第十三話 初めての友達
俺らはダッシュである場所に行った。するとやっぱりそこにはソラがいた
その場所は、そう。俺とソラが初めて遊んだところ
ソラは、ブランコをこぎもしないでただじーっと乗っているだけだった
俺は静かにソラの前に立った。それに続けて辰哉と雄大も俺を挟んで立った
「ソラ。」
俺は静かに呼んだ。ソラは、重たそうな頭をゆっくりとあげた。
しばらく沈黙が続いた。その沈黙を破ったのはソラだった
「ごめん。」
「えっ?」
「俺のせいであんな思いさせて・・・俺わかってたんだ。カケルが傷つくこと・・・でも、
でも、うれしくて。初めてだったから。誰かから誘われるの。だから・・・」
「ごめん。」
俺はソラの言葉を遮った
「ごめん。あのときすぐに言い返せなくて・・・俺、ソラのこときらいじゃないから!
ずっと友達になりたいって思ってた。」
「僕も!」
「俺も!」
雄大と辰哉が少し前に出てきながら勢いよく言った
「ほんと?本当にいいの?」
みんな笑顔でうなずいた。そして、手を差し伸べた。ソラはその手を握り立ち上がった
そしてみんなで笑った。何か面白いことがあったわけでもないけど、笑った
ソラは涙を流しながら笑った
俺らは日が暮れるまで遊んだ。いつもならすぐに寝てしまう辰哉も今日は寝なかった。
ずっとみんなでブランコに乗っていた
「俺、なんで生きてるのか分からなかった・・・」
急にソラがそんなこと言うから、みんなブランコをこぐのをやめた
「いつも一人ぼっちで、何の変化もなく、時間だけが過ぎて行って。みんなから無視されて、
俺っていう存在が、ないって思えてきて。俺が死んだとしても、みんなは何も気付かずに、
何も変わらずに、時間だけが進んでいくんだろうって・・・そう思うと、どうして生きてるん だろう。どうして生まれてきたんだろう。って思えてきたんだ・・・。」
「お前・・・そんな難しいこと考えてたんだな」
「うん。でも、今なら分かるよ。俺は、みんなと出会うために生まれてきたんだってこと。
みんなと笑いあうために生きるんだってこと。だから今、すごく思う。生きててよかった
って。」
そういうとソラはハハッと笑った
「ソラ。」
辰哉がブランコから降りてソラの前にきた。
「そんなめんどくせーこと考えんな!ってか、聞いてたこっちが混乱してきた・・・」
それに続いて雄大も
「でも、なんか嬉しいね。」
そして翔
「俺らにとって、空はどんなに手を伸ばしても掴むことができない奴だったもんな。その名の通り?」
と言って、「いいこと言った!」と言わんばかりに決めポーズを決めていた
「まぁ、こんな奴はほっといて。」
その言葉に反応した翔を雄大が止める
「よーするに、お前は謎な奴だったから、こんな風に自分の事話してくれて、お前が思ってきたこととか、お前自身のこととか知れて、うれしいんだよ!」
「なんで?」
「そりゃあ、友達の事は、知りたいだろ?」
『友達』
その言葉だけで、俺の心は報われた気がした。