第二十五話 古き日の幸せ
10月13日。3日前の日本なら子供たちは元気よく学校へ行き、大人たちは仕事場へ向かう。
主婦たちは洗濯物を干し、すがすがしい朝の光に目を細める。
しかし、
このような朝がくることは
きっと、もう二度とないだろう・・・。
あのころが、あの当たり前の平凡な日々が
何よりも幸せなのだと
人は、失って初めてわかる。
そして、ひどく後悔するのだ。
今日は学校はない。なぜなら・・・・。処刑があるからだ。しかも、辰哉のお父さんが・・・。
東京の特に新宿に住む住民は処刑台への集合がかかっていた。
その時間までまだ時間があるのでテレビをつけてみた。
しかし、どこのチャンネルを回しても、同じ番組。
すべて、今日の処刑のことだった。
辰哉も見ているのだろうか・・・・。
様子を見に行こうかと思った空だったがそれはやめた。
きっと、最後の家族の、父親のぬくもりを感じていると思ったから・・・。
そんな辰哉や家族のために、俺はただ、少しでも時間がゆっくり進むことを願った。
処刑まで1時間となった。
空は、集合場所である広場にきた。まだ人は少ないが、そこには翔と雄大。
そして、二人の家族がいた。
すぐに声をかけようと思ったが、自分が呼びかけたら、二人が家族に怒られるんじゃないかと思うと近寄れなかった。いや。たぶん自分が憎い目で見られるのが怖いんだ。
しかし、広場には人が少ないのですぐにばれてしまった。
「空・・・。」
「翔・・・。雄大も・・・。」
「おはよう。空。」
「・・・・・。」
二人とも元気がない。きっと二人とも俺と同じことを考えていたんだろう・・・。
「あなたが空君?」
突然、翔の母親から声をかけられた。
「・・・・・・・ッ。」
女の人に話しかけられるのは初めて・・・というか、こういう大人と声をかけられることがなかったなかったから、返事が声にならなかった。だからおれは必死に首を縦に振った。
「ふふッ。そんなに首をふらなくてもいいよ。翔がいつもお世話になってるみたいで。ありがとね。」
びっくりだ。話しかけてくれたことにもだけど、笑いかけてくれた・・・。
今まで、お母さんっていうのは、俺を誰よりも煙たがっていた。
俺の事を、まるで悪魔を見るように、自分の子供をその腕に抱いて、睨みつけてきた。
そんな記憶しかないから、翔のお母さんのやわらかい笑顔が俺にとっては初めての事で怖かった。
「空?どーした。」
「・・・いや。ちょっとびっくりしただけ。」
「びっくり?」
「うん。大丈夫。それより・・・」
「ああ・・・。」
「辰哉・・・大丈夫かな・・・」
今まで黙りこんでいた雄大が口を開いた。
それは、俺たちも思っていたことだが、幼馴染の雄大とは比べられない。それくくらい重かった。
処刑まで、後40分
新宿って出てきましたけど、リアル日本のようなところではないです。
山とかもあって、ただ少し品ぞろえが良くて、便利な所ってだけです。
そんなに技術は進んでない設定なんで・・・
というか、前の投稿から間があきました。
申し訳ないです。(←いまさら!?