共鳴《シンクロ》の性能検査
ヤッベ、投稿順間違えてた
突如覚醒したこのスキル。共鳴。
能力としては、相手の意識を乗っ取り操るって感じだ。
「まずは発生条件を確かめなきゃな。大方予想は付いてるが」
あの吸い込まれるような感覚あれが発動した瞬間だと思う。
あの時、何故か自然と発した共鳴という言葉。あれがキーだったとは思うがそれだけじゃないはずだ。このスキルには対象が居るからな。
やっぱり目を合わせることが必要なのだろうか、そんな気がする。
そもそも、もう一度出来るかも分からない。でもあの力が復讐のために必要だ。奴隷を辞めるために。
「ダメだダメ。まずはここから生きて出る」
気持ちを切り替えろ、沈みかけたというか上り始めたというか。良く分からない気分を無理やり変える。
「あれは」
一旦もの陰に隠れる。
蛇、、、。あの模様は。砂蛇か。
トントンと地面を突く。
蛇は地面を伝わる系の音には敏感だ。
砂蛇がこっちに顔を向ける。
目はあった。
「共鳴」
あの時と同じ言葉を呟くが反応はなし。
考えられる可能性は三つ。
一つ目は距離の問題説。これに関しては高さも含めればアルゲンティエルフの方が目と目の距離で言えば離れているので違う気もするが、体の距離なら少し蛇の方が遠いかもしれない。
二つ目はそもそももう使えない説。
三つ目は気合が足りない説。覚悟があの時とは全然違うからな。
「共鳴!」
ダメだ。発動しない。
砂蛇が口を開く、牙の間から土の弾丸が形成され、放たれる。
砂蛇、つまりスナイパー蛇。
ギリギリのところで避ける。
「っ共鳴」
また、意識が吸い込まれるような感覚に襲われる。
よし、出来た。やはり少し頭が痛い。でもアルゲンティエルフのときほどじゃない。
距離に関してはいかんせん謎だが気合を入れて目力みたいな感じにしてから言うと発動できるみたいだ。
口を開いて、弾を形成して、発射成る程。こんな感覚なのか。
俺の体を動かしながら蛇の体を動かす。
うん、簡単な動きなら両方同時に出来る。少し練習すればもっと動けるようになるだろう。
あとは、乗り移った体に対するダメージは俺に入るのか。
まぁこれに関しては予想が付いてるが。
五感があるんだ、そりゃ。
試しに踏んでみる。
「痛いな、やっぱり」
死んだらどうなるのか、流石に自信がない。
まぁ、痛覚があるだけで死ぬほど痛いっていうのが予想だが、スキルだし何があるか分からない。
あとはこの状態が続く距離と時間が知りたい。
調子に乗って復讐失敗なんて嫌なんだ。
アルゲンティエルフのときはもっと頭痛がした。多分制限時間はある、そして個体によって違う。その基準は強さか、大きさか。或いは。
先に距離を確かめるか。これも個体によって違うかもだけど。この蛇ならどらぐらいってのも気になる所だ。
まず蛇を先行させる。
取り敢えず50mほど離れたがまだ解けない。
本当は限界まで試したいがあまりここに長居したくないし100mまで行けたら限界じゃなくても終わりにしよう。
そして何事もなく100mを通過。したと思う。ちゃんと測ったわけじゃないからな。
蛇を変わらず進ませながら俺も歩く。
後は、何体までいけるかも気になるな。
同時に二体とかは行けるのだろうか。
「......これ、人に使えんのか?」
魔物に対してだけかも知れない。
もし、人に対して使えるなら。
復讐がよっぽど楽になる。
そのとき頭痛がした。
ズキンと、痛む。
ただ、解けてはない。
それから三分ほどしてまた頭痛がする。さらに三分後頭痛がした時共鳴状態が解除された。
三回目の頭痛げ解けるって感じで良いのかな。
それから試して分かったことは。
時間は個体によって違うと分かった。最初のを含めると四回目の頭痛がしたとき共鳴が解除される。
酷い場合は痛みが引くのに時間が少しかかり分かりずらそうだが、大きくズキンと来た時という考えでよさそうだ。
距離に関しては分からなかった。狼達も100m以上は離れられた。
そして同時に二体は無理だった。
目は二つあるしとか考えたが駄目だった。
多分強さで色々変わるんだと思うけど強くなるほど大きくなってくので分からなかった。
「そろそろ、出口かな」
洞窟のような風景から遺跡のようなものに変わっていく。
鬱屈とした雰囲気が少しはましになった。
外に出ると遠くの空が少し明るみを帯びていた。
どうやら次の日になってたらしい。
丸一日ぐらいダンジョンにいたのか。
一日暗い洞窟にいただけに外の空気が美味しかった。今までだって朝焼けの空を見上げたことはあったがどこか違う印象を受けた。
決戦前夜、というのは違うか。
復讐前朝。
感慨深いものは別にないな。
綺麗なだけの空だ。
ただ、空は綺麗なんだったと思い出した。
歩き疲れたこともあって空を眺めながら立ち止まっていると前から地響きがなった。
地面を蹴る音。
馬の足音、数は結構多い。
別にやましいことはないがダンジョン入り口に奴隷が一人いるのはおかしいだろう。
嫌な予感がしたので俺は少し離れた場所に移動した。
チッチッと鳥の鳴き声を真似る。
鳥にこっちを向かせ。
「共鳴」
うん、魔物じゃなくても共鳴は発動できる。
今、共鳴した鳥は鼓鳥だ。
チッチッと舌打ちをする様に鳴くのでチッチと呼ばれてたりもする。
魔力をほとんど持たない普通の動物だ。
何故今日まで絶滅せずに生き残れたかは分からない。
噂によるとこのチッチッが魔物の不快な音だっただとからしい。
騎士団の近くまで行く。
街の衛兵とかもちらほら居るな。
近くに降りて地面をついばむような素振りをして聞き耳を立てる。
「ここで間違いないな」
「はい」
「よし、全員止まれ!昨日昼頃。このダンジョン中層にて特別災令魔獣、白銀狼神アルゲンティエルフが発見された。今回はその調査だ。相手は一晩で大国を滅ぼすとさえ言われてるアルゲンティエルフだ。この程度では全く戦力が足りない。直にBランク以上の冒険者も到着する。それまでは、誰もこのダンジョンに近づかせないようにする!アルゲンティエルフがいつからこのダンジョンに居たのかは分からないが中層に現れたなどという話は聞いたことがない。目的が分からぬ以上出てくる可能性もないわけではない。ここは封鎖することになるだろう」
そうか、アルゲンティエルフ。確かに特別災令魔獣が出たなら国の一大事なのかもしれない。
「明日には近くの別の国から兵が到着する予定だ」
一国どころの話じゃないのか。
Bランク以上の冒険者も来るか...。
グラム達も来るのか?
報告したのはきっとアイツらだろう。だったら連れてこられるか?
いや、来ない。
もう一度あの狼に会いたいとは思わないだろう。
準備をしよう。
夜目の効く鳥とでも共鳴できれば空から探せるだろう。
宿かギルドか酒場の近くで待てば会えるだろう。
そのためにも準備をしないと。
お金も幸い荷物の中に幾らかある。
慣れるためと街に行ったときグラム達と鉢合わせしないよう鼓鳥の共鳴はそのままに俺は歩を進め街に向かった。