復讐進行、此れすなわち断罪にあらず、なれど精算が為に刃を突き立てん
一人目、終了。
そろそろ急いだ方が良いかもしれない。
現在乗っ取っているのはカーナ。
残っているのはカーナとサーシャとサラシア。
まずカーナに自分の腹を刺させる。
痛みは俺が感じるがそこは我慢。
短剣で刺させたのですぐさま死ぬなんてことはない。でも対処しないと出血多量で死ぬだろう。
「ラグナぁああ!サラシア、グラム治せる?」
目の前で元奴隷に良いようにされているのだ、イラつきもするだろう。
いや、遠回しな言い方はやめよう。
仲間が傷つけられてだ。ミーシャはグラム達のことは仲間だと思っているのだろう。
そういえばグラムとミーシャは特に仲が良かった気もする。
こいつらは俺に死ねと命令した。
直接じゃなかたったとしても同じようなもんだ。
虐げらえていた分も含めお返しに殺しに来たのだ。
「難しいと思います」
「そう......。殺す!」
ミーシャがこっちをみて殺意を向けた。
俺を見た。
睨んだ。
目が合った。
「共鳴」
隣にいるサラシアを殴り倒し跨る。
そのまま手を押さえつけてサラシアが立てなくした。
「ちょ、ミーシャ......。あ、どいてください。どいて、どきなさい。どかしなさい、ラグナぁあああ!」
俺、本体の方は共鳴が解けてすぐで混乱しているカーナを蹴り飛ばしグラムの剣取りに行った。
「エンチャント:フレイム」
剣に炎を纏わせる。
「......」
腹からの出血と蹴られたこともあってふらつきながら立ち上がるカーナ。
剣なんてまともに使ったことがない。
でも、グラムと共鳴したことで何となくの使い方は分かっていた。
今俺がミーシャとサラシアの所に行けば殺すと分かっているのだろう。
カーナは立ちはだかった。
「......」
俺も、何も声を掛けることなく走って向かった。
カーナと目を合わせようとする。
多分カーナは気付いた。
カーナは目を俺から逸らそうとしてしまう。その目は自然と剣にいく。
出来るだけ俺の顔の方は見ないようにしてだから上が疎かになる。
グラムに入って剣の使い方が分かったようにミーシャに入って魔法の使い方が分かった。
「ファイアアロー」
小さく呟いた。
顔を見ていれば口の動きですぐに分かったかもしれない。
少し反応に遅れたカーナが対処しようとしたところを接近し切り伏せた。
「ちょ、どきなさい!どけ!」
膝を腹に押し当てるようにして下半身にあまり力をいれさせないようにしながら抑える。
「痛い、どけなさいよ足!」
俺はゆっくりと近づいていきミーシャごと貫いた。
勿論痛みは伴うでも死ぬ前に共鳴を解く。
これで復讐が終わった。
「もう予定もないな。本当に自由だ」
自由すぎて怖くなる。
世界はあまりに広い。そんなこと、まだ少年の俺にも分かる。
声を聞いてか周りから人がくる音が聞こえた。
俺は剣を手放し走り出した。
◇
と、駄文を綴った。
楽しくとも何ともない話を聞かせた。
でもこれから俺の話をするなら書いておいた方が良い気がした。
一つ覚えておいてほしいのは。
俺は良い奴でもなければ正義の味方でもない。
ただの殺人犯だ。
矛盾をはらんだ混沌だ。