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勇気の兎と正義の羊〜その者達は諦めない〜  作者: ラパン
桜と祭の国チェリフェス編
15/39

ウサギと琴と弓

「「「「「たっだいまー!」」」」」


元気な声で家族全員が帰ってきた。

それぞれが自室に戻ったあと、リビングのテーブルへと向かった。家族会議が始まるからだ。


「それでは、第百回、家族会議〜」

「「「パチパチパチ」」」

「パチパチ」


少し遅れたピンク髪の少年がいた気がするが、気にしてはならない、気にしなくていいのである。


「さて、今回の議題はラパンくんについてです、因みに司会はわたくしヒヨが、議長をシャルコロが、書記をメロルンが担当します」

「「「うぇーい!」」」

「議長のシャルコロさん、お願いします」

「はい、まあこのピンク色の変なのが家族になるわけですが」

「誰が変なのだ、誰が」

「これにより、家族が5人になりました」


木製のテーブルの上にお茶が運ばれてきた。ヒヨさんが淹れてくれたみたいだ。


「よって食費がかさむ」

「気にしなくていいのよ〜」

「ヒヨさんは甘いです!働かざる者食うべからずと言うでしょう?」

「…でも貴方達は子供よ?」

「それでもです」

「むぅ…」


ヒヨさんはほっぺたを膨らませて、土魔術で小さな埴輪と呼ばれる、チェリフェスの独自の人形を作っていた。スリジエでも売っていたから、印象深い。


「相変わらずヒヨさんはいとも簡単に、複雑な魔術を使いますね…ってそれは置いといて、ラパン」

「ひゃっひゃい!?」


…思わずテンパったボクを見て、呆れたような顔をしていた気がするが、この際置いておく。


「君は、冒険者になるんだよな?」

「あ、ああ。そうだよ…ってそうだ!武器!」

「あっ、忘れてたわ」


書紀であるはずのメロルンは余白に、絵を書いていた。ジュヌパに至っては寝ている。


「それじゃあ、この会議は一旦お開きにして、武器を見に行きましょうか」


とヒヨさんが言うと、みんなは全員ワクワクしていたので、満場一致となった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「みんなは、武器はどうやって決めたの〜?」


と、ボクが問うと、こんな返事が帰ってきた。


「僕は自分で大盾を買ったんだ!そして確か…シュヌパは最初から武器を持ってたんだよね」

「そうだねえ」

「えっ、なにそれ初耳」


武器庫にはヒヨさんとボクとシャルコロとシュヌパで行くことになった。メロルンはお留守番だ。

というか、興味なさそうだった。

「私、リンゴ農園が気になるから」

とかなんとか言って、どこかへ行ってしまった。


「それで、どうして武器なんか持ってた…」


と言い終わらないうちに


「武器庫に着いたわよ〜」


と言われてしまった。家だから近いのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


中は少し、カビと独特の匂いがした倉庫だったが、灯りを灯すと、武器がキレイに並べてあるのが見えた。ホコリを被ってはいるが、全然使えそうなものばかりだ。


「おーい、ラパーン!モーニングスターなんてどうだ?」

「使えるわけなくない?」

「あっ‥そうか、身長…」

「さては煽ってるだろお前」


モーニングスターとは、重い重りに、たくさん棘をくっつけてブンブン振り回す武器である。気になった人はググってみよう!


ギャーギャー騒ぎながら、武器を見ていたラパンだったが、何か気になる物があったようだ。


「ヒヨさん、これって…」

「ああ、それ?琴に見えるでしょ?」


そう、ラパンが惹かれたのは半透明なエメラルドグリーンの琴だった。


「でもこれ…武器なんですか?」

「いや、実はね、こうやって決まった音色を弾くと…」


きれいで可愛らしい音色を響かせると、琴は、綺麗な弓の形へと姿を変えた。


「まあ、ちょっとした魔道具だよ、知り合いにこういうの作るのが好きな人がいて、たまに送られてくるのよね」

「「なにそれ初耳」」


シャルコロとシュヌパは驚いていた。

ヒヨさんが、シャルコロ達もいるかと聞いたら、それぞれ自分の武器に愛着があるそうで、いらないと言っていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


どうしてこうなった。

眼の前には、頭にリンゴを乗せたシュヌパがいる。

ボクの手には、先程譲渡して貰った弓が握られている。魔力を込めれば、魔力の矢が生成される優れもの…なのだが、今はどうでもいい。


どうやら、ボクはこのリンゴを射抜かなくてはいけないらしい。


「無理無理無理!?ボク初心者!?」

「お、お願いだから、り、りんごに当ててねぇ!?」


普段は眠そうなシュヌパでさえこれだ。

事の発端は、名付け式が終わったことによる宴会だった。

どうやらヒヨさんは、悪酔いする体質みたいで、ハイテンションになり「せっかく弓をプレゼントしたんだから、なにか射抜いて見せてよ〜!」と言われ、なんやかんやでこうなってしまったようだ。


「スマンシュヌパ、お前は良いやつだった。キミの事は忘れない…」 

「ねえ?外す前提なのナンデ?ちょっと、マジで!?」

「うわぁ…」

「いけいけー!」


反応はそれぞれ、こんな感じだったが。ボクは覚悟を決めた。


「スパンッ!」


と矢が放たれ…


どういうわけか、リンゴに当たった。


「えっ、なんで?」

「君やっぱり外す前提だったよねぇ!?」


よく見ると、ヒヨさんが魔力で軌道修正していた。良かった…

後日、売り物のリンゴを射抜いたということで、メロルンにこってり絞られるのはまた別のお話。

二千文字に頑張って増やしました…

少ないのは、毎日投稿を学生がしているということで見逃してくだしゃい…

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