ERROR!--・-・ -- ・・- ・---・ ・--・ ・-・・ ERROR!この情報へのアクセスは制限されています!
目を開けると、不思議な空間にいた。暗い空には星が瞬き、目の前には海がある。ただ一つ不思議な点があるとすれば、青く、緑色のまあるい何かが見えるということだ。
「やあ、ボクだけれど気に障ったかい?」
「ワッ!?キミは誰だ!?一体どこから!?なんで帽子を目深にかぶってピンク色の髪なの!?」
「まあ、餅突け〜ボクは未来から来た猫型ロボットとかじゃあ、ない。キミにこの本を開いてもらうのをずーっと待っていた。キミに真実を教えるために。というか変な髪は余計だしお互い様だ」
「そ、そもそもキミは誰なんだ!?ここはいったい…」
「ああ、ここはね、月だよ」
「つ、月?お空に浮かんでいるあの?」
「そうさ、ここは静かの海。あそこに見えるのが地球…君たちの暮らしている星さ」
「ボクは本を開いただけなのに?」
「ああ、と言っても、君の記憶の中の月だけれど。それとボクが何者かという問いには、残念ながら答えることができない」
「何故…?それに記憶って…情報が多い…」
「キミへのアクセスが制限されているからだよ。キミへ渡せる情報も制限されているんだ」
「制…限…?」
「まあ、そのうち解るさ、この本は不安定で、再接続までも時間がかかるんだ、それに決まった時間しか話せない」
「…つまり、滅多に会えないし、会えたとしても短い時間ってこと?」
「そういうこと、残る時間はあと3分だけだ」
「短っ!?」
「まぁ、話せるだけ凄いことなんだがな、時間がない、さっそく本題に入ろう。ラパン。キミは月の住人だ」
「つ、月!?」
「というか、名前は覚えていたのか、てっきり全て忘れたのかと」
「い、いや。名前は付けてもらったんだ」
「ふうん?全く同じ名前を?妙だな…」
「というか、僕の質問に答えてくれよ!君は一体…だ…」
「おや?接続時間が切れてきて…朦朧として…いるようだね…」
「と…ぎれ、と…ぎれ、にし…かきこえ…な…」
「おや?消えちゃった。時間が足りなかったなぁ…ボクらのことも、元凶も、宿敵も伝えられなかった。まあ、いいよね、『彼』はこの空間に最初以外は干渉していない。ということは干渉ができない…って所かな」
「忌々しいことに、おそらく除いてるんだろうよ」
「おや?キミもいたのかい?」
「ちげえよ、アイツにバレないようにしてんだ」
「面白いよね、ボクは魔導書、キミは刀に、それぞれ憑依をすることでこの世界に居られるんだから」
「ちっ…おもしろかぁ、ねえよ。ああ!まどろっこしい!制限のせいでアイツに元凶であるキュリアスはおろか、--・-・ -- ……」
「あらら、途中まで言おうとしたのに --・-・ -- ・・- ・---・ ・--・ ・-・・ について話せないとは…」
「ちっ!本当に忌々しい。オレもラパンには気を付けておくが、出られる時間が限られてる…アイツをラパンと呼ぶのはなんだか気持ちわりぃが」
「ああ、こないだは助かった」
「オレは何をすりゃあ、いい?」
「そうだねぇ、当分は休んでていいよ?」
「舐めてんのかてめぇ」
「いやいや、バカにはしてないさ、真面目な話キミには力を温存してもらって、いざというときに動いてもらえないと困るからね」
「…まァな、お前は知識を。オレは武力を。それぞれでアイツを支えて動かしていかなきゃならねぇからな」
「まあね、さあて、そろそろキミも戻ってくれ。そろそろ『この空間』も持たない」
「本当に忌々しいったら、ありゃしねえなぁ」
「ああ、くれぐれも気を付けてくれ」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「ラパン〜?どうしたんです?何処か遠くを見つめて」
「あっ、いやっ、ごめん。少し物思いに耽っていたよ」
「そうですかぁ〜、でも勉強やらないで学校受からなくても知らないですよ〜」
「くぅっ…良いよなぁ…マギアは受験しないんだろ?」
「え?しますよ?」
「えっ?」
「だーかーら、私も学校に入るんですよ〜」
「えええ!?よく師匠が許可してくれたね」
「えへへ〜」
「驚いたなぁ…驚いたといえばこないだのあれ、師匠がマギアのおじいちゃんだったなんてびっくりしたよ」
「まあまあ、別に何か変わるわけでもないじゃないですか」
「そうなんだけれどね〜うーん」
ラパンは、手に持った羽ペンをくるくると回しながら言った。今日はマギアとの魔法研究会の日だ。本来ならもうひとりのお客人がいるのだが、今日は遅れているようだ。
「そもそも、お金のために学校に入るのに勉強しなくてどうするんですか」
「うっ…その言葉はボクに刺さる…」
マギアは紅茶を啜った後。勉強を始めていたが、ラパンがチラリと覗き込んでみると、既にラパンより1段階ほど上の発展的な分野に入っていた。(やっべえええ…自由のんびり隊の規則その1。『負けるな隊員』に反してしまう…!)
「よし!今から真面目にやるぞおおお!」
★☆三十分後☆★
「終わったあ!!!ノートに書ききるって素晴らしいねぇ!」
「ちょっとあんたら!ビッグニュースよ!ビッグニュース!」
その瞬間、机においてあったティーカップは孤の字を描いてラパンのあたまの上に落下した。
名もなき妖精はこの光景のことを後に「それはもう凄い景色だった。異世界のような体験でした」と語っている。
「「あっ」」
マギアと妖精の声が重なり、書いたであろうラパンのノートはインクが滲んでしまっている。
「妖精、ちょっとお話、しようか?」
「な、なんで笑ってるのよ…怖い怖い!目が笑ってない!やめて!やめてえええ!」
暫く二人が帰ってくることはなかったという…
なんだかバクが起きているのでしょうか…?
ラパン(紅茶ぁ…)