰まった感情が浮き上がってくる。
「壱花ちゃん!」
そのまま、頬にもキス。そして、顔をこちらへと向かせると、深く深く唇を合わせた。
全裸同士だ。隠すものはなにもない。
「ジェ、ジェインさ、ん、ジェイ、さ」
キスとキスの間、息継ぎしながら名前を必死に呼ぼうとする、壱花の可愛らしさに身悶えする。
「ああ、壱花ちゃん、君が欲しい。抱きたいよ、抱きたい……今日こそ君を……」
身体ごとこちらへと向かせ、そしてぎゅっと抱き締めた。
「……ベッドにいこう」
壱花がうんと頷いたのを見つけてしまうと、ジェインのタガが外れてしまい、ベッドに移動すると二人、無我夢中に抱き合った。
✳︎
腕枕の中、眠る。ただ、今日は月曜日。二人には仕事もあるし、あと少しで起きないと遅刻になるとまでの時間。起き上がると昨夜の情事によって身体は気だるく、けれど心は晴れやかだ。
「おはよ」
ジェインが挨拶をすると、「おはようございます」と返してくれる。ようやく壱花を自分のものにした。すでに結婚適齢期の歳だし、まだ立ち上げたばかりとはいえ、会社の経営もしている。分別のある良い大人であるはずが、壱花を抱いている時には、これでもかと言うほど、がっついてしまった。久しぶりの行為ということもあったが、自分の身体の中にすっぽりと入り、白い肌を晒している壱花があまりに可愛くて可愛くて。




