無属性魔術の可能性とウサギさん
魔術はいうなれば、創造力の力。
精神が強ければ強いほど。感情に応じて力が増大する不思議な力だ。
無詠唱は、魔術を理解した時。イメージをして一瞬で出すことのできる方法。頭の中で詠唱を唱えても同様のことが起きる。
では詠唱とは何か。それは補助の役割だ。
イメージが出来ない変わりに、言葉を唱える事でイメージを補完する。と考えられている。
ラパンは無属性魔術しか使えないと思っているが、そうではない。他の魔法の原理も知りさえすれば、扱うことが可能だ。
ラパンがそれに気づくまではあと少し…
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「…はい!依頼達成です!これによりラパンさんはGランクからFランクへと昇格いたしました!」
「うぇーい!」
「シャルコロさんとシュヌパさんはEランクのまま。次回でDランクです!」
「「にょーん」」
「何その返事、ラパンくん初耳」
「そして報酬金額の2ベドと15ニグです!」
「さらっとスルーしていくスタイル。ラパンくん泣きそう」
目標金額は3人で30ベド。チキュウとかいう星の日の丸印の国旗の国では3万円って所だろうか。
「ほーい、やること終わったから、各々自由行動!」
「それじゃあ、あっしはどろん致しやす」
「独特の言葉遣いだねぇ」
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シュヌパは家に、シャルコロは何やらコソコソと何処かへ。
そしてラパンはというと…
「森の中はやっぱり気持ちいいな」
自分が起きたときの場所へと向かっていた。あの、大きなキノコの元へと。
ブラッディベアに会うかもしれなかったが、今のラパンは気配を消している。
「あったあった、このキノコ…って…!?」
ラパンは驚いた。無理もない。何故ならキノコの横に大きな建物があったから。
そして何より、このおおきなキノコには…
「おうおうおう!やってくれるじゃないの!お前は数日前私達の家の上で寝ていた悪党め!」
「なにこいつ、ちっこ」
「ムキー!妖精なんだから小さくなきゃおかしいでしょうがっ!」
「よ、妖精…!?」
眼の前にちっこいのがいた。
虹色の変な髪に、つぶらな目。
妖精は森に住んで言われているという魔法民族の一種で、小人が魔力を操り、自然の力を操る種族だ。
キノコの大きさは縦に15メートル、横に3メートルはあったので、縦に15センチ、横に3センチ位の妖精なら確かに、住むことは可能なのだろう。
「アンタはあたいたちに喧嘩を売った」
きのこの中からワラワラと計十匹。眼の前にいるのも合わせて約11匹。
「ちょ、ちょっとまったあ!別にボクは敵対なんぞは…」
「うるさい!アタイがアホだからって、言葉で丸め込もうとするなんて!アタイたちはね!強いのよ!なんて言っても、その十人はそれぞれ火、水、木、土、風、氷、治癒、毒、麻痺、眠、闇…こんなにも属性が集まってるのよ!やっておしまい!」
色んな色の妖精が出てきたと思ったら、大量の魔法を放ってきた。
「おお、すげえ量の弾幕だなっ!」
「くっそ〜!全部交わしやがって!次よ次!」
「キミはなんの属性なのさ?」
「アタイはね!大体全部使えるのよ!」
「へえ、そりゃあ羨ましいな」
美しい音色とともに、琴から弓へと変化する。
「ハッ!」
掛け声とともに矢を射る。
「い、一気に十一本も!?くっ、喰らえー!」
大量の魔術が降り注ぐ。ボクの矢に弾幕があたったとき、変化は起きた。
「矢が魔術を吸収している…!?」
そう言うのも無理はない。
矢にあたった魔術は、その魔力の性質を吸収し、その魔力の量の分、体積が増え、火魔術に当たった矢は炎の矢に、水魔術に当たった矢は、激流の矢に、それぞれ変貌する。
「えっ、ちょっ、このままじゃ当たるうううう!?総員退避〜!」
ラパンは焦っていた。恐らくあのままでは当たって妖精たちが死んでしまう。
それは何としてでも避けたかった。何故だかわからないが、ラパンには意思疎通の可能な生き物の死に対する忌避感が強かったからだ。魔物に対しては若干その忌避感が下がるものの、意思疎通の出来る妖精は殺したくなかった。
「くっそおおおお!間に…あ゛え゛ぇぇぇぇ!」
その瞬間、ラパンは風のような速度で走り妖精の前へと…!
ドォォォン!と激しい音がした。
「やれやれ、無茶をするボウズがいたもんじゃ。どれ、目が覚めるまでは妖精ごと看病してやるわい」
そう言うと、老人は自宅…そう、妖精たちの家のすぐ横の、大きな洋館のような建物へと入っていった。
ちょっと短かかったかな…
でもキリがいいので!