第十一話 思い
ソラが走って出て行ってから教室は静まり返った
その沈黙を破ったのはいっつも二人で一緒にいる
マサヒロとタツヤだった
「おはようカケル。どうしたの?こんなところで立ち止まって・・・」
「いや・・・おはよう・・・」
「おい。マサヒロ、早く入れよ」
「ああ、ごめんタツヤ」
そして教室はいつものようににぎやかになった
「カケルごめん・・・そんなの知らなくて、勝手な思い込みで」
「いや。別に・・・」
「そうだよな!カケルがあんなやつと遊ぶ訳ねーよな!」
そーだよ。と言うが教室中で聞こえてきた
するとイツキ先生が来ていつも通りの学校が始まった
でも、俺は胸が苦しかった・・・
言い返せなかった・・・
「大っきらいじゃない!俺が誘ったんだ!」て・・・
俺が遊ぼうって誘ったのに、ソラのせいにして俺は・・・
俺は逃げたんだ・・・
最低だ・・・
昨日母ちゃんに聞いてみたんだ
「なぁ母ちゃん。どうしてソラと遊んじゃいけないの?」
すると母ちゃんは黙ったまま困ったような顔をしていた
しばらくして俺の前に座ってこう言ってきた
「母ちゃんはカケルがソラと遊ぶことは別にいんだよ・・・でも、ソラと遊んだらカケルはきっ
と辛い思いをする。それに耐えきれるならカケルの好きにしなさい。」
本当だった。こんなにつらいとは思わなかった・・・
ソラと遊んだら学校のみんなが敵になる
でも、だからってソラを裏切りたくない
どうすればいいんだろう・・・わかんねーよ・・・
いつの間にか昼休みになって
一人教室で考え込んで顔を伏せているとイツキ先生がやってきた
「カケル。どうしたんだ?」
俺はすべてをイツキ先生に話した
ソラと遊んだこと。すごく楽しかったこと。母ちゃんに言われたこと。今日の朝みんながすごく怖かった
こと。そして、ソラを傷つけてしまったこと・・・
すると先生はすごく優しい顔で教えてくれた
「たぶん、ソラも同じようなこと思ってると思うぞ。」
「えっ?」
「自分と遊んでせいでカケルにつらい思いをさせてしまった。カケルを傷つけてしまった。って
な」
「そんな!ソラは関係ねーのに・・・俺が誘ったのに・・・俺が悪いのに・・・」
「それをソラに伝えてやればいいんじゃないか?それに、みんなが怖いなら、みんなにもソラを 好きになってもらえばいいじゃないか。カケルはどうしてソラと遊びたいって思ったんだ?」
「それは・・・算数の時、ソラが適当に言った答えがあたってて、それがすごくおもしろくて」
「そっか。じゃみんなにもそう思ってもらおう!ソラはおもしろい奴なんだって。なっ!」
イツキ先生がニシシっと笑った
その笑顔が何だかたくましく見えた・・・
今日学校が終わったらソラに会いに行こう
そんで仲直りして、みんなに分かってもらうんだ。
ソラを認めさせるんだ!