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EP 17

「結婚を認めてもらえないって、マンガやドラマの世界だけだと思ってたけど。まさか自分がこんな目に会うなんて、地味にキツイな……」

しかも、周りは煌びやかな女性ばかり。すでにお金持ちなジェインにお金は必要ないとは思うが、自分にはお金もなければ美貌もない。才能……もない、か。ずどんと落ち込んだ。

(っていうか、ジェインさんがこんなにも大富豪の御曹司だとは思いも寄らなかったな……なんで教えてくれなかったんだろう?)

ホームパーティーと聞いたのに。

「これ絶対違うやつ! 社交界の舞踏会的な催し物だよね絶対これ!」

壱花は鏡に映った自分の姿を見、つい数週間前にジェインが契約結婚について話していたことを思い出していた。

✳︎

「俺の伯父さんがね、一癖二癖ある人でね。俺をイギリスに呼び寄せて、自分に有利な結婚を俺に押し付けようと目論んでいるんだ」

「わわ、それこそマンガの世界ですね」

「そこまでならマンガなんだろうけど……伯父はちょっとした事業を展開していてね。姉のレイラか俺のどちらかを後継ぎにしようとしているんだけど……」

契約結婚と聞いて驚きはあったが、話の内容は理解できた。

ジェインがふ、と寂しそうな笑みを浮かべた。

「今まではそれでも良いと思ってた。もともと女性とは淡白な付き合いしかしてこなかったし、こんなこと言うと壱花ちゃんに軽蔑されるかもしれないけど、女性との関係をそれほど重要視していなかった、っていうか軽く見ていた部分があったんだろうね」

ジェインの暗い表情に胸がざわりとした。

「そんな! 軽蔑なんてしません!」

「ありがとう。そう言ってくれて、ほっとしたよ。壱花ちゃん、君は以前付き合っていた和田くんを全力で愛していたね」

「あれは、その……」

元カレの名前が上がって、怯んでしまった。

「正直、あんな男のどこが良いんだと思っていたけれど、羨ましくもあった。壱花にあんなにも一途に愛されていたからね」

「…………」

「そんな愛とは無縁だったし、浅い付き合いしかしてこなかったから、伯父の紹介する女性との結婚も、まあそれで良いやと思っていたけど……」

手を握る。壱花の手はこたつの上で、ジェインの両手に包まれた。

「壱花に出逢って、自分が惹かれていくのがわかって、ああこれが恋なのかって、ね。自覚したんだよ、情けないけど、この歳になって初めて」

ウィンクする。けれど、それは弱々しいもので、いつもの破壊力はない。直ぐに真面目な顔に戻った。

だからね、伯父の紹介する他の女性を敬遠したい。

「もちろんそれもあるけど、俺はようやくお付き合いまで漕ぎ着けた壱花ちゃんを他の男に渡したくないっていうのもある。それに……」

握っていた手に力が入った。壱花も視線を離さなかった。それはジェインがそうであったから。

「いつ結婚という形式を取ろうと、俺はこの先もずっと、壱花と一緒にいたいから」

くしゃと顔を歪ませた表情。

壱花の胸が熱くなった。

(そこまで私のことを……嬉しいな)

遠距離に耐えられず、自分に会うために会社まで立ち上げてくれて。

(ここまで好きになってくれる人は、きっとこれからも現れないだろうから)


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