妖精とおじいさんと少女とウサギさん
「はっ!ここはどこ!私はラパン!」
「おお、気付いたかのう」
「あ、あなたは!?」
ラパンはその老人をぷるぷると指を指して言った。
「ひ、人さらい!?」
「誰が人さらいじゃ!お主が倒れていたから、そこの妖精たち共々介抱してやってたんじゃ!」
ラパンがあたりを見回すと確かに、妖精たちが寝かされていた。「もっと…ご飯…」とか寝言を言っているし、大丈夫だろう。
「良かった…でもなぜ?ボクは自分の矢に当たった筈じゃあ…」
「ああ、それはワシが結界魔法で防いだ」
「あ、あの量をですか!?マジかよ…
というか此処って…」
「そう、あの妖精どもの家の横じゃ、家の前で野垂れ死なれては、目覚めが悪いからのう」
「ありがとうございます!助かりました!」
「まあ、ワシも話相手が居なくて少しばかり寂しい思いをしとった所じゃて、気にせんでよいよ」
ラパンは改めて家を見回すと、色々なものがあった。大鍋、大量のフラスコ、試験管、何かの素材が入っていると思しき棚。
積み重なられたノート、古い家具、ティーカップ。
そして、ラパンの目を引いたのが…
「こ、これは…魔導書!?こんなに沢山!?」
「そうじゃよ、いやはや、これだけの量を転移させたのは、ちと骨折りだったの」
洋館の大部分を占めていたのは、図書館とでもいうべき魔導書の数々。星々が天井ではきらめき、幻想的とでもいうべき光景が広がっていた
「こ、これ全部あなたの蔵書ですか!?す、すげえ…」
「ほっほっほ、ワシはこの本全てを読破し、頭に抑えとる」
「マジっすか!?すげえぇぇ…」
ラパンの口から、感嘆のため息が出たと同時に、なだれが起きた。
「な、何事!?」
「あー、大丈夫、いつものことじゃ、ほれ」
おじいさんが手を叩くと、崩れた魔導書はすべて元通りになり、中から埋まってたと思しき、明るいオレンジ色の髪はグラデーションのように先っぽが紫色になっている少女が出てきた。ふわふわした癖のある髪だ。緑色の小さなリボンで髪を左右で束ねており、長く伸びた髪が修道服のような…早い話司書の格好をしていた。
その横には、被ってたと思しき紅いベレー帽もある。
「む、むきゅう…お師匠様、やっぱり無理ですよこの広さの手入れ…」
そしてその少女はそう言って、意識を失った。
「お師匠様…?というか早くこの子をベッドに運ばないと!?」
「ああ、気にせんでええよ。ワシはもう慣れた。それとコレはワシの弟子じゃ」
「因みにあんな簡単に、手を叩くだけで本を整理出来るのにあの子にやらせている理由って…」
「肉体強化?」
「何故疑問形なんですか!?」
そんなこんなで話していると、少女はムクリと起き上がった。
「う、うう…ひどい目にあった…」
「お水いります?」
ラパンは水の入ったコップを差し出した。
「ああ、ありがとう気が利くわね…って!?あなた誰なの!?」
「ボクも名前ぐらいしか解ってない」
「「そんなことある?」」
おじいさんと少女は一斉に声を上げたが、本当のことであるので、ラパンも困る。
「じつはかくがくしかじかでして…」
「なるほどのう…」
「まって、なんでそれでお師匠様には伝わるの?」
ということで、ラパンは身の上話をすることとなった。
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「ほぅ…?なるほどの…」
「そんなことあるんですね…」
「そういうことなら仕方ないわね!」
「いつの間に起きてたのか…」
いつの間にか妖精たちが起きていた。各々お菓子を食べたり紅茶を勝手に飲んだりしている。楽しそうだなあいつら。
「あっ、そういえば結界魔法…?でしたっけ。どうか…あれを教えてはくださいませんか!?」
ラパンは頭を下げた。妖精と少女は遊んでいる。
「ほう、そなたは何のために魔法を求める?」
「そ、それは…」
考えたことがなかった。記憶喪失の後は。
そう、記憶喪失前にラパンはあることを心に誓ったことを思い出した。
「まあ、子供に聞くにはちと難しい質問かの…?」
「…ためです」
「お?」
「みんなを守るために、後悔しないためにです!」
妖精と少女。そしておじいさんまでもが驚いた顔をしていた。
「ふふ、ふふふ…あはははは!面白い!そなたの年でそれを言うか!」
「だ、ダメですか…?」
「いいや、よいよい、お主は今日から弟子じゃ。暇なときにこの館に来てくれれば、みっちり帰るまで魔術の手ほどきをしてやるわい。所でそろそろ日が暮れる頃じゃ、マギア、送っていきなさい」
「了解です!さあ!行きましょう!」
「アタシも付いていくわ!」
「ちょっ、二人共押すな押すなって!おじいさんありがとうございましたー!」
バタン
こうして部屋にはおじいさんがひとり残された。興味深そうな目でこう言った。
「なるほど…月の魔力を感じた為ここに越してきたが…あの者…ラパンだったのか。今は記憶喪失のようじゃが…遂にあやつはこんな小さい子供まで手に掛けたのか…」
そう言うと、おじいさん…かつて賢者と呼ばれていたその男は机に拳をた叩きつけて言った。
「キュリアス・タブー!何としてでも見つけ出して、この世から葬り去ってやる!」
その後、暫くは震えて座っていたが、やがて立ち上がり、客人たちが帰ったあとの後片付けを始めた。
みなさん!な、な、なんと!ユニークアクセス数(読んでいる人の数、同じ人は含まない)が百人を突破いたしました!
この作品はたぶん処女作であると同時に、小説の上達、将来の夢、趣味としてやってきている作品です。
学生が書いているので、拙かったりおかしい表現があるかも…いや、あるなこれ。
あると思うので、そういうのを発見した際には、是非コメント欄に書いてください!
以上、ラパン速報でした!