第二十七話 亀裂
処刑から1週間が過ぎた。
その間にもたくさんの者が次々と処刑された。
学校は閉鎖。
だから新しくたまり場所を作った。
辰哉はあれから全く見なくなった。
雄大は毎日泣いた。
翔は雄大を慰め続けた。
俺は辰哉をさがしに毎日町を歩いた。
今日もまた町を歩く。
雄大も翔も今日は一緒に来てくれた。
町は以前のように活気はないが、一部は変わらずにぎやかだ。
ビジネスマンが急がしそうに行き来する。
段ボールを敷いて寝ている人や、明らかに10代前半の人がタバコを吸いながら話している。
翔らしい人物は全く見当たらない。
適当に歩いると、酒井のビルの前まできた。
周りにはぎっしりと警備の人で埋め尽くされている。
「すっげえな。」
最初に口を開いたのは翔だった。
「そだね。」
雄大はビルのある一か所から目をそらさずに返事をした。
「もう帰ろう。」そう言いかけた時、ビルの中からずっとさがし続けていた姿が目に映った。
空のただ事ではない顔に翔と雄大も、空の目線の先を見た。
「辰哉・・・。」
雄大がつぶやくように言った。辰哉がその声に気付き目があった。
「みんな・・・。」
「辰哉!」
雄大はうれしさのあまり、辰哉のもとに走り寄った。
しかし、それはぎっしりと埋め尽くされた警備によって拒まれた。
「離せよ!!」
突然捕まえられた雄大にびっくりして空と翔も走り寄った。
空は警備によって、右の方へ飛ばされた。
しかし、辰哉は何も言わずにビルの中に入って行こうとする。
うつむいているため表情が見えない。
「辰哉!辰哉!待って!心配してたんだよ!」
「・・・・・・。」
「辰哉!なにかあった?俺に話てよ!」
「・・・・・・。」
「おい辰哉!何黙ってんだよ!辰哉!」
雄大と翔が叫ぶ。しかし辰哉はなにも言わない。
「辰哉・・・?」
一瞬、辰哉の口が動いた。
しかし、ごくわずかでなんていているのかわからない。
空は呼びとめようとしたが、辰哉はビルの中へと入って行ってしまった。
その後俺たちはたまり場に戻ってきた。
「なんなんだよ辰哉の奴!なんであのビルに・・・。」
翔は怒りがおさまらないようだ。ずっとこのようなことを言っている。
雄大は余ほどショックだったのか、目に涙をためている。
「ねえ。辰哉さ、最後になんて言ってた?」
「は?なんも言ってねーじゃん。俺たちが捕まってんのに振り向きもせず入って切ったぜあいつ!」
「雄大は?」
「僕も何も聞こえなかったよ。」
どうやら、最後のは右の方にいた俺にしか見えていなかったようだ。
「そっか。でも、辰哉最後に何か言ってたよ。俺、右の方にいたから見えたんだ。」
「本当?なんて言ってた?」
「それが、よくわからなかったんだ。」
「でも、なんで辰哉はあのビルに入って行ったんだ?」
最後に行った翔の疑問だけが、たまり場内に響いた。
いつの間にか暗くなったのでその答えは出ないまま解散した。