第七話 桐沢翔
俺の名前は桐沢 翔(きりさわ かける)
今は、算数の時間だ。
新しく4年生になって、気になる奴がいる
そいつの名前はソラって言うらしい
そいつはいつも一人で、空を眺めてる
昼休みも一つしかないブランコに座って空をながめてる
でも、その背中は何だか悲しそうで、つい気を取られてしまう・・・
俺が、初めてこのクラスになって、ソラに話しかけようとしたら、クラスのやつらが止めた
理由を聞いたら、「お母さんが怒るから」だの「あいつといたらろくなことがおきない」だの
わけのわからん理由ばかりつけてくる
俺は、はっきりしないことが大っきらいだ
でも俺も、話しかけることも、近寄ることすらできなかった・・・
この前の遠足で、俺の親は仕事でこれなかったから、友達と一緒にいた
俺はトイレに行くと言って、一人で向かった
そこでソラがイツキ先生に抱きついて大泣きしてるのをみちまった・・・
そんでそのあとスンゲー笑顔で笑ってんの見て
その笑顔が頭から離れなくなった・・・
いつも、眉間にしわよせて、怒ってるような顔ばっかりしてたから
あいつでも笑うんだな〜って思っちまった
そんなこと思ってたら、当たっちまった・・・;
「カケル、この問題を黒板にといてくれ。」
「はーい。」
やっべぇ〜、全然わかんねぇ!
「せっ先生、パス!わかんね」
「わかんねッてなぁ〜。」
そう言うとクラス中で笑いが起きた。
するとイツキ先生は珍しく説教もなしに
「仕方ない。座っていいぞ!」
と言ってきた。まぁ、怒られないですんでよかったけど・・・
「じゃあ、ソラ。わかるか?」
クラス中が静かになった。イツキ先生、それはダメだろーと思いながらソラを見た
ソラはとりあえず前に来て、黒板の前で考えているようだった
俺は、こいつの算数の点数を一度だけ見たことがあるが、悲惨だった…
こいつにはこの問題解けっこねえな
けど、ソラは答えのところに数字を書き始めた。
「正解だっ!すごいなソラ!」
セッ正解!!!!
「どうやって答えを求めたんだ?」
もうイツキ先生の声なんて聞こえちゃいねぇ・・・
俺が解けなかったのに・・・
「適当。」
「えっ?」
はッ?
はぁ〜!なんか、こいつのマグレに本気でショックを受けてた俺って・・・
そう思うとなんか笑えてきた
「はははは!なんだよマグレかよ!ははははw」
するとクラス中でまた笑いが起きた。
俺は笑いすぎて苦しくて、腹抱えて笑った。
ソラも笑ってた。今度はちょっと照れながら
帰り道、俺は算数の授業のことを思い出してた
「こえ―奴だなって思ってたけど、結構面白い奴じゃん。
友達になったら、楽しいかもなぁ〜
今度声かけられっかな〜」