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EP 46

「なあ、あんたさあ。杏に聞いたんだけどな、この結婚は形だけのもんなんだろ? 偽装結婚ってやつ? それとも契約結婚ってやつ? は! どうでも良いけど、どっちにしたって偽物なんだろ? そんなくだらねえことに壱花を巻き込むんじゃねえ! 離婚しろよ、離婚してくれよ。俺が……壱花は俺が幸せにするから」

「あらあら。ジェインに呼ばれて引き返してみれば。こんな面白いことになってたんですね」

ジェインの後ろから、女性の声。暗がりではあったが、その話し方で、それが杏の声と認識できた。

ジェインが振り返り、「杏、彼に説明してやってくれ。さっきも言った通り、俺たちは……」

けれど、ジェインの言葉を遮り、杏は大声を上げて笑った。

「あはは! 良いじゃないですか! この結婚は、フレディ伯父さんに対する目くらましみたいなもんなんでしょ?」

「杏っ!!」

「なんだよそれ。やっぱそうじゃねえかっ」

「この結婚のことは、壱花もちゃんも了承している。それに俺たちは愛し合っているんだから、離婚なんて絶対にしない。俺が、はいそうですかと、簡単に壱花を手放すわけがないだろう!」

「ジェイン、そんな偽物のくだらない結婚なんてやめて、あの頃の私たちに戻りましょうよ。私たち二人、楽しかったじゃない?」

「なるほどね。いやに親密だと思ったらそういうことか! あんたら付き合ってたんだな。なら話は早い。あんたは杏を、俺が壱花をもらう。お二人さん、なかなか似合ってるしな」

「いい加減にしないか! 俺たちが付き合っていた事実なんかない! それに壱花は物じゃないぞ!」

この騒ぎで、ぽつりぽつりと人だかりができ始めていた。そしてさすがに眠っていた壱花も、目を覚まして言った。

「……もうお願い。止めてください……辛い、辛いよ……ここから離れたい。お願い、私を連れ出して」

泣きながら言う。

「壱花、壱花は俺が守るから、安心して?」

優しく囁きながら、壱花を抱いたまま立ち上がった。

「おい! 壱花を離せ! 俺が家に連れて帰る」

「まあまあお二人とも。声を荒げないでください。通報されますよ」

杏がやれやれという素振りをしながら言う。その現実的な言葉でふたり、我に返る。

だが、まだ収まりそうもない。一触即発な雰囲気。

「あららちょっとちょっとちょっと! これどうなってるのかしら? まさか修羅場ってやつじゃないわよね?」

そしてその場面で、第5の人物が現れた。壱花は少しだけ朦朧とした意識の中、その声を聞き、安堵したのだった。

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