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sky-そら-  作者:
18/31

第十八話 サッカーと友情

俺と翔、辰哉、雄大は今日もまた公園で遊んでいた。



「よーっし!行くぜ雄大!」


「来い!翔」


「必殺!スーパー☆ゴールデン☆スペシャルキーーーーック!!」


「絶対とーーーーーーーーーる!!!」


「「どりャーーーーーーーーーーー!」」



ふたりの叫び声とともに公園に風が吹き、砂ぼこりが起こった。

ふたりのやりあいを見ていた空と翔はつばを飲む。



「きっ・・・・決まったのか・・・」


「雄大が取ったのか・・・・」



徐々に砂ぼこりが消え、あたりが見渡せるようになる。



「とったどーーーーーー!」



砂ぼこりが消えたと同時に、雄大の歓声が聞こえた。



「くっそー!絶対決めれると思ったのに!!!」


「僕に勝つには100年早いよ。」



雄大が得意げに腕を組んで言った。翔は手をひざにおいてくっそーと嘆いている。



「まぁまぁ翔。相手がワリーよ。雄大は一応サッカー部なんだからよ」


「そうだったんだ。知らなかった」


「んあ?空知らなかったのか!こいつ、すげーンだゼ!選抜に選ばれるくらいだかんな」


「雄大すごいんだな。初めて憧れたよ!」


「ははっ!言ってくれるじゃん空」



最近空もやっと人と接することに慣れてきたらしい。

冗談交じりに笑いあうことができるようになってきた。


4人ともその場に座り、荒れていた息を整えながらしゃべっていた。

するとそこに4人組がやってきた。

一緒にリレーに選ばれた昇と友原汰一、草野陸人、名切陽介だ。

その中の一人、名切陽介がしゃべってきた。



「よぉ翔。いっつもここで遊んでたのか?」


「ああ。いいだろここ!」


「ああ。お前ら4人とも、学校終わったらさっさと帰るだろ?でもお前らが遊んでるとこ見たことなかったからよ。気になってたんだ」


「ああー。ここ結構遠いからな。」


「何やってたんだ?」


「サッカー。お前らもやんねーか?なぁ!いいよなぁみんな?」


「おう。多い方が楽しいからな!」


「僕もいいよ!誰にもゴールはさせないけどね!」


「空は?」


「もちろん!」



空たちは、新たに4人の仲間を加えてサッカーを始めた。

ちょっと前まで、空の事を悪く言っていた奴らも、今となってはハイタッチして一緒に喜びあう

『友達』になっていた。



「なぁ空。」



疲れて8人で円になって座っていると、隣の翔から声をかけられた。



「なに?翔」


「お前さ、名前なんて言うんだ?」


「「「「えっ?」」」」


「あ~。ワリ―ワリ―。聞き方が悪かった。苗字だよ。苗字!」


「あっ!それ、僕も思ってたんだ。」



俺も俺もとみんな翔の話題に乗ってきた。



「わからないんだ。」


「なんで?そう言えば、父ちゃんや母ちゃんは?兄弟とかいねぇの?」


「いないよ。」


「じゃあ、ずっと一人…」


「そう。ずっと一人。それが当たり前だって思ってた。」


「でもッ、でもさ!空を生んだ奴はいるはずだよな!」


「でも、今いない…」


「それって」



それ以上は誰も言わなかった。いや。言わなくても分かっていた。

急に静かになり、風が冷たく感じた。

汗が冷えたからだろうか。



寒いのは嫌いだ。

寒さは心も冷たくしてしまうから。

コタツに入っても、暖かい布団に入っても。

心にはいつも冷たい風が吹いてくる。

しかもそいつは、今日みたいに

いきなり吹いてくる。

気付いたら、もう吹いているんだ。



「寒みーな。」



いきなり翔の手が俺の手の上に乗っかってきた。



「うわッ!空の手つめたッ!汗冷えたか?このままじゃ風邪ひくべ。今日は帰るか!」


「そうしよう。また明日遊べばいいしね。」


「おう。じゃ、俺らはこっちだから!じゃーなー」


「おう!じゃーなー。んじゃ空。お前も早く帰れよ!じゃ明日な」


「じゃあな」



そう言ってから、しばらく翔を見送った。

「翔の手、暖かかったなぁ。」

そう思った。

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