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EP 12

「なるほど。そういうことだったんですね」

「ん? 壱花ちゃん? どうしたの?」

「あ、いえ。何でもありません」

納得したのは、さっきから痛いほどに睨まれている視線の理由。

「伯父さんがあんたに何人かの嫁候補を呼んでおいたみたいだけど。ジェイン、あんたほんと先手うつの好きだね」

「まあね。壱花ちゃんの協力があっての先手だったけどね。SOTでの公開プロポーズで、伯父さんご推薦の婚約者候補が何人か手を引いたみたいだけど、しつこい人がいるもんだ」

「見てよ! 伯父さんが懲りずに送り込んできた女どものあの今にも噛みつきそうな視線! めっちゃ恐怖だわ。ジェインはあんたたちなんか眼中にないし、壱花ちゃんにめろめろだってこと、ここで叫んじゃおうかしら」

「俺が会場の中心で愛を叫べばいいんだね?」

はははと兄弟で笑い合う。もちろん日本語だから、壱花にも理解できる。

「あの、ジェインさんやレイラさんってもしかして、大富豪かなにかでしょうか」

レイラがきょとんとした表情で、あら言ってないの? と言う。

「大富豪ってほどではないけど、ジェインと私の父がね、イギリスで不動産関係の会社を経営しててね。で、今日このパーティーの開催主は、父のお兄さんなんだけど、お兄さんは鉄道会社経営。お兄さんの方が断然お金持ちよねえ」

話を聞いて、震えがきた。

「……そうだったんですね。すごいです。CEOさま兼大富豪さま……」

兄弟で顔を見合わせて、ぷっと吹き出す。

「壱花ちゃん、ぷるぷるしなくて大丈夫だから! 安心して! 私たち全然お金持ちじゃないから! それに親のすることだから、私たちは関係ないっちゃ関係ないからね。それぞれ会社を持って、とっくに独り立ちしてるわけだし」

「レイラさんも、社長さまなんですね!」

「そうなの! ちなみに私は、コスメの販売やってます」

そう言って、名刺を取り出す。一枚をいただき、頭を下げた。やはり、CEOとある。

「じゃあもうそろそろ帰るわね。あ、もちろん名刺配ってからだけど。ジェイン、壱花ちゃんおめでとうね! ほっぺにキスしたいけど、主役にキスマークつけちゃ、かっこがつかないからね」

と、投げキッスをする。

「レイラ、ありがとうな!」

「どういたしまして!」

少しだけジェインの緊張が緩んだようだった。

「壱花ちゃん、疲れただろう? あとは伯父に挨拶してから、さっさと帰ろう」

「はい」

けれど、この後。

なかなか帰ることが出来なくなってしまった。それは、ジェインの伯父が一癖二癖ある人物だったからだ。


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