第二十一話 明かされた真実
「俺の家族・・・?そんなの・・・」
「そう。君にはいない。今はね。」
話は10年前にさかのぼる――――
10年前この国を治めるある一族がいた。その一族の名は日和。
当時の景気は最悪。仕事がなく飢えで死んでいく奴が山ほどいた。
そんな時ある事実が判明した。それは
『日和家が国を売った』
というものだった。もちろん国民は激怒した。そこで当時長に従える機関にいた私。酒井章夫を中心とする長とその一族を抹殺するための組織ができた。そしてその一年後長のお子さんが誕生し、喜びに満ちた時、その計画が動いた。
10月10日。日和家は抹殺された。ただ一人を残して・・・・。
「ただ一人・・・。」
「そう。その生き残った一人が10月10日に誕生した長の子。その名は空。君の名は日和 空。生き残ったたった一人の王族なんだよ。」
「俺が・・・。」
「そう。これでなぜ君が毛嫌いされるのかわかっただろう?君の父親は国を裏切り殺された。そして、君は裏切り者の息子だ。」
「なんで・・・」
「ん?」
「なんで俺も殺さなかったんだよ・・・。俺も殺せばよかっただろ!」
「そしたら苦しまずに済んだ?」
「ッ!」
「一人ぼっちで、誰も自分を助けてくれない。それなら死んでいたほうがましだったと?」
「・・・・・・」
「君は死なせないよ・・・」
「・・・・?」
「この程度で苦しい?死にたい?バカを言っているんじゃないよ!貴様はこれからもっと地獄を見るのさ!もっと下へ!下へ下へ下へ下へ!地面に這いつくばって!嘆き苦しみながらも生きていくんだ!」
酒井は狂ったように笑いだした。
「お前は死なせない。生きて、地獄を見ろ。」
酒井は嵐のように帰って行った。
ニュースのアナウンサーの声が響く。少し冷たい風が空の髪をなでる。
頭が真っ白だ・・・。
俺は王族で、父親は国を裏切り、殺された・・・。
そして、俺は裏切り者の息子。
「頭が・・・痛いッ・・・。」
翔・・・・辰哉、雄大。
「助けて・・・・・・ッ」