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勇気の兎と正義の羊〜その者達は諦めない〜  作者: ラパン
桜と祭の国チェリフェス編
27/39

ウサギさんと沢山の精霊達

「ははは、やっぱり勝てなかった」


 シャルコロはそう言って俯いた。シュヌパは、ただただ信じられないといった様子でサーベルを突きつけた姿勢のまま、静止している。


 二人の間に沈黙が訪れる。そんな沈黙を破ったのは、ラパンでも、マギアでも。シャルコロとシュヌパでもない。


「へぇ、これはまたどういう組み合わせなんだ?随分と変わった組み合わせだな」


 そのエメラルドグリーンの髪をした何かははクスクスと笑った。空中に浮かびながら。


「「「誰だっ!?」」」


 と、声をかけるとその『なにか』はまたしてもクスクスと笑った。


「え?オイラ?名もなきしがなき精霊さ」

「せ、精霊様!?」


 シュヌパやシャルコロが驚くのも無理はない。精霊は普通、誰かと契約するときしか顕現せず、その姿を目にすることはほとんどないからだ。


「で、でも精霊様が何故ここに?」

「え?ああ、契約者を探してるんだよ」

「でも、私達は十歳です、精霊と人間が契約するのは十五歳からの筈です!」

「物知りだね、確かに。だけれど、まあ抜け道というか、十五歳じゃなくても契約をできる条件的なのがあるんだわ」

「抜け道…」

「んで、まあその条件に当てはまってて、オイラ的に契約したいなーってのがそこの白黒の兄ちゃんとピンク色のへんなの」

「ついに精霊にすら変なのって言われた。ボク泣きそう」

「「ま、実際問題そうだから仕方ない」」


 兄弟二人に言いたい放題言われたラパンはしゃがみ込んでいじけ始めた。しかし、切り替えの速さが早いのが取り柄なので、ほっとかれていた。


「まあ、今から二人はその、とおなめんと?だっけ、で戦うんだろ?その戦い、見せてもらおうかな」


 そう言って、精霊は胡座をかいて座った。空中に浮かんでいるので、座ったというのもなんか変だが、まあいいだろう。


「それでは、試合、始め!」


 その声とともに、シュヌパが走り出した。


(う、うわあ…容赦ねえ…)


 ラパンは、走って距離を取りながら矢を撃つが、すべて弾き落とされる。


「だよね!知ってた!」


 ラパンは半べそになりながら矢を撃つが、外れるか弾き落とされる。


「どうした!ラパン!その程度!?」

「その程度ですが何か!?」

「なんだろう、急に吹っ切れるのやめてくれます?」


 そして攻防の末、遂にシュヌパはラパンの眼前へと迫った。


「これで終わりだ。」


 そう言って、サーベルを横薙ぎにすると、なにかに弾かれたように「カーン」という音が響き、ラパンは笑った。


「無属性魔術【結界・無】」

「結界!?いつの間にそんなものを!?」

「いやぁ、無属性の結界魔術は前例がないから大変だったよ?」

「くそっ、割れろ!」


 シュヌパはサーベルを何回も叩きつけるが、割れない。


「ところでシュヌパ、今まで外した矢や弾かれた矢ってどうなったと思う?」

「ま、まさか!?」

「そう、全部魔力操作で集めてある。そして上にはもう既に、待機中の矢がある。雨のような矢が降り注ぐ」

「なっ!?」

「降参するなら結界くらいかけてあげるけれど?どうだい?」

「くっ…流石にあの数は無理だ。降参だこーさん!」

「了解!そこから動かないでね」


 そう言うと、矢が雨あられと丁度シュヌパとラパンを避けて落ちてきた。



「は、はは、ははは!ラパン、君って食えないねぇ」

「ふふふ、どうだろうね?」

「さあて、さあて。オイラは決めたぜ契約者」

「わたしも決めたわ契約者♪」

「「「!?」」」


 そこには、透き通るような水色の髪の女性のような形をした精霊がいた。


「ウィンデイーネ!おいらの邪魔をするのか!?そもそもこの国にどうやって入ったというんだ!?」

「うふふ、イレギュラーな存在がここにいるのだから、なに、少し位私の管轄を他に任せといても平気よ」

「おい、まて、つまり他のやつも来るってことか…!?」


 と、言い終わらない内に、地面から茶色い髪をした老人の姿をした精霊と、燃えるような赤い髪の女性の姿をした精霊が現れた。


「ワシじゃよ」

「おっす!」

「ノームにサラマンダーまで…」

「なんじゃ、出てきてはならんかった理由でも?」

「そうだそうだ!オレたちが出てきてはいけないルールは無いんだろ?」

「オイラが先に来たんだ!オイラが決める!」


 精霊達は何やら言い合っていたが、ウィンデイーネと呼ばれた精霊が、シュヌパの元へとやってきた。


「私、あなたと契約するわ」

「えっ!私ですか!?」


 マギアは驚き、あわあわしていた


「まて!ソイツはオイラが目をつけてた…」


 と言い終わらないうちに、光が輝きマギアの手には、雫のような形の水色の宝石が握られていた。


「クソっ!アイツ半ば無理矢理に契約しやがった!」


 そう言った直後に、同じような光が輝き、シャルコロは黄色のダイヤ型の宝石を、シュヌパは炎のような形をした紅い宝石を握っていた。


「くそおおおお!残ったのはこの変なのしかいないじゃねえかああああああああ!」

「流石に酷い言い草だな、喧嘩売ってんのかコイツ」

「まあ仕方がない、少年、オイラは君と契約することにする」

「なんで目当ての三匹が手に入らなかったから、電気ネズミを手に入れたみたいな感じなんだよ」

「オイラは強制するとかは好きじゃないから、少年が選びたまえ」

「…なんか癪にさわるけれども、契約しようと思う。あとボクの名前は少年じゃない」


 そう言ったラパンは、真っ直ぐとその精霊を見つめて言った。


「ボクの名前はラパンだ」

両親が発熱してしまい、看病のため、中々小説の更新ができていない現状をお許しください…

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