EP 36
「ジェイン、可愛い奥さんね。あなた、今までになくすごく幸せそう。良い人を見つけたわね」
「まあね。壱花は俺の、」
ジェインがちらと弥一に視線を滑らせた。だが、弥一は気づいていない。なぜなら、弥一は壱花を見つめているからだ。
「俺の大切な運命だ。壱花と結婚できて幸せだよ。絶対に離さない」
語尾にいくにつれ、力が込められた。それに気づいたのか、弥一がはっと顔を逸らし、ようやくジェインを見た。
「あらあら、熱いわね。お惚気にはお惚気で対抗しなくちゃ! 実は白状するとね、私たちもお付き合いしているの」
弥一の腕を取った。
けれど、弥一は、え? と言うように、腕を早々に振り払う。
「おま、なに言って……」
「だっていいじゃない。そういう関係でもあるんだし」
「な! 違っ! や、やめろ!」
慌てて全力否定、とはいかなかった。その狼狽えた弥一の様子で、それが事実とわかる雰囲気だ。すかさずジェインの表情が曇った。
「そうなんだ、恋人同士だったとはね。驚いたよ。でも杏はSOTに入ったばかりなんだろ? それなのに、まあ、さすが弥一くんだなとしか言いようがないな」
嫌味や皮肉がたっぷりと込められていた。
「違います! 恋人とかそんなんじゃ、」
「二人とも良い大人なんだから、どうこう言うつもりはないけれど、杏を泣かせたら容赦しないからな」
「あらあら、あなたが言う通り、私はもう大人なんだから大丈夫よ。それよりジェイン、それを言うならあなたもよ。さっさと結婚なんてしちゃって。私になんの相談もなく!」
「悪かったよ。でも俺らは両想いだし、すごく仲が良いから安心して。すごく幸せなんだよ」
杏がくるっと身を翻して、顔を覗き込み、問うてくる。
「あなたは? 壱花さん?」




