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EP 14

「伯父さん、調べただろうからわかっていると思うけど、俺たちはちゃんと日本で婚姻届を提出し、夫婦となったんです。俺たち夫婦の間には誰も入り込めませんから、諦め」

「ジェイン」

雷の如く強い意志の入った低い声。話の途中でもお構いなしにぶった斬ってくる。

「ではハロルド財団のキャシーを紹介しよう。キャシー!」

今度は数メートル離れてワイングラス片手に雑談していた、すらっとしたスレンダー美女が呼ばれた。

「キャシー、今ジェインと君の話をしていたんだ」

「伯父さん! もういい加減に……」

「キャシーはオックスフォード卒の才女で、今はヨガのインストラクターをやっている。もちろんスタイルも良いし、おまえの背にもちょうどいいくらいだな。君たちはとてもお似合いだよ」

カチンときた。

「キャシー、君のお友達もこちらに呼んでおいで」

「伯父さん! どれだけ女性を呼んでこようが、俺はもう彼女と結婚したと言っているんです!」

気をつけてはいたが、声を荒げてしまった。睨み合い。不穏な空気に、キャシーは自己紹介をすることもなく、すごすごと退席してしまった。

「俺は今、壱花と結婚できて、すごく幸せなんです。俺の幸せをぶち壊すというなら、受けて立ちますよ」

ジェインは一歩ずいと前へ出ると、伯父フレディに対して、さらに睨みをきかせた。すると、フレディは諭すように話し始めた。もちろん難しい表情は崩さない。

「ジェイン。私はおまえの父、ハリーのことを(おもんぱか)って言っているのだ。お前たち兄弟は日本にいて知らないだろうが、ハリーは今まで非常に辛い立場に置かれてきたんだぞ。日本人……舞なんかと結婚したがために、嫁に逃げられたなどと陰口を叩かれて……実際、舞はハリーと結婚したにもかかわらず、イギリスに来ることもない。それどころか、日本から一歩たりとも出てこないではないか。この世界にそんな嫁がいるか?」

「それは、俺の父と母が決めた道です。俺は関係ない」

「何を言っている! パートナーがいないということで、商売の世界では立場が不利になることもあるんだぞ。おまえの母親はそこのところの重要性をわかっていないのだ。とかく日本人は島国根性で自分のことだけしか考えない……それがおまえにとって、どれだけの弊害となるか」

ようやく。フレディはちらと壱花を見る。けれど、嫌悪感満載の、ねめつけるような視線に、ジェインの堪忍袋の緒が切れた。

「壱花は他人を思いやれる優しい女性だ。俺は彼女を尊敬してます。もう今さらですよ。法的にも俺たちは夫婦ですから」

「離婚しろ」

「しません。俺は壱花を愛しているんです!」


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