第二十三話 打ち明けた真実
「裏切り者・・・・?」
そう。
俺の家族は長年この国を治めてきた王族。日和家。
でも、その19代目の長である俺の父親が国を裏切り、そして、
殺された・・・。
信じられなかった・・・。
信じたくない。
でも・・・
『これでなぜ君が毛嫌いされるのかわかっただろう?』
『貴様はこれからもっと地獄を見るのさ!』
『お前は死なせない。生きて、地獄を見ろ。』
「なんだよそれ!!!」
いきなり叫んだ翔はうつむいていた。
そして、強く強く握った手が、かすかにふるえていた。
「なんで空の父ちゃんが国を裏切ったからって、空が苦しい思いしなきゃなんねェんだよ!!!?空はなんも悪くないじゃんか!!!なんで空が地獄見なきゃいけねェんだよ!てか!酒井ってやつ!意味わかんねェ!空に恨みでもあんのかあ!!?そうか!お前がいたら新しい長になれないから空をいじめてんだ!!!んあ!?でもそれなら空居ない方が・・・・。ん‶~~~~~わかんねぇーーー!!!」
翔は思い切り頭をかき乱して叫んだ。
「翔。翔は俺が王族だってことに驚かないのか?」
「んー。驚いたは驚いたけどー・・・。」
翔は言葉が見つからないのか手をあーしたりこーしたりしながら言葉をさがしていた。
「ああーーー。もう!なんて言うか、そういうの関係なくね?親とか名前とか、そんなんどうでもいい!お前は日和空って名前で、王族で、でも俺の友達で。それは変わらなくて。ま!どーでもいいってことだ!あははははは~。」
とうとう笑いでごまかしてしまった翔があまりにも豪快に笑うから、俺もつい、笑ってしまった。
翔は俺の事を、一人の人間として見てくれる。
周りなんて関係なく、まっすぐ俺にぶつかってきてくれる。
俺に友達は少ないけど、翔は俺の事をちゃんと理解してくれる、数少ないうちの一人だってことはわかる。翔だけじゃなく、辰哉や雄大、そして乙樹先生も。
大丈夫だ。
俺は一人じゃない。
これから、もっと苦しいことが待っている。
そう酒井はいった・・・。
でも、大丈夫だ。
「うん。大丈夫!」
「んあ?大丈夫なのか?空。」
「おう!ありがとな翔!」
「なんかわかんねえけど、まあ空が元気になったんならいいさ!」
それから俺たちはゲームをして、いつもみたいにはしゃぎまくった。
まあ、そのあと家に帰った翔はひどく怒られたらしいことは、言うまでもない。
「とうとう明日が選挙だ。」
「はい。とうとう。この国が変わる時です。そして、」
「ふふふ、ははははは!苦しめ。日和 空ぁ!!!!!」